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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
年末年始と冬休み

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1124/1685

第1124話 さらなる報酬

 作者からの予告です。

 明日は一日出かける予定が入っているので、明日の更新はお休みさせていただきます。

 明後日の月曜日からはまた更新再開しますので、何卒ご了承の程よろしくお願いいたします。

 ガンヅェラと朱雀の名付けという大役を果たしたライト達。

 喜色満面の火の女王が、ライト達に向けて声をかけた。


『ではラウル、其方にも火の勲章を授けよう』


 火の女王はそう言うと、右の手のひらの上に魔力を貯めて火の勲章を作り上げた。

 出来たてほやほやの火の勲章を、ラウルに直接手渡す火の女王。

 そしてレオニスに向けて、改めて問うた。


『此度も其の方達には大変世話になった。特に妾達の守護神への名付けは、ラウルに妾の加護や火の勲章を渡しただけでは到底足りぬ。他に何か望むことはないか? 妾にできることならば、何でも叶えて進ぜよう』

「他の望み、か? ンーーー、俺は特にはないが……ライト、ラウル、お前達は何か火の女王にしてもらいたいこととかあるか?」

「「ンーーー……」」


 もっと褒美をくれるという火の女王。

 レオニスは特には思いつかなかったので、ライトとラウルに話を振った。

 すると、ラウルがはたとした顔になりレオニスに問うた。


「なぁ、ご主人様よ。このエリトナ山には確か、火山蜥蜴がいるよな?」

「ああ。そもそも火山蜥蜴ってのは、このエリトナ山にしか出ない固有の魔物だ」

「なら、是非とも火山蜥蜴狩りをしたいんだが。火の女王、このエリトナ山で魔物狩りをしてもいいか?」


 ラウルが思いついたのは、火山蜥蜴狩り。

 実は火山蜥蜴は、その肉は人里において最高級珍味として扱われている。

 しかし、火山蜥蜴の生息地がこのエリトナ山ということもあって、その流通量は極僅か。わざわざエリトナ山に入って火山蜥蜴を狩り、その肉を人里に持ち帰る者自体が滅多にいないからだ。

 故に長年ラグナロッツァに住むラウルですら、火山蜥蜴の肉は指折り数える程度しかお目にかかったことがない。


 しかもそのお値段もかなり高く、ラウルが目撃した数少ない例で言うと100gあたり5000Gという値がつけられていた。

 肉類はいつもkg単位で買うラウルに、その値段はさすがに敷居が高過ぎた。

 如何にラウルが料理馬鹿の食材マニアであろうとも、やはり予算の限度額というものは厳然として存在するのだ。


 かつてラグナロッツァの肉屋の前で、血涙を流しながら断腸の思いで見送った火山蜥蜴の肉。

 それがこのエリトナ山で狩れるとあれば、この好機を逃すラウルではない。

 早速火の女王に頼み込む即断即決ぶり、実にラウルらしい。


 そんなラウルに、火の女王は快く頷く。


『何だ、その程度のことでよければいくらでもこのエリトナ山で狩りをするがよい。ただし、狩りで怪我を負うても妾は助けぬぞ? そこは自己責任だし、我がエリトナ山の魔物達相手に無傷で帰るくらいの実力がなければ話にならんからの』

「もちろんだ。それくらいのことは出来て当然だ」

『その意気だ』


 ラウルの願いを快諾すると同時に、ニヤリと笑う火の女王。

 このエリトナ山の魔物も、BCOではリポップする通常雑魚魔物の範疇に入る。だがそれでも、他の冒険フィールドの雑魚魔物に比べたらかなり強い部類だ。

 火の女王の不敵な笑みは、エリトナ山の固有魔物達の強さを示唆するとともに、ラウルがそれを軽々と打ち破ってくれることを期待しているのだ。


 するとここで、ラウルの願いを聞いたレオニスが話に加わってきた。


「あー、そしたら俺もラウルについていくかな」

「何だ、ご主人様も何か狩りたい魔物がいるのか?」

「ああ。前にピースとここに来た時に、ピースのやつがここの鬼火や荒魂の核を欲しがっててな。何でもそいつらの核は、一見魔石そっくりだが似て非なるものなんだと」

「そうなのか。そこら辺も火山蜥蜴と同じく、ここでしか採れないものなんだな?」

「そそそ、だからピースへの手土産にしたいんだよな。あいつには今後も浄化魔法の呪符で世話になる予定だし」


 レオニスの魔物狩り参戦の理由。

 それは『魔術師ギルドマスターのピースへの手土産』であった。

 レオニスにとって、ピースが作成する浄化魔法の呪符『究極』は、廃都の魔城の四帝が仕掛ける穢れに対抗する切り札。そしてこれからも、様々な場面でピースの力を借りることになるだろう。

