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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
邪竜の島討滅戦

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第1178話 竜族達の加勢

 カタポレンの家からシュマルリ山脈に移動したライト達。

 シュマルリ山脈南方の転移門は、竜王樹の根元すぐ近くにある。

 ライト達が移動した直後に目に映ったのは、ドラゴン達が竜王樹の前に長蛇の列をなして並んでいる姿だった。


 何十頭と並ぶドラゴン達が、ふわりとした光に包まれた後すぐに列から離れていく。

 今現在の先頭には獄炎竜が並んでいて、その後ろに迅雷竜、そのまた後ろに鋼鉄竜、獄炎竜が並んでいて、列を崩すことなくのっそのっそと前進しながら歩いている。

 この謎の光景に、ライトは半ば呆然としながら呟く。


「こ、これは一体……?」

『おや、誰かと思えばライトにラウルではありませんか』

「あッ、白銀さん!」

「よう、白銀の君。久しぶり」


 突如ライト達の背後に現れた白銀の君。

 彼女は竜王樹ユグドラグスの横、転移門のある方の反対側にいたらしい。

 ライトは挨拶も早々に、白銀の君に質問をぶつけた。


「これ、ドラゴンの皆さんは一体何をしているんですか?」

『これは今、我が君に一頭づつ加護を与えていただいているのです。この転移門を使用するには、最低でも一つは神樹の加護を得ていなければなりませんので』

「あ、そういうことだったんですね!」


 白銀の君の答えに、ライトがハッ!とした顔で頷いている。

 竜王樹ユグドラグスが主体となって築き上げた、世界中に点在する神樹族を繋ぐ転移門ネットワーク。この転移門には『神樹の加護を一つ以上持つ者』という使用条件が入れられている。

 つまり、この転移門をドラゴン達が使用するにはユグドラグスからの加護が必要になる。

 このドラゴン達の長蛇の列は、ユグドラグスに加護を与えてもらうための列だったのだ。


 ちなみにこのドラゴンの列は、一種族につき十頭前後のドラゴン達が並んでいる。白銀の君は、この五十頭近くの中位ドラゴン達に転移門を潜らせるつもりのようだ。

 そのことに気づいたラウルが、白銀の君に声をかけた。


「こんなにたくさんのドラゴンに、竜王樹の加護を与えるということは……あんた達も、天空島で今起きていることを知っているんだな?」

『もちろんです。我が君がエルちゃん様の危機を知り、私達に助けを求めてこられたのです』

「やっぱりそうだったか……」


 白銀の君の答えは、ラウルの想像通りだった。

 ユグドラグスが持つユグドラエルの分体を通してその危機を知り、白銀の君達にもそれが伝わっていたのだ。


『本当ならば、今すぐにでもエルちゃん様のもとに駆けつけたかったのですが……あの転移門を使用できるのが、私と獄炎、鋼鉄、氷牙、迅雷だけで、他の者達は使えないことに今更気づき……慌てて我が君に追加で加護を与えていただいているのです』

