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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
年末年始と冬休み

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第1126話 二度目の冬休みの終わり

 ライト達三人が、炎の洞窟及びエリトナ山で重大ミッションをこなした翌日。

 この日は一月六日の日曜日。ライトの冬休みの最後の日である。


 朝早くに起きて、ルーティンワークの魔石回収作業に勤しむライト。

 カタポレンの森の中、何十箇所とある魔石生成箇所を効率良く駆け巡る。


「あー、明日からラグーン学園の始まりかぁ……冬休みがもう終わりって、早過ぎくね?」

「つーか、長期休暇が終わるのが本当に早過ぎる件。今年の冬休みも、結局は去年と大差ないくらいに忙しかった……」

「サイサクス世界での人生、ホンット忙し過ぎ!……でもまぁ楽しいからいいけど!」


 ライトは森の中を走り回りながら独りごちる。

 今年の冬休みも、結局はゴロ寝三昧などできなかった。全く外に出かけなかったのは元旦くらいのもので、それ以外の日は全部どこかしらに出かけていた。

 あまりにも忙し過ぎて『寝正月? ハァ? 何ソレ美味しいの?』状態である。


 しかし、そんな二回目の冬休みも今日で終了。

 冬休み最終日ということで、今日のライトは冬休みの宿題の最終チェック等を理由に一日フリー状態にしてある。

 もちろん冬休みの宿題は全部済ませてある。計算ドリルや文字の書き取りはもちろんのこと、書き初めも絵日記もちゃんと書いて仕上げた。

 なので、今日はライトがしたいことだけをしてのんびりと過ごす予定である。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ライトがまず午前中の一発目に出かけた先はイェソド。

 その目的は、シルバースライムとの触れ合い入浴タイムを実践するためである。

 マッピングスキルで銀鉱山入口に移動したライト。一見誰もいない山中に向かって声をかける。


「シルバースライムの皆、いるー? ぼくだよ、ライトだよー」

「「「♪♪♪」」」


 ライトの呼びかけに応じ、十匹のシルバースライムが続々と姿を現した。

 足元に寄ってきた十匹のシルバースライム、その一体一体の頭をライトが優しく撫でつつ話しかける。


「皆、久しぶりだねー。元気にしてた?」

「「「♪♪♪」」」

「今日は皆のお待ちかね、新年初のお風呂にしようねー」

「「「♪♪♪」」」


 ライトの口から『お風呂』という言葉を聞いたシルバースライム達が、もっちゃりとした銀色の身体を上下させて喜んでいる。

 ライトがシルバースライムを手懐けることができたのが、昨年の十一月頃。

 そこからまた二ヶ月以上が経過した今では、ライトとシルバースライムはさらに仲良しになっていた。

 その証拠にライトがお湯張りの作業をしている間、十匹のシルバースライム達は全員桶の周りに待機していて今か今かと待ち侘びているくらいである。


 イェソド東の銀鉱山の廃坑道入口付近で、いつものように木製の巨大桶に湯を張るライト。

 お湯が適温になったところで、十匹のシルバースライムがいそいそと風呂に入っていく。

 シルバースライム達がゆったりと入浴を楽しんでいる間、ライトは彼らの餌である銀塊を手でパキポキと割っては周囲に適宜撒いておく。

 こうしておくことで、シルバースライム達が飢えないようにしているのだ。


 そして温かい風呂を堪能したシルバースライム達が、巨大桶の横に設置してある木箱に上っていく。

 ライトは湯上がりのシルバースライム達を順次バスタオルで拭くなど、甲斐甲斐しく世話を焼いていた。


 シルバースライム達が風呂から上がったら、今度は残り湯の処理タイムだ。

 数回の【遠心分離】を経て、銀色のぬるぬる、ねばねば、べたべたを採取するライト。その作業ももう何度もこなしているので、テキパキとしていて実に手際が良い。


 今のペースを継続していけば、ライトの大本命である銀色のべたべた十個分は三月頃に完了するであろう。

 もちろんライトとしては、その後もシルバースライム達との交流を続けていくつもりだ。

 もともとシルバースライム由来の各種素材は有用であり、是非とも今後も積極的に確保していきたい。……というのは半分くらい建前で、ライト自身シルバースライムとの交流が楽しい、という面も大いにあるのだが。


 シルバースライム由来の各種素材を採取し終えたライト。

 再びライトの足元に寄ってきたシルバースライム達の頭を撫でながら、全員に声をかける。


「皆、いつもありがとうね。皆のおやつやご飯の銀もたくさん撒いておいたからね、後で皆で仲良く食べてね」

「「「♪♪♪」」」

「それじゃ、ぼくはもう帰るけど、また来るからね!」

「「「♪♪♪」」」


 身体を上下に伸び縮みさせながら、ご機嫌な様子でライトを見送る十匹のシルバースライム達。

 ライトはマッピングポイントの上に立ち、次の目的地に向かって消えた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 イェソド東から移動したライト。

 次の目的地は北レンドルー地方。咆哮樹同様、毎度お馴染みマキシマスポーションとギャラクシーエーテルの素材であるディソレトホーク狩りのためである。

 ここで二時間程魔物狩りをし、ディソレトホークのストックを増やしておく。


 いつもは一時間程度で狩りをやめるのだが、今日はストック欲しさにその倍近くの時間を費やすライト。

 他の材料の大半はカタポレンの森で調達可能だが、咆哮樹やディソレトホークは違う。生息地が森の外なので、材料は獲れる時にまとめて獲っておきたいのだ。


 そしてそれ以外にもう一つ、大きな目的がライトにはあった。

 それは『なるべく自身のレベルを上げておくこと』である。

 いつもなら、ライトはレベルアップが頭打ちになると転職神殿でレベルリセットをする。そうすることで、低レベル帯ならではの恩恵『レベルアップによるSP回復』で魔物狩りや職業習熟度上げを効率良く行うためだ。