 そんなピースに、少しでも借りを返していきたい―――レオニスにはそうした思いがあるのだろう。


 そしてレオニスがピースの名を出したことに、火の女王が真っ先に反応した。


『おお、ピースとは先日ここに来た魔術師のことか?』

「ああ。このエリトナ山の骸骨の大掃除、その時に使った浄化魔法の呪符の作り手な」

『あの者への土産か!ならば其方も好きなだけ魔物狩りしていくが良いぞ!何せあの者は、妾達姉妹の命の恩人だからな!』

「おお、そりゃありがたい。きっとピースも大喜びするわ」


 レオニスの魔物狩りに対しても、快く応じる火の女王。

 火の女王にとってピースは、ライトとレオニス以上の大恩人。如何にライト達が有能であっても、ピースの描いた呪符なくしては穢れも骸の残骸も祓うことはできなかったのだから。

 ガンヅェラと朱雀への名付けの褒美だけでなく、大恩人ピースへの手土産も同時に用意できるとなれば、火の女王にしても一石二鳥の万々歳!である。


 エリトナ山の主である火の女王の許諾を得て、レオニスとラウルはエリトナ山で魔物狩りすることが決まった。

 当然ライトもついていく気満々である。


「じゃあ、ぼくはレオ兄ちゃんとラウルが狩った魔物や核を拾う係するね!」

「おう、よろしくな」

「よし、火山蜥蜴を百匹は狩るぞ!」

『ではレオニス達が狩りに勤しむ間、妾達はマグマ浴をして過ごそうか』

『はい!火の姉様とマグマ浴できるなんて、嬉しゅうございます!』

「ピィピィ♪」


 全員の行動が決まったところで、火の女王がライト達に声をかける。


『其方達も存分に狩りに励めよ。狩りを終えたら、エリトナ山火口からマグマに入るがよい。妾達はタロンの近くでマグマ浴をしておるでな』

「分かりました!いってきまーす!」


 こうしてライト達は火の姉妹と一旦分かれ、三人でエリトナ山を下っていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 エリトナ山山頂からどんどんと下山していくライト達。

