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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
野良グリフォンと友達になろう!大作戦

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第1250話 金鷲獅子の復活

 ラーデが金鷲獅子の頭に手を触れた瞬間、さらに強烈な眩い光がラーデの身体から発した。

 あまりの眩しさに、レオニス達は目を開けていられない。

 目の上に手を翳し、影を作って何とか前を見ようとする。


 しばらくすると強い光が徐々に消えていき、やがて光は完全に消えた。

 ラーデが発した光が消えた後、そこには再び小さくなったラーデと眩い黄金色の身体と翼を持つ金鷲獅子がいた。


『金の……具合はどうだ』

『おおおお……あれ程怠くて動かせなかった身体が動くぞ……』

『そうか、それは良かった』


 金鷲獅子に体調を尋ねるラーデに、当の金鷲獅子は目を大きく見開きながら答える。

 まず手をワキワキと動かし、それからのっそりと立ち上がって翼をパタパタと小さく動かしている。

 それまでぐったりと寝そべっていたのが嘘のように、金鷲獅子の身体はとても軽くなっていた。


 鷲獅子は獅子の胴体をグググ……と猫のように伸ばした後、晴れやかな顔でラーデに礼を言う。


『皇竜よ、見よ!この通り、吾は元気になったぞ!!…………って、皇竜よ、どこに行った?』

『ここだ、ここにおるぞ』

『ン? ン? どこだ? 皇竜の声はすれど、姿がどこにも見えぬぞ?』

『おーい、ここだー』

『…………ン?』


 回復した自分の姿をラーデに見せたいのに、何故か当のラーデがどこにも見当たらない。にも拘らず、ラーデの声だけが聞こえるとは一体どういうことか。

 我が友は一体どこに消えてしまったのだ?と思いつつ、周囲をキョロキョロと見回す金鷲獅子。

 そして程なくして、ラーデの声のする方、真下を見ると―――そこには再び幼体サイズに戻ったラーデがいた。


 先程までの5メートル超の、威風堂々とした姿はどこへやら。ラーデの姿はまた50cm弱のミニサイズになってしまっていた。

 あまりの変貌ぶりに、金鷲獅子が目をまん丸にしてラーデを凝視している。


『…………皇竜、か?』

『如何にも。我こそは皇竜メシェ・イラーデ(なり)

『何故にそんなちっこい(なり)をしておるのだ?』

『今さっき其方に魔力を分け与えたからだろうが!』


 不思議そうな顔で問いかける金鷲獅子に、ラーデがピョンピョンと飛び跳ねながらプンスコと怒っている。

 ラーデによると、金鷲獅子の中に巣食う不浄な気を完全に取り払うために、それまでラーデが貯めてきた魔力を一気に解放して金鷲獅子に注いだのだという。


 ラーデにそう言われて、己の手をじっと見る金鷲獅子。

 ぷにぷにの肉球の周りに生えている黄金色の毛。

 この毛もつい先程までは黒ずんでいた。それが今では、体調が悪くなる前よりも煌めくような輝かしい毛艶になっている。

 そして己の手を見つめる金鷲獅子の瞳も、白濁がすっかり消えて澄んだ金茶色になっていた。


 己の身体の著しい好転を見た金鷲獅子は、この時ようやく理解した。

 自分の身体を治してくれたのは、皇竜がその身を賭してまで魔力を大量に分け与えてくれたからなのだ、ということを。


『そうだったのか……皇竜には、吾が生涯をかけても返しきれぬ恩ができてしもうたの』

『恩を返してもらおうなどとは思っておらぬ。我と其方の仲ではないか』

『…………ありがとう、吾が友よ』


 自分の手のひらよりも小さくなってしまった旧友(ラーデ)を見つめる金鷲獅子。その瞳には涙が滲んでいく。

 涙はあっという間に溜まり、ぽたり、ぽたり、と地面に落ちる。

 金鷲獅子は頭を垂れて、頬ずりするようにその嘴をラーデにそっと寄せていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ラーデと金鷲獅子の心温まる触れ合いを、ずっと静かに見守っていたレオニス達。

