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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
邪竜の島討滅戦

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第1194話 秘密の約束と作戦決行

 そうしてレオニスがヴィゾーヴニルとグリンカムビにカタポレン産の巨大林檎を与えている間に、天空島の天使やシュマルリの竜達、竜騎士が続々と集まってきた。

 皆それぞれの上役に従い、戦闘から離れて指定場所に避難してきた者達だ。


「オウ、レオニスジャネーカ」

「お、獄炎か。邪竜退治ご苦労さん」

「早速ダガ。エクスポクレ!」

「俺ニモクレ!」

「お前らなぁ……俺の顔見た途端言うことがそれか?」


 いつもレオニスと戯れている獄炎竜と、そのすぐ後ろにいた迅雷竜。ここで会ったが百年目!とばかりに、早々にレオニスにエクスポーションをおねだりしている。

 これは、レオニス達の間でいつも繰り広げられる光景だが、今は獄炎竜達のリクエストにすぐに応える訳にはいかない。

 何故ならこの場には、お馴染みの二頭以外の獄炎竜や迅雷竜もいるからだ。


 シュマルリの竜族全員に、エクスポーションの美味しさ?が広く知られては困る。そんなことになったら、ただでさえものすごい勢いで消費しているエクスポーションがいくらあっても足りないことになってしまう。

 それだけは何としても避けたいレオニス。馴染みの二頭にチョイチョイ、と手招きしつつ他の竜がいない場所でひそひそ話を始めた。


「すまんな、今エクスポの手持ちを切らしているんだ」

「エーーー、ソンナァーーー」

「俺達、一生懸命、頑張ッタノニ……」

「本ッ当ーーーにすまん!つーか、お前ら以外の竜達にエクスポの存在を知られるのが一番マズいんだ」

「「何デダヨーーー!!」」


 大好物のエクスポーションがもらえないことに、獄炎竜と迅雷竜がブーブーと文句を垂れる。

 そんな駄々っ子達にレオニスは、はぁ……とため息をつきつつ説明し始めた。


「いいか、お前ら。よーく聞けよ?」

「「ウンウン」」

「お前ら竜族ってのは、悉くエクスポが大好きだよな?」

「ソリャアナ!」

「アンナ美味(ウメ)ェモンハ、二ツトナイゼ!」


 レオニスの問いかけに、二頭ともうんうんと頷きつつ同意する。

 ドヤ顔でエクスポーションの美味しさを称賛する二頭に、レオニスはなおも話を続ける。


「そしたら、お前ら以外の他の奴らだって、エクスポを食ったら絶対に『美味い!』と思うよな?」

「「ウンウン」」

「そこで、だ。お前ら、よーーーく考えろ。他の奴らがエクスポの美味さを知ったら、どうなると思う?」

「「???」」


 さらなるレオニスの問いかけに、今度は不思議そうな顔をする獄炎竜と迅雷竜。

 レオニスの方も、もはや竜達相手には『エクスポーション=美味しい食べ物』扱いしている。

 そしてレオニスは真剣な顔つきで、その答えを二頭に告げた。


「お前らが食べられるエクスポの量が、今よりすっごく減る、ということだ」

「「!?!?!?」」


 レオニスが告げる非情な答えに、獄炎竜と迅雷竜がガビーン!顔になっている。

 そしてだんだんとその顔色が青褪めていき、ワナワナと身体を震わせて猛抗議し始めた。


「ソ、ソンナ!オ、オマエ、何テ、酷イコトヲ、言ウンダ!」

「ソウダ、ソウダ!今ダッテ、モットモット、タクサン、食イタイノヲ、我慢シテイルトイウノニ!」

「でも、お前ら以外の奴らもエクスポの美味さを知ったら、他の奴らだってお前らみたくたくさん食いたがるだろ?」

「「……ソ、ソレハ……」」


 レオニスの正論に、獄炎竜も迅雷竜もぐうの音も出ない。

 そんな二頭に、レオニスが追討ちをかける。


「でな? 俺も今以上に大量のエクスポを用意するのは、正直なところキツいんだ。今だってお前ら相手に毎回何百本も食わせてるし、竜騎士達に至っては毎回千本のエクスポを用意しては全部消えるって話だからな」