『こんなことなら、もっと早くに信頼できる者を選んでおいて、我が君の加護を前もって与えていただいておけばよかった……とんだ失態です』


 白銀の君が、歯軋りしながら悔しそうに呟く。

 聞けばこれまでに竜王樹の加護を与えられていたのは、白銀の君といつもレオニスといっしょにユグドラグスのもとに遊びにくる四頭の中位ドラゴンだけだったという。

 他の者達は、ユグドラグスのもとを気軽に訪ねることなど滅多になかったらしいので、それも致し方ない。


 しかし、天空島の危機に駆けつけるには白銀の君他総勢五頭だけでは心許ない。

 そこで、白銀の君は各種族の族長達を緊急招集し、族長が信頼する者でなおかつ天空島において戦力になる者達を十頭以上掻き集めるよう通達したという。

 その大集結が、あの長蛇の列に文句も言わず粛々と並んでいたドラゴン達だった、という訳だ。


「五十頭もいれば、かなりの援軍になるだろう」

『ええ。邪竜相手の戦闘は獄炎と迅雷に任せて、鋼鉄と氷牙には天空島の守備に徹してもらいます。獄炎の炎や迅雷の雷は、エルちゃん様や天空島の木々には恐怖でしょうし』

「それがいいな」


 白銀の君が描く攻守の布陣に、ラウルも感心しつつ同意する。

 そんな話をしていると、一頭の獄炎竜が白銀の君に報告に来た。


「白銀ノ君!我ラ、獄炎ガ一族全員、竜王樹ノ加護ヲ、頂キマシタ!」

『分かりました。では早速天空島に移動しましょう』

「ハイッ!!」


 獄炎竜の報告に、早速白銀の君が動き出す。

 ライト達は急いで転移門の外に移動し、総勢十二頭の獄炎竜が転移門の中に入る。

 もともとここの転移門は竜族達が使うことが前提となっているので、設置された転移門もかなり大きく作られている。

 とはいえ、それでも中位ドラゴンが十頭も入ればかなり手狭になるのだが。


『獄炎、この転移門の使い方は分かりますか?』

「エ、エート……前ニ、三回ホド、練習シタ、コトハ、アリマス、ガ……」

『……覚えてないんですね?』

「……ハイ……スミマセンデス……」


 はぁー……とため息をつく白銀の君に、獄炎竜は申し訳なさそうに縮こまる。

 転移門は魔法陣の内側からパネル操作しないと作動しない。

 誰かが内側からパネル操作をしなければならないのだが、獄炎竜達はこの転移門の操作方法をほとんど理解できていないらしい。

 そんな彼ら達だけでは、どうにも移動できなさそうだ。


 するとここで、白銀の君がライト達に向かって声をかけた。


『ラウル、ライト、すみませんがどちらかがこの獄炎達を天空島まで送ってやってくれますか?』

「あ、そしたらぼくが行きます!」

『ありがとう。そしたらラウルにも、次の陣の送りをお願いできますか?』

「もちろんだ。……つーか、そうなると送るのは全部で四回分だろ? ならライトと俺が一回向こうに行った後、二人でこっちに戻って二回づつ担当しよう。そうすりゃ全部向こうに送り出せる」

『そうしてもらえると助かります』


 転移門を使えないドラゴン達の送迎方法を、テキパキと決めていくライト達。

 ライト達はここには竜族達の援軍を要請に来たのだが、それ以外にも役に立てることがあって幸いである。

 するとここで、白銀の君がふとライト達の横にいた天使に目を遣った。


『……というか、そこにいる天使と思しき者は……一体何者です?』

「あ、この天使はリィシエルと言ってな、天空島に住んでいる天使の一人だ。俺のご主人様達が住む森の家に、天空島の危機を知らせに来てくれたんだ」

『そうでしたか。故に其方達の方でも、天空島の危機を早々に察知できたのですね』


 白銀の君の問いかけに、ラウルがきちんと答えている。

 当のリィシエルは、それまでドラゴン達の長蛇の列や巨大な竜王樹など、見たこともない光景にずっと驚いてばかりいた。

 しかし、ここに来て白銀の君から直々に声をかけられたことに、慌てて姿勢を正し深々と頭を下げた。


「お、お初にお目にかかります!私は天空島の警備隊副隊長を務めるリィシエルと申します!」

『私は白銀の君、我が君である竜王樹ユグドラグス様のお傍に仕える者。リィシエルとやら、面を上げなさい』

「は、はい!」


 自己紹介をするリィシエルに、白銀の君も冷静な声で名乗りを上げる。

 そして面を上げるように言われたリィシエルが、ガバッ!と頭を上げて上を見上げた。


『此度の事態は、我が君の姉君であらせられる天空樹、エルちゃん様の危機。我らも見過ごす訳にはまいりません。それに、邪竜どもは我が君をも付け狙う不遜にして不埒な輩。竜族の風上にもおけぬ愚者は、我らが引導を渡してやりましょう』

「ぁ……ありがとうございます……ッ……!」


 白銀の君の励ましの言葉に、リィシエルが感激の面持ちで礼を言う。

 今リィシエルの目の前にいる、壮絶に美しい白銀色の鱗を持つ巨大な竜。まさに竜の女王を名乗るに相応しい風格を備えている。

 竜の女王が自ら援軍を率いて駆けつけてきてくれるなど、これ程心強いことはない。


 そしてここで、転移門に入ったライトが白銀の君に向けて声をかけた。


「じゃ、ぼくが今から獄炎さん達を天空島にお連れします。次にラウルが向こうに行ったら、二人で一旦ここに戻ってきますね!」

『よろしく頼みましたよ』

「はい!ラウルはぼく達が移動した後、一分くらいしたらこっちに来てね。その間にぼくは向こうで獄炎竜さん達を魔法陣の外に出しておくから、ラウルの方でも次に移動する迅雷さん達を魔法陣の中に入れといてね」

「了解」


 白銀の君とラウルに声をかけた後、ライトはすぐに転移門のパネルを操作して瞬間移動していった。

 その後ラウルはライトの言いつけ通り、迅雷竜を集めて転移門の魔法陣の中に詰め込む。

 そしてラウルも迅雷竜達とともに天空島に移動していった。

 前話で三手に分かれて行動を開始したライト達。まず手始めは主人公たるライト側からです。

 これまでのシュマルリ山脈南方での話で、出てきた中位ドラゴン達は全部名無しの特定の一頭づつだったのですが。獄炎竜、鋼鉄竜、氷牙竜、迅雷竜と呼ばれるドラゴンが各一頭づつな訳もなく(´^ω^`)

 当然、それぞれ何十頭どころか数百頭は広大な山中に散らばって存在しています。

 今回白銀の君は、竜族の総力を挙げて天空島勢に加勢すべく、それら全ての竜族達の主戦力を少数精鋭で選出して送り出そうとしていたのです。

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