 レオニスやラウルの後ろにいる鷲獅子騎士達など、アルフォンソを含めた全員が感極まって咽び泣いている。

 鷲獅子騎士達も全員が全員鷲獅子大好き人間なので、金鷲獅子が元の姿に戻れたことに大感激しているようだ。


 そしてここで、レオニスがラーデに向かって声をかけた。


「ラーデ、よく頑張ったな」

『ああ、其方らの力添えあってのことだ』

「ンなこたぁないさ。むしろ、俺達の準備不足をラーデに補ってもらったようなもんだ。本当にありがとうな」

『我は我が友を救うために、なすべきことをしたまでだ』


 ラーデを労い礼を言うレオニスに、ラーデも冷静に返す。


『というか、先程のアレで我の魔力はまた激減してしまった』

「そうみたいだな。つーか、今朝より身体がちっこくなってるもんなぁ」


 ラーデのもとに近づいていき、地面近くにいたラーデをレオニスがひょい、と抱っこする。

 実際ラーデの身体はぬいぐるみのようにちんまりとしていて、この洞窟に入る前よりも若干小さくなっていた。

 如何にラーデが金鷲獅子に大量の魔力を分け与えたか、傍目にも分かるというものだ。


 持てる魔力をほぼ全て使い切ってしまったラーデ。

 そのことに悔いはないが、再び魔力を貯めるためにはカタポレンの森での療養生活が必然的に長くなることを意味する。

 それを意識してか、ラーデの方からレオニスに改めて挨拶をする。


『そんな訳で、もうしばらくはあの森の家で厄介になる故。よろしく頼む』

「おう、一年と言わず十年でも百年でも好きなだけ居てくれていいぞ」

『百年も経ったら、そんな頃には其方らは生きてはいまい?』


 気軽に居候を引き受けるレオニスに、ラーデが不思議そうな顔で問い返す。

 人族の寿命が然程長くないことは、ラーデ自身よく知っている。

 あの森に百年も居続けたら、再びひとりぼっちになってしまう―――そんなことを考えていたラーデに、レオニスがニヤリ、と笑いながら答えた。


「ンなこたぁない。ラウルは妖精だからな、あと二百年くらいは生きてラーデといっしょに居てくれるぞ」

『む? そうなのか?』

「そうだとも、なぁ、ラウル?」

「ああ。プーリアは四百年くらい生きるらしいからな。だから俺は、今からあと三百年は生きる予定だ」

「え、何、お前今118歳でしょ? プーリアのご長寿新記録目指してんの?」


 レオニスに話を振られたラウル、これまた事も無げに涼しい顔で人生設計の一端を語る。


 ラウルの出身のプーリア族は、一番長生きした者で約四百歳だったという。

 そこから計算すると、今118歳のラウルは頑張って長生きしてあと二百八十年くらいは生きられると思われる。

 しかし当のラウルは四百歳以上、今からあと三百年以上は生きるつもりらしい。

 なかなかに欲張りなことだが、料理好きのラウルのことだ。きっと健康に良い食事なども追求して、元気に長生きしていくに違いない。


 ラーデにレオニス、そしてラウルの賑やかなやり取りを、それまで黙って見ていた金鷲獅子がおずおずとラーデに声をかけた。


『皇竜よ、そこな人族は一体……?』

『ああ、其方は初めて会う者達だから分からぬよな。この者達は、我の恩人にして今の住まいの大家さん?なのだ』

『……大家……?』

『其方を呪いから救うために、我とともに尽力してくれた者達でもある』

『!!!!!』


 ラーデの言葉に、金鷲獅子が驚愕している。

 金鷲獅子は、自分を救ってくれたのはひとえにラーデのおかげだと思っていた。

 だが、ラーデに言わせればそうではないらしい。

 というか、それも少し考えれば分かることで、この広大なコルルカ高原にこんな小さな身体のラーデが単身で乗り込んで来れる訳がないのだ。


