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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
邪竜の島討滅戦

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1200/1684

第1200話 勝敗の決着

『クエエエエェェエエ工ッッッ!!!!!』


 グリンカムビの渾身の咆哮が高らかに響き渡る。

 今回はピースの魔法攻撃増幅魔法陣を通してはいないが、グリンカムビの横に寄り添う光の女王とともに放つ光の魔力は、強烈な眩い光の柱となって邪竜の島に一直線に向かう。

 そしてグリンカムビの頭上越しから放たれる闇の魔力も、また凄まじい威力だった。


 闇の女王が重力魔法を停止した直後から、クロエの目を覆う包帯状の鋼鉄の仮面が徐々に薄れていく。

 そしてその五秒後の、闇の女王の号令時には完全にクロエの目が顕わになっていた。


 彼女の目を隠す包帯状の鋼鉄の仮面は、普段は額の生え際まで覆われている。

 そして今、鋼鉄の仮面が全て消えたクロエの額には―――もともとの双眸以外に、三つの目が現れていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 クロエの隠された五つの目が、目の前にいる邪皇竜メシェ・イラーザを睨みつける。

 かつて昨年の十二月初旬に、レオニスとラウルが暗黒の洞窟にマードンを持ち込んだ時。そのあまりの煩さに辟易したクロエが、さっさと洗脳して従順な下僕にした。

 その時には額の目は中央の一つだけだったが、今は何と二つも増えている。

 これは、マードンの洗脳騒ぎ以降もクロエが順調に成長していた証である。


 額の目の一つは中央に垂直に開き、他の二つは中央の目の左右に一つづつ、斜め45°の角度でついている。

 そして額の三つの目はクロエの双眸と同じく、赤と紫のマーブル模様の虹彩と金色の瞳孔で白目の部分が漆黒だった。


 あまりにも異様なクロエの目は、見る者によってはその禍々しさに石化する前に卒倒してしまいそうだ。

 しかし、禍々しさの中に宿る神秘的な美しさに魅入られる者も少なからずいるだろう。

 特にクロエのことを可愛がっているライトやレオニスならば、異形に満ちた五つの目を見たところで「ココちゃん、可愛い!」「ココの目はどれも澄んでいて、とても綺麗だなぁ」とか言いつつ大絶賛するであろう。親バカ&兄バカもいいところである。


 しかし、クロエがこの目を他者に向けて晒すことは滅多にない。

 その力を考えなしに濫用すれば、そのツケはいずれクロエ自身に返ってくることを闇の女王は知っている。それ故に、普段はその力を使わぬよう口を酸っぱくしてクロエに言い聞かせていた。


 その徹底した教育の甲斐あって、今もクロエの素顔は誰にも見られていないし、普段いっしょに暮らしていて最も近い闇の女王はともかく、ライトやレオニスがクロエの本当の顔を見ることは一生ないだろう。

 だがその素顔が放つ底知れぬ力は、このサイサクス世界では暗黒神殿守護神として、またBCOのレイドボスとしても十二分に相応しい能力を発揮していた。


 クロエの五つの目から、膨大な闇の魔力が放出され続ける。

 その魔力の濃さは、クロエのすぐ下でグリンカムビが発している光の魔力の明るさに全く負けていない。

 それはさながらブラックホールかと見紛う程の黒さ。真夏の太陽の光よりも鮮烈な輝きの光の真上にありながら、決してクロエの魔力は真の黒さを失わない。

 これは、クロエの魔力の質が如何に高いかを表していた。

 生後一年に満たないクロエが、生後三桁年を超える神鶏グリンカムビにも比肩するとは驚きだ。


 白と黒、二本の巨大な魔力の柱が邪竜の島めがけて真っ直ぐに向かう。

 グリンカムビ達の後ろにいた天空島勢や援軍達は、あまりの眩しさに目を開けていられない。

 しかし、この世紀の戦いの行く末を見逃すことなど絶対にできない。皆腕や翼で必死に目の上を隠し、薄目を開けながら何とかして邪竜の島を見ようと必死に試みている。

 異様かつ鮮烈な光景を前に、皆固唾を飲みながら光と闇の柱の進む先を見つめていた。


 そして程なくして、光と闇の二本の巨大な魔力の柱が邪竜の島を直撃した。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 グリンカムビとクロエが放つ強大な魔力を、もろに受ける邪皇竜メシェ・イラーザ。