「「…………」」

「そもそもあれは、人族が怪我を治すために使うもんだ。原材料の薬草だって無限じゃないし、今の人里は薬草不足に悩むところも出てきているらしい」

「「…………」」

「そこへ来て、さらにお前ら以外の竜達にもエクスポを配らなきゃならん、となったら……一頭当たりに配るエクスポの数が大幅に少なくなるってのは、分かるよな?」

「「…………」」


 先程の猛抗議の勢いが嘘のように消えて、しょんぼりとする獄炎竜と迅雷竜。

 レオニスの話を聞くに、薬草不足からエクスポーション激減の未来が二頭にも見えたようだ。


 もし他の竜達も、今ここでエクスポーションの美味しさを知り、自分達のようにレオニスに『食ワセロ!』とねだったら―――

 竜達に甘いレオニスのことだ、皆に平等に配るに違いない。

 そうなったら、今までのように好き放題たくさん食べさせてもらうことはできなくなるだろう。


「そんな訳でな。エクスポの存在は、これからも白銀とお前ら四頭の合計五頭だけの秘密にしておきたいんだ。お前らも、エクスポのことを他には言わずに内緒にできるか?」

「「……(コクコク)……」」

「おお、分かってくれたか!」

「「……(コクコク)……」」


 ようやくレオニスの言わんとしたことを理解し、納得した獄炎竜と迅雷竜。

 これまでのようにたくさんエクスポーションを食べたかったら、他の竜達には内緒にした方がいい。万が一にも秘密が漏れたら、美味しいエクスポーションの取り分が減ってしまう。それは絶対に嫌だ!と考えたようだ。

 ちゃんと聞き分けてくれた二頭に、レオニスも破顔しつつ別のご褒美を取り出した。


「そしたら、エクスポの代わりと言っちゃ何だが……これは俺の家の近くの畑で作られた『林檎』という果物だ。良かったら、こいつを食べてくれ」

「「アーーーン」」


 エクスポーションの代替品として、カタポレン産の巨大林檎を取り出したレオニス。先程神鶏達に提供したのと同じものだ。

 獄炎竜と迅雷竜も、それが食べ物だということが分かるようで、早速その口を大きく開けて待ち構えている。

 その期待に応えるべく、レオニスは巨大林檎を一個づつ二頭の口に放り込んだ。

 皮剥きも芯取りも不要で、実に楽ちんな与え方である。


 そうして口に放り込まれた林檎を、しばしもっしゃもっしゃと無言で食べる獄炎竜と迅雷竜。

 咀嚼した林檎をゴッキュン!と飲み込んだ二頭が笑顔になる。


「オオ、コノ林檎ッテノモ、ナカナカニ、美味(ウメ)ェナ!」

「甘クテ、シャリシャリシテテ、口ノ中ニ、イイ香リガ、スル!」

「「オカワリーーー♪」」


 レオニスが与えた林檎の美味しさに、速攻でご機嫌になる獄炎竜と迅雷竜。

 花咲くような笑顔で早速おかわりをねだる二頭に、レオニスも苦笑しながら応じる。


「ッたく、しゃあないなぁ……あと四個づつ、全部で五個づつ食わせてやるから、ほれ、口を開けろ」

「「アーーーン♪」」


 労いの林檎を追加で四個づつ、計十個を二頭に食べさせてやることにしたレオニス。

 獄炎竜と迅雷竜も、素直にレオニスの言うことに従い再び口を大きく開けて待ち構える。

 次々と林檎を口に放り込むレオニスに、獄炎竜と迅雷竜は満足そうに食べていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そうして馴染みの獄炎竜と迅雷竜を宥めることに成功したレオニス。

