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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
野良グリフォンと友達になろう!大作戦

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第1255話 土産話と新たな約束

 アルフォンソ達鷲獅子騎士団一行が転移門で全員移動するのを見送ってから、カタポレンの森に移動したレオニスとラウル&ラーデ。

 その頃には、空はもうすっかり茜色に染まっていた。


「もうこんな時間になっちまったな。ラウルもラーデも今日はお疲れさんだったな」

「ああ。まさか俺までコルルカ高原に行くことになるとは思わなかったがな。それでも良い経験になったわ」

『我も我が友アウルムの窮地を救うことができて、本当に良かった。これも全て其方達が我の願いを聞き届けてくれたおかげだ。二人とも、心より感謝する』


 転移門から出て、のんびりと会話するレオニス達。

 レオニスは凝り固まった身体を解すように背伸びしながら歩き、ラウルはラーデを抱っこしながら家のある方向に歩いていく。

 そしてラウルの腕の中で礼を言うラーデに、レオニスとラウルが微笑みながら返す。


「そんなん当たり前のことだ。なぁ、ラウル?」

「ああ、ご主人様の言う通りだ。俺達は友達であり仲間であり、家族みたいなもんだ。そして家族ってのはお互いに助け合って、支え合いながら生きていくんだ」


 ラウルに話を振りつつ、話を振られたラウルの素晴らしい持論にレオニスがうんうん、としたり顔で頷いている。


「もちろんラーデだって、もう俺達の家族なんだぜ? このカタポレンの家で、俺達といっしょに暮らしてるんだからよ」

「そうそう。俺は寝泊まりこそラグナロッツァの屋敷でしているが、それでもラーデとは毎日こっちの畑で顔を合わせる仲だしな。つーか、それ以前にご主人様達の家族なら、それだけで俺の家族も同然だ」

『…………ッ!!』


 レオニスとラウル、二人から家族と言われたことに、ラーデの円な目は大きく見開かれていく。


 ラーデは唯一無二の竜の祖、皇竜メシェ・イラーデ。

 この上なく尊いとされる存在だけに、他者からは常に畏怖されるかひたすら崇め奉られてばかりいた。

 そんなラーデを、誰憚ることなく堂々と家族と呼ぶレオニスとラウル。ラウルに至っては、抱っこしている真っ最中のせいかラーデの頭を優しく撫でている。


 二人が持つ互いへの信頼と絆、そしてそれらが既に自分にも向けられていることを知ったラーデ。

 今までに感じたことのない、言葉にできない温かい何かがラーデの胸中いっぱいに広がっていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そうしてレオニス達がカタポレンの家の近くまで歩いていくと、家の裏手からライトが駆け寄ってきた。


「ラウル、ラーデ、おかえり!あ、レオ兄ちゃんもいる!?」

「おお、ライトか。ただいまー」

「ただいまー」

『只今戻った』


 一目散で駆けつけてくるライトに、三人がただいまの返事をする。

 一方のライトは、レオニスまで帰ってくるとは思っていなかったので、意外そうな顔をするもすぐに破顔しレオニスの胸に飛び込んだ。

 バフッ!と勢いよく抱きついてきたライトに、レオニスは蹌踉めくことなくしっかりと抱きとめながら頭をくしゃくしゃと撫でる。


「ライト、こんな夕方遅くまで何してたんだ?」

「ンーとねぇ、学校から帰ってこっちの家に戻ったら、ラウルだけじゃなくてラーデもいなかったから。二人でどこかに出かけたんだと思ってね? ぼくも自分の畑を弄ったりしながら、皆の帰りを待ってたの!」