 それまで自身の自由を奪っていた憎き重力魔法からようやく解き放たれて、初めのうちこそニヤリ……と醜悪な薄ら笑いを浮かべていた。

 しかし、四つの異なる竜の頭から余裕の笑みが消えるまでに、そう時間はかからなかった。


 光と闇の二本の巨大な魔力を食らった直後は、それまで通り皇竜の魂の欠片を使って二つの魔力を吸収しようとした。だが、何故か今回は上手く自身の中に取り込めない。

 邪皇竜の思惑に反して、胸元にある皇竜メシェ・イラーデの欠片だけが二つの魔力をどんどん吸収し続けていくではないか。

 このことに気づいた邪皇竜は、焦りを覚えた。


 ならば今度は皇竜の魂の欠片を無理矢理身体の奥に押し込めようと、己の胸に鋭い爪を立てる。

 この場で役に立たないならば、再び眠らせてしまえ、という訳だ。

 しかし、どんなに爪に力を入れても皇竜の魂の欠片は奥に引っ込まない。それどころか、さっきまで弱々しい光の欠片でしかなかった皇竜メシェ・イラーデの魂がどんどん大きな塊になっていった。


 今までのように思い通りに事が進まなくなったことに、苛立ちを隠せない邪皇竜メシェ・イラーザ。

 とうとうその鋭い爪で、自身の胸を抉り取ろうとした。魂の欠片を体外に引き離し、その場で踏み潰してくれる!と邪皇竜メシェ・イラーザは考えたのだ。


 だがしかし、東洋型の龍の小さな爪で抉り出すには、皇竜メシェ・イラーデの魂の欠片は大きくなり過ぎた。もはや手遅れだったのだ。

 光と闇の莫大な魔力を一身に受けた皇竜メシェ・イラーデの魂は、長きに渡り邪皇竜に支配され続けた古い身体を中から侵蝕していく。


 あっという間に大きくなった皇竜メシェ・イラーデの魂は、赤黒い邪皇竜メシェ・イラーザの物質的身体を中から食い破った。

 邪皇竜の禍々しくも赤黒い身体から、四方八方に白と黒の光が無数に漏れ出す。

 そうして中から爆発したかように、邪皇竜メシェ・イラーザの身体は四散していった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



『ギエエェェエエァァァァ!!!!!』


 邪皇竜メシェ・イラーザの断末魔の絶叫が辺り一帯に響き渡る。

 耳を(つんざ)くような耳障りな絶叫は長く続き、ライト達人族やシュマルリの竜達も堪らず手や翼で耳を塞いでいる。

 そしてその大音響は強い衝撃波を伴い、戦いの行く末を見守っていたレオニス達を襲った。

 ビリビリとした衝撃波の勢いを全身に浴びたレオニス達は、抗いきれずにじりじりと後ろに押し出され続ける。

 爆風にも似た強烈な衝撃波に、神殿守護神以外誰一人として目を開けることができない。


 そうしてしばらくして、四散した光と闇の魔力が周囲の闇に溶けて消え去った頃。

 ようやく断末魔の絶叫と衝撃波も収まり、辺りには静寂が横たわる。

 身体の自由が戻ってきたレオニス達が、おそるおそる警戒を解いて前を見た。


 レオニス達の視界に飛び込んできたのは、神鶏グリンカムビの煌々と光る身体のみ。他にはぱっと見何も見当たらない。

 そして、それまで天空島勢と援軍の前に立ちはだかり続けてきた邪竜の島もない。

 数頭の邪竜が生き延びたようだが、それ以外にこの空を浮遊しているものは何もなかった。


 どれだけキョロキョロと周囲を見回してみても、邪竜の島は影も形もない。

 邪皇竜メシェ・イラーザとともに、跡形もなく吹き飛ばされていた。


 光と闇の圧倒的な魔力の前に、邪皇竜メシェ・イラーザは完全に屈し潰えた。邪竜の島から常時発していた、禍々しい魔力や気配ももう全く感じない。

 事ここに至り、完全勝利を確信したレオニスが勝利の勝鬨を上げる。


「…………俺達の勝利だ!!」

「「「……うおおおぉぉぉぉッ!!」」」


 レオニスの勝利宣言はあっという間に周囲に伝播し、大きなうねりとなってあちこちで雄叫びが響き渡っていた。

 邪竜の島討滅戦の勝敗確定です。

 ぃゃー、ここまでくるのに長かった……って、いつものことなんですけど。

 文字数は若干少なめですが、キリのいいところで締め。

 でもって、今日は第1200話。これまたキリのいいところでライト達の勝利が確定したというのが、作者的にはちょっぴり嬉しかったりなんかして( ´ω` )


 そしてクロエの五つの目や普段の目隠しについてちと補足。

 クロエはもともとの双眸以外にも、額にも目が複数あります。

 普段はそれらの目も全部隠さなくてはならないため、目元だけでなく額まで全部鋼鉄の包帯で覆われています。


 でもってこの包帯というのも、実はあくまでも見た目が包帯っぽい模様になっているだけで、本当に頭を全部グルグル巻きにしている訳ではありません。そんなことしたら、蛇髪が生えにくくなっちゃいますし(´^ω^`)

 なので、イメージ的にはよく仮面舞踏会で着けるような目元限定の仮面ですね(゜ω゜)

 これを額まで拡大した大きな仮面を着けている、と想像してみてください(^∀^)

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