 ラーデの他にも恩人がいることを知った金鷲獅子。

 旧友ラーデを抱っこしているレオニスに向けて声をかけた。


『其の方……名は何という?』

「俺の名はレオニスで、そっちにいるのはラウル。他にもアルフォンソとかたくさんいるが、後で皆に自己紹介してもらおう」

『レオニス、か……其の方、皇竜となかなかに親しいようだが』

「ま、いろいろと訳あってな。今は俺の家にラーデが居候しているところだ」

『皇竜が、居候、だとぅ……!?』


 レオニスの話に、金鷲獅子が目を大きく見開きながら驚いている。

 皇竜程の高位の存在が、人族とともに暮らしている―――この事実だけで、金鷲獅子にとっては驚天動地の出来事なのだ。


『皇竜よ……一体其の方の身に何があったのだ?』

『そこら辺は、話せば長くなるが…………』

『…………ッ』


 旧友の事情を知らない金鷲獅子が、ラーデを心配して問い質そうとした、その時。

 それまで四本の足で立っていた金鷲獅子が、急に体勢を崩して地に伏せてしまった。


 元気を取り戻したはずの金鷲獅子の、突然の容態変化にラーデが慌ててレオニスの腕から抜け出して金鷲獅子のもとに駆け寄った。


『おい、金の!まさか、まだ体内のどこかに異変が残っているのか!?』

『…………』

『おい、しっかりしろ!』

『…………た』

『気をしっかり持て!まだ魔力が足りぬというなら、我が分け与えてやる故に!』

『…………減った』

『…………ン?』


 崩れ落ちるように伏せてしまった金鷲獅子の鼻先を、懸命に手でペチペチと叩くラーデ。

 そんなラーデに、金鷲獅子は力無い声で呟いた。


『……腹、減った……』

「「「『………………』」」」


 金鷲獅子の腹減り宣言と同時に、お腹の辺りから『ぐきゅるるるる……』という腹の虫の絶叫が一帯に響き渡る。

 すわ再び生命の危機か!?と思ったが、何のことはない、ただ単に空腹を自覚したためにへばったようだった。


 身体の主以上に元気過ぎる腹の虫の声を聞いたレオニス達。

 しばし固まるも、数瞬後にはハッ!と我に返り動き出した。


「おい、ラウル、金鷲獅子の食えそうなもんはあるか!?」

「お、おう、林檎とかで良けりゃすぐに出せるが」

「アルフォンソ、ビッグワームの素を金鷲獅子に出してやってくれ!」

「あ、ああ!お前達、全員今すぐ手持ちのビッグワームを出してくれ!各々の相棒達も腹が減ったことだろう、一旦ここで皆で食事を摂ろう!」

「「「は、はいッ!」」」


 レオニスの適切な指示に、ラウルやアルフォンソ達も懸命に動き出す。

 よくよく考えたら、レオニス達も今日はろくに昼食を食べていない。

 金鷲獅子の生命の危機を乗り越えた今、新たに鋭意を養うべく皆で食事の支度をしていった。

 のごおおおおッ、時間ギリギリッ><

 後書きはまた後ほど><


【追記】

 金鷲獅子の完全復活です。

 途中ラーデが金鷲獅子に対してプンスコと怒ったり、ラウルがプーリアご長寿新記録を目指していることが判明したりと、何かと面白おかしい箇所が見受けられますが。

 これはまぁ、シリアスが続くのが苦手な作者のこと、ほんのささやかーなプチギャグだけでも入れたい!という執念にも近い欲望のせいでございますね(´^ω^`)


 そう、賢い読者の皆様方は既にお分かりのことと思いますが。

 作者のシリアスモードは、作者が描写する戦闘シーン以上に続かないものなのでございます><

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