「そっか、畑弄りは楽しいか?」

「うん!そのうちレオ兄ちゃんにも、ぼくの作った野菜を食べさせてあげるね!」

「おお、そりゃ楽しみだ」


 ライトが外にいた理由を問うたレオニスに、畑弄りをしていた!と元気に答えるライト。

 ちなみにライトが畑弄りをしていたのは本当のことだが、それはこちらの家に帰宅後ほんの数分間のこと。

 先程までライトは、家の裏手にある解体所で魔物の解体をバリバリこなしていた。

 解体所は転移門がある場所からは死角になって見えないので、どこかに出かけたラウルが転移門で帰ってきても見えないから大丈夫っしょ!という算段のもとの計画的行動である。


「てゆか、どうしてレオ兄ちゃんとラウルはいっしょに帰ってきたの? ラウルがラーデといっしょにお出かけしてるんだろうなってのは、ぼくにも分かってたけど……何でレオ兄ちゃんまでいっしょにいるの?」

「それはなぁ、うん、今日はいろいろあったんだ……」


 ライトの尤もな疑問に、レオニスはライトの頭を撫でながらため息混じりで答える。

 かと思ったら、ヒョイ、とライトを抱っこしながら話しかけた。


「よーし、そしたら飯を食った後、また皆でこっちの家の風呂に入りながら話を聞かせてやろう」

「ホント? それいいね!もちろんラウルとラーデとマキシ君もいっしょだよね!?」

「おう、マキシにも今日俺達が出会った金鷲獅子の話を聞かせてやらんとな」

「ヤッター!」


 レオニスの粋な提案に、ライトがレオニスの腕の中で大喜びしている。

 そしてライトはラウルの方に顔を向けて、嬉しそうに話しかけた。


「そしたらラウル、今日も晩御飯を食べた後にマキシ君といっしょにこっちに来てね!」

「おう、その間にご主人様達もこっちでラーデといっしょに飯を済ませておいてくれ」

「うん!ラーデもお出かけしてお腹すいたでしょ、たくさんご飯を食べて、たくさん大きくなろうね!」

『ああ、これまで以上にたくさん栄養を摂らんとな』


 花咲くような笑顔でラウルとラーデに話しかけるライトに、ラウル達もまた笑顔で応える。

 特にコルルカ高原奥地で大量の魔力を使い果たしてしまったラーデは、そのことを全く知らないライトが偶然発した『たくさん食べてたくさん大きくなろうね!』という言葉に、深く頷いている。


 そうして四人はレオニスのコルルカ高原遠征の土産話を聞くべく、カタポレンの家に入っていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 約束通り、夜八時頃にラウルとマキシがカタポレンの家に集合し、皆でカタポレンの家の風呂に入った。