 もちろん三人とも、火の勲章と炎の勲章は空間魔法陣やアイテムリュックに仕舞ってある。これを直接持ったままだと、魔物達が寄ってこなくなるからだ。

 程なくして、どこからともなく魔物達がライト達目がけて襲いかかってくる。


「おお、これが火山蜥蜴か。思っていたよりちっこいな?」

「蜥蜴系の魔物なんて、どれもこんなもんだぞ? まぁ、中には竜族を模したような巨大な蜥蜴もいるにはいるがな」

「そんなもんか。つーか、この大きさじゃ百匹以上狩らんとならんな」

「お前、そんなに狩るつもりか……でもまぁお前の場合、肉が目的だからな。大量に肉が欲しけりゃ、それくらい狩らなきゃ満足しそうにねぇのは分かるがな」

「そゆこと」


 初めて火山蜥蜴を見たラウル、少しだけぼやいている。

 ラウルに言わせれば、火山蜥蜴の実物が『思っていたよりちっこい』だった。

 とはいえ、それでも現代日本で言うところのワニくらいの大きさは優にあるのだが。


 しかし、そこから採れる肉の量を考えると、そこまでたくさん採れなさそうなのも事実だ。故にラウルが『百匹は狩らねば!』と言い出すのも分かる気はする。

 そのためラウルは、レオニスにとある交渉を持ちかけた。


「俺も鬼火や荒魂を狩って核を全部ご主人様に譲るから、ご主人様も俺の火山蜥蜴狩りに協力してくれ。礼は後日、火山蜥蜴の肉を使ったフルコース料理でどうだ」

「乗った!」

「もちろん収穫を手伝ってくれるライトにも、火山蜥蜴のステーキや唐揚げをご馳走するからな」

「ヤッター!」


 ラウルの提案にレオニスは速攻で承諾し、ライトも美味しい報酬を約束されて飛び上がらんばかりに喜ぶ。

 火山蜥蜴の肉は、ライトはもちろんレオニスも食べたことがない。

 最高級珍味とされる肉だけに、王侯貴族ですら滅多に口にしないという、いわば『幻の肉』にも等しい。

 そんな貴重な肉をフルコースで食べられるとは、食いしん坊のレオニスやライトが食いつくのは当然である。


 ライト達がそうした労使交渉をしている間にも、鬼火や荒魂、火山蜥蜴だけでなく、エンプレスホーネット、獄炎茸、ボルケーノスライムなどのエリトナ山固有の魔物達が次々と出てきては、レオニスとラウルの水魔法でバッタバッタと薙ぎ倒されていく。

 二人とも背後に空間魔法陣を常時展開していて、彼らの仕留めた魔物の死骸や核をライトがヒョイ、ヒョイヒョイ、と放り込んでいく。

 要は幻の鉱山でいつも行われている共同作業と同じだ。


 そして、こうした魔物狩りの際は獲物をいちいち選り好みしていられないので、レオニスもラウルも襲いかかってきた魔物を全て無差別で倒していく。

 そんな中で、獲得物の仕分けをするのもライトの仕事だ。


 レオニスが倒した火山蜥蜴でも、入れる先はラウルの空間魔法陣。逆にラウルが倒した鬼火や荒魂の核は、レオニスの空間魔法陣に入れていく。

 それ以外のエンプレスホーネット、獄炎茸、ボルケーノスライムは、ライトのアイテムリュックに収納。

 皆が皆欲しいものがゲットできて、三者Win-Win-Winである。


 余談ではあるが、後日ライトはこの日ラウルが得た火山蜥蜴のうち、爪と皮、骨、牙、眼球などの素材を全部譲ってもらうことに成功した。

 ラウルの目的はあくまでも『火山蜥蜴の肉』なので、それ以外の素材は全てライトに譲渡しても全く問題ないのだ。

 特に火山蜥蜴の爪はマキシマスポーションの原料になっているので、それを思わぬところで大量にゲットできたライト。本当にその場で飛び上がって大喜びしていた。


 そうしてライト達は、小一時間程魔物狩り三昧しただろうか。

 狩りの成果にそれなりに満足できたレオニスが、ひとまずラウルに向けて声をかける。


「ラウル、そろそろ満足できたか?」

「そうだな。火山蜥蜴もかなり狩れたことだし、ぼちぼち戻るとするか」

「よし、決まりな。じゃあ皆、火の勲章を出して火口に戻るぞ」

「はーい!」

「おう」


 レオニスの掛け声に従い、ライトとラウルもそれぞれ火の勲章をアイテムリュックや空間魔法陣から取り出す。

 そしてポケットに入れた途端、それまで絶え間なく襲いかかってきていた魔物達がぴたりと姿を消し、一切現れなくなった。

 その効果はまさに魔物除けの呪符以上にして、しかも効能時間は完全無制限。ありがたくも超便利なアイテムである。


 その後ライト達は魔物達に邪魔されることなく、悠々とエリトナ山頂上に戻っていった。

 ライト達三人の、エリトナ山での魔物狩りの様子です。

 火山蜥蜴の肉が高級珍味というのは、第1008話にも出てきています。

 まぁね、エリトナ山自体が人族の侵入を容易く許さない場所だけに、そこに出る魔物達から得られる素材も必然的に高値になるというもの。

 でもって、火山蜥蜴の肉以外の素材をライトが独占でもらうという、超嬉しいオマケつき♪(・∀・)


 マキシマスポーション一個作成するのに必要な爪は5個なので、火山蜥蜴一匹につき四個のマキシマスポーションが作れる計算。

 そして火山蜥蜴を百匹以上狩ったとなれば、ライトのマキシマスポーションも四百個以上確保できる、ということに!(・∀・)

 こりゃーライトでなくても、作者までホクホク顔になるというものです♪( ´ω` )

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