 改めて神鶏達のもとに戻ると、かなりの数の天使や竜、竜騎士が集まってきていた。


『レオニス、獄炎竜と迅雷竜は全員避難しましたよ』

「お、白銀、ありがとう。ご苦労さん」

「レオニス卿、竜騎士も三十騎全員揃いました」

「おお、竜騎士達も避難完了したか。ディランもお疲れさん。あとは、パラスの報告待ちだな」


 白銀の君とディランの報告を受けたレオニスが、天使達の集まりの方を見遣る。

 見たところ、今ここにいる天使の数は七十人くらいか。

 他にもまだ神殿の島にいる者もいるかもしれないが、いずれにしてももう少し待たなければならない。

 何しろこの中で一番人数が多いのは天使。その数百を超えるだけあって、全員の集結が最も手間取るのは致し方ない。


 そして、戦っている者達の退避を開始してから約八分後。

 パラスがレオニスのもとに来た。


「レオニス、天使達の全員の退避確認ができたぞ!」

「よし、そしたら全員ヴィーちゃんとグリンちゃんの後ろに行け!今から浄化砲を撃つ!」

「「『了解!』」」

「ピース、ヴィーちゃん達に身体強化魔法と浄化砲の準備を頼む!」

「らじゃー!」


 レオニスの采配に、その場にいた全員が従い即時動き出す。

 レオニスとピース、神鶏達に付き添う二人の女王、そしてレオニスの肩でレオニスに寄り添う闇の精霊以外の者達が一斉に後方に移動していく。

 その中で箒に乗ったピースが神鶏達の前に浮き、二羽に向けて立て続けに身体強化の呪符魔法を施す。

 神鶏達の目の前に展開された魔法陣が、それぞれの身体に吸収されていく。これでヴィゾーヴニル達の魔法攻撃力が二倍に上昇した。


 そしてピースは間を置かずに、今度は神鶏達に背を向けて浄化砲の砲門となる巨大な魔法陣を描き始める。

 まず一枚目の魔法陣を描き上げたピース。

 一分の隙もない完璧かつ緻密な魔法陣。闇夜に浮かぶ巨大な魔法陣は煌々とした輝きを放ち、その光によって遠くに浮かぶ邪竜の島が照らし出された。


 ピースは一枚目の魔法陣に手を翳し、その位置を動かす。邪竜の島を魔法陣の真正面に捉えるためだ。

 一枚目の魔法陣の位置修正を終え、ピースはさらに二枚目、三枚目と続き、五枚目の魔法陣をあっという間に描き上げた。

 それは神樹襲撃事件の時と同じく、五枚重ねの魔法陣の完成である。


「レオちん、いつでもいけるよ!」

「よし!光の女王、雷の女王、頼んだ!」

『『ええ!』』


 ピースの合図を受けて、レオニスが二人の女王に遂行を委託した。

 今はもう夜明けのタイミングを図りながら待つ必要はない。準備が整い次第、即時発射可能だ。

 そしてその発射の合図を出すのは、レオニスの役目ではない。その役割は、神殿守護神である神鶏達と対をなす属性の女王達が果たすべきものなのである。


 レオニスが出した合図に、光の女王と雷の女王も即時反応し動き出した。


『グリンちゃん!今よ!』

『ヴィーちゃん、いッけーーー!』


 二人の女王の号令に、二羽の神鶏達はほぼ同時に鳴き声を放った。


『『クエエエエェェエエ工ッッッ!!!!!』』


 ヴィゾーヴニルとグリンカムビ、二羽が放った鳴き声が光の柱となり螺旋状に絡み合う。

 注連縄のようなスパイラルビームと化した強力な光線が、邪竜の島目がけて真っ直ぐに進み、ドカーーーン!と直撃した。

 天使や竜族、竜騎士が避難している間の待ち時間の幕間です。

 天空島勢と援軍全員が一ヶ所に集結するのだから、レオニスと顔馴染みのあの二頭とも顔を合わせるよねー、と思って作中に登場させたのが運の尽き。

 この子達、これまたいつものように『エクスポ食ワセロー!』と作者の頭の中で仰いましてねぇ…(=ω=)… ホントはこんなことしてる場合じゃないんですが><


 でも、馴染みの獄炎竜や迅雷竜の性格やこれまでの言動を考えると、絶対になーも考えずにレオニスにおねだりするよなー……とも思いまして。そもそもあの中位ドラゴン達、そこまで賢くないというか空気が読める利発な子達じゃないですしおすし。

 なのでここは、レオニスの思惑=これ以上エクスポ消費したら敵わん!というのも絡めて宥めることに。

 緊張が続く中での箸休め的なご愛嬌、と思っていただければ幸いです(´^ω^`) ←シリアスが続くのが苦手な人


 そして邪竜の島との戦いもいよいよ佳境に。

 レオニス達の努力と決死の覚悟がどうか実りますように……!

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