 遠征に出かけていたレオニスにとっては、三日ぶりの家の風呂。

 長旅の疲れを癒やすにはもってこいである。


「レオ兄ちゃん、遠征お疲れさま!今日はぼくが背中を流すね!」

「おう、ありがとな」

「ライト、俺もご主人様の手伝いをしてきたんだ」

「ラウルもご苦労さま!レオ兄ちゃんの次に背中を流してあげるから、その間お風呂に入って待っててね!」

「了解ー」


 甲斐甲斐しくレオニスの背中をタオルでゴシゴシと洗うライト。

 そんなライトに、ラウルも今日のコルルカ高原での働きを誇示する。

 要は『俺の背中も流してくれないか?』ということであり、ライトも即座にそれを理解して快諾する。

 幼子におねだりをするとは何とも大人気ない妖精だが、そのおねだりも可愛らしいものなので良しとしよう。


 一方ラーデは八咫烏モードのマキシとともに、風呂の中でチャプチャプと優雅に泳いでいる。

 肩までどっぷりと湯に浸かる黒くてまん丸な八咫烏と、六枚の小さな翼をパタパタと動かして泳ぐ赤黒い幼体ドラゴン。何とも愛らしい図である。


 そうして皆で風呂を堪能した後は、お約束の風呂上がりの牛乳をクイーッ!と一気に飲み干す。

 今日はライトとレオニスだけでなく、ラウルと人化したマキシもそれに倣い牛乳を一気飲みしていた。

 四人揃って腰に手を当てつつ牛乳を飲む様を、ラーデが不思議そうに眺めている。


 その後四人と一頭は、リビングで髪の乾かし合いをする。

 その間にレオニスは、ラウルやラーデとともにコルルカ高原での出来事を話していった。


「まさか、金鷲獅子まで穢れに侵されていたなんて……」

「全くな。コルルカ高原奥地なんて滅多に人が行くようなところじゃないし。もしわざわざ行くとしても、そんなの鷲獅子の卵や雛を狙う密猟者くらいのもんだからな。そんな異変が起きているなんて重大な情報は、人里の方まで伝わりようもない」

「だね……でもその金鷲獅子、アウルムが無事助かって本当に良かったね!」


 コルルカ高原奥地での様々な話を聞いて、ライトは驚いたりホッとしたり喜んだり、兎に角忙しい。

 そして髪を乾かし終えたレオニスが、空間魔法陣を開いてアウルムからもらった羽根を取り出した。


「これが、アウルムから友好の証としてもらった羽根だ。ラウルと鷲獅子騎士団長のアルフォンソも、これと同じものをもらっている」

「うわぁ……すっごく大きな羽根だね……」

「ホントですね……僕の羽根の三倍くらいは大きいですね……」


 レオニスから手渡された金鷲獅子の羽根。

 その見事なまでの美しさに、ライトだけでなくマキシまで思わず嘆息する。

 一枚の羽根がこんなに大きい生き物、金鷲獅子とはどれだけ大きくて美しいんだろう―――想像するだけで、ライトの心はワクワクが止まらない。


「レオ兄ちゃん、そのコルルカ高原には転移門で行けるようになったんだよね!?」

「ああ。鷲獅子騎士団の団長他全員が、あの転移門を是非とも残しておいてくれ!と懇願してきたんでな。そのまま残してきた」

「そしたらぼくも、今度レオ兄ちゃんやラウルといっしょにコルルカ高原に行きたい!連れていってもらえる!?」


 キラッキラに輝く瞳でレオニスを見つめるライト。

 日頃から冒険心溢れるライトのこと、レオニスの遠征話を聞いてその血が滾らない訳がない。

 その気持ちはレオニスにもよく分かるだけに、前向きに検討している。


「そうだな、そしたら今度鷲獅子騎士団に行った時に言っておくか。鷲獅子騎士団だけでなく、俺達も今後もあの転移門を使い続けられるよう、前もって断りを入れておけば問題ないだろ」

「ありがとう!よろしくね!」

『その時は我も連れていってくれ。アウルムと再び会う約束をしたからな』

「もちろん!ラーデだって友達に会いに行きたいよね!今度はぼくといっしょにコルルカ高原に行こうね!」

『ああ、よろしく頼む』


 ライトだけでなく、自分もコルルカ高原に連れていってくれと言うラーデ。

 もちろんライトに否やはない。友に会いたいと願うラーデの気持ちは極自然なものだとライトも思うからだ。


 こうしてカタポレンの家は、レオニスの遠征の土産話で盛り上がり、終始賑やかな空気に包まれていた。

 レオニス達のコルルカ高原奥地からの完全帰還です。

 でもって、17話ぶりに主人公であるライトも登場。

 ライト君、ホンットお久しぶりね!てゆか、半月以上も主人公不在とか一体何事!?と思わなくもないのですが。

 そこら辺はまぁ、前々話後書きでも書きました通り、拙作の主人公はまだ九歳の少年なので。平日昼間の事件にはなかなか関与できんのです(´^ω^`)


 そして拙作での何度目かのお風呂シーン。

 相変わらず色気のイの字もありません!単なるほのぼの入浴です><

 ……まぁね、拙作に色気を求めちゃイカンザキなのはもはや今更なんですが(´^ω^`)

 色気とは無縁な拙作ですが、その分ほのぼの成分を堪能していただければ幸いです(^∀^)

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