 だが、ライトは近々とある危険な場所に赴かなければならない。

 その危険な場所とは、センチネルの浜辺から見える海の向こうの孤島ブリーキー島。そこにある『呪われた聖廟』がライトの本当に行きたい本命の場所である。

 そこにはライトが求める強化素材『神威鋼』の原材料の一つ『マナクリスタル』のもととなるモンスターが全ている。

 そう、ライトがクエストイベントのエクストラクエストを進めるには、どうしてもこの『呪われた聖廟』に行かなければならないのだ。


 しかし、この『呪われた聖廟』にはレオニスもラウルも連れていくことはできない。その目的を正直に明かすことができないからだ。

 とてもじゃないが『BCOのクエストイベントのために必要だから!』なんて口が裂けても言えない。その上『呪われた聖廟』なんて如何にも危険な地に、わざわざ赴くような真っ当な他の理由を用意できるはずもない。


 そうした諸々の理由により、ライトは『呪われた聖廟』に単身で挑まなければならない。

 もし連れていけるとしてもライトの使い魔達、転職神殿のミーナとルディやフォル、ウィカくらいのもので、いつものようにレオニスやラウルの力を頼ることは不可能。

 故にライトは、今から『呪われた聖廟』に挑むためにレベルリセットせずにひたすらレベルアップに励んでいるのだ。


 北レンドルーの魔物は中程度の強さなので、ライトのレベルが30を超えたあたりからレベルアップの頻度が落ちていく。

 レベルアップがなければ、尽きたSPを補充するにはエネルギードリンクを飲むしかない。一分間に1回復する自然回復を、荒野の中でいちいち待ってなどいられない。

 エネルギードリンクを片手に、ライトは物理系必中スキル【手裏剣】を繰り出しては魔物狩りを続ける。


 最初のうちは、一口飲むどころか一舐め二舐めでちびちびとSP回復してはレベルアップに繋げていく。

 エネルギードリンクは一口飲むことでSP50回復するので、あと一回二回の【手裏剣】でレベルアップするような『あともうちょっとで上がる』という場面では、一口飲むのは過剰回復となってもったいないことになるからだ。

 何てケチ臭い!と侮ることなかれ。エネルギードリンクとは本来ならとても貴重な品であり、ハイポーションやハイエーテルみたいに湯水のように使える安い回復剤ではないのだ。


 そうして質素倹約に励みつつ、北レンドルーで魔物狩り兼レベリングを続けたライト。

 その結果、ライトのレベルは55に達した。

 ライトは一旦休憩を取るため、魔物除けの呪符を一枚使用してからエクスポーションを飲む。

 そしてエクスポーション片手に、マイページで自身のステータス値をチェックしている。


「ンー、ようやくレベル55か……レベル的には問題ないんだけど、今の俺には強力な武器と呼べるものがないからなぁ……レオ兄に作ってもらったワンドもあるけど、『呪われた聖廟』で使って万が一壊したり失くしたりする訳にはいかんし」

「武器はマイページ内のGショップで見繕うにしても、ショップ武器にも一応装備可能レベルがあるからな……」


 ライトはホログラムを指でタップし、マイページ内のGショップ欄に移動する。Gショップ欄に出てくる武器一覧で、装備可能レベルをチェックするためだ。

 それによると、今現在Gショップで購入できる武器の中で最も強力なのは『重装兵の突槍』と『ハピネスロングソード』。どちらも装備可能レベルは85だった。

 それを見たライト、思わず渋い顔になりながら呟く。


「くッそー、今からあと30もレベル上げしなきゃならんのか……こりゃ今日中は無理どころか、あと一ヶ月か二ヶ月くらいはかかるかもしれんなぁ」

「しかし、こればかりはしゃあない……冬休みも今日で終わりだし。レベリングするにしても、これからはまた当分土日休みくらいしか実行できんし」

「……ま、焦ってどうにかできるもんでもないか。今やれることを日々地道に続けていくだけだ」


 最初は唸るような声でブチブチと零していたライト。

 だが、ここで焦ってもどうにもならないこともライトは知っている。

 レベリングに欠かせないSP回復剤、エネルギードリンクは無限ではないし『呪われた聖廟』があるブリーキー島にも今すぐ乗り込める訳でもない。

 そう、『継続は力なり』を信じて日々ラグーン学園に通う傍ら、有意義な週末を過ごすことが最善なのだ。


「よーし、そしたらカタポレンの家に帰って今から解体作業でもするか!」


 早々に気分を切り替えたライトは、早速次にやるべきことを見つける。

 マイページをスキル欄に変更し、マッピングスキルでカタポレンの家に戻っていった。

 気がつけばというか、ようやくというか、ライトの冬休みの終わりの日がやってきました。

 ライトの二回目の冬休みが始まったのは第1073話で、前の日の二学期終業式のフライング範囲を含めると第1068話からですか(゜ω゜)

 第1068話からの始まりとしても58話、途中拙作の三周年記念SSが3話あるのでそれを引いて55話。そう考えると、まあまあ早くに終わった方、かな?(・∀・)

 ……とか言いつつ、リアル時間に換算すると二ヶ月弱かかってることになるんですがね…( ̄ω ̄)…


 いずれにしても、冒険三昧の日々もしばらくお預けです。

 次の冒険三昧は春休み、それまでまた週末冒険の日々になります。

 つーか、そしたら次の章のタイトルを考えねば…( ̄ω ̄)…

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