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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
年末年始と冬休み

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第1105話 正月の挨拶回り

 その後ライト達は無事【Love the Palen】のお年賀セットを四つ購入し、ひとまずラグナロッツァの屋敷に戻った。

 広間のソファに座り、ひと息つくライト達。

 その横でラウルが部屋の隅に置いてあったワゴンを持ってきて、四人分のお茶を淹れている。


「皆お疲れさまー。無事買えて良かったねー」

「お疲れー。つか、あれ一体何人並んでたんだ……俺達の後ろも含めたら、絶対に百人以上いただろ?」

「ま、今話題の【Love the Palen】の二号店だからな、それだけ並ぶのも当然っちゃ当然だろ」

「でも、二号店限定のお年賀セットが買えて本当に良かったですね!」


 皆それぞれ行列に対する驚きや労いの言葉を口にする。

 確かにラウルが言う通りで、新規オープンしたばかりの超人気スイーツ店となれば新年の初売りも大行列ができるのは当たり前だ。

 しかしそんな大行列にも拘わらず、商品が即時完売になることなくライト達も買えたというのは、本当にありがたいことだ。

 きっとこの大行列を予想して、できる限り多くの商品を作り上げたのだろう。


 そんなライト達が購入したのは、【Love the Palen】二号店限定のお年賀セットAを四セット。そしてその四つの行き先は既に決まっている。

 冒険者ギルドラグナロッツァ総本部に務めるクレナ、同じく冒険者ギルドディーノ村出張所のクレア、アイギス三姉妹、そして残る一つは自分達のお味見用である。


 早速お年賀セットAを一箱取り出し、テーブルの上で蓋を開けて広げる。

 箱の中にはクッキーやマドレーヌ、カヌレなどの焼き菓子を中心として、さらには金平糖やゼリービーンズも入っている。実に色とりどりで華やかなお菓子セットだ。


「ンーーー!このカヌレ、すっごく美味しいー!」

「さすがはマスターパレンが関わる店だ、見た目だけでなく味も超一流だな」

「この金平糖という砂糖菓子、俺も作ってみたいな……製法は難しいんだろうか?」

「金平糖はカイさん達も糖分補給で愛用してるよ。見た目もすっごく可愛くて美味しいよね!」


 皆それぞれにお年賀セットの菓子を手に取り、ラウルが淹れてくれたお茶とともに頬張る。

 新年ならではの、のんびりとしたひと時をともに過ごす四人だった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 午後はライト、レオニス、ラウルの三人で冒険者ギルドを回る。と言っても、今日のところはお年賀の挨拶に行くラグナロッツァ総本部とディーノ村出張所の二ヶ所だけなのだが。

 まずは総本部に向かうライト達。正月なので道行く人も少ないが、総本部の中も珍しく閑散としていた。


 しかし、そんな中でも窓口は最低一つは開いている。

 冒険者ギルドとは公共機関としての役割が強いので、一年365日24時間誰かしら勤めているのだ。

 そしてラグナロッツァの総本部の窓口には、今日もクレナが座っていた。


 ラベンダー色の長い髪にベレー帽、ふんわりワンピースに縞々ソックス、薄い楕円形の眼鏡。クレア十二姉妹のトレードマークである見慣れた制服も、新年という空気のせいかいつもより眩く輝いて見える。

 窓口で姿勢良く座るクレアに、まずライトがいの一番に声をかける。


「クレナさん、こんにちは!あけましておめでとうございます!」

「よ、クレナ。あけましておめでとう」

「あけましておめでとう、今年もよろしくな」

「まぁ、ライト君にレオニスさんにラウルさん。あけましておめでとうございますぅー。こちらこそ、本年もどうぞよろしくお願いいたしますぅー」


 ライト達三人の姿を見たクレナ、すくっ!と席を立ちペコリと頭を下げながら新年の挨拶をする。

 そんな礼儀正しいクレナに、レオニスが空間魔法陣から【Love the Palen】のお年賀セットAを取り出し、差し出しながら話しかけた。


「これ、うちのライト達からのお年賀な。今年もよろしくな」

「ンまぁぁぁぁ、これは……【Love the Palen】のお年賀ですか!?」

「おう、しかもこないだ開店したばかりの二号店の方で買ってきた、向こうの店だけの限定品だぞ」

「あの二号店の限定品!? そそそそんな素晴らしいものをいただけるなんて……ありがとうございますぅー!」


 レオニスが差し出したお年賀に、クレナの目はキラッキラに輝きっぱなしである。

 早速お年賀を受け取ったクレナ、いそいそと机の下に仕舞い込む。


「ところでクレナ、明日マスターパレンは総本部にいるか?」

「はい、朝イチの朝礼後から午前中は総本部にいらっしゃる予定ですぅ。ただ、午後はラグナ宮殿に出かける予定が入っていて、何時にお戻りになるかまでは今のところ不明ですぅ」

「そっか、なら昼飯前に会いに行くとしよう。マスターパレンにもそう伝えておいてくれ」

「分かりましたぁー」


 レオニスが要件を伝え終えたので、奥の事務室に向かう。

 次の目的地である、冒険者ギルドディーノ村出張所に移動するためだ。

 移動中の廊下で、ふとレオニスがラウルに声をかける。


「……そういやラウルは、ディーノ村に行くのは初めてだよな?」

「ああ。今までディーノ村?に行く用事はなかったからな」

「そしたらクレアに会うのも初めて……いや、二度目か」

「クレア……ああ、受付嬢の姉ちゃん達の一番上だという姉ちゃんか。ディーノ村には一度も行ったことはないが、前に会ったことあったっけ?」

「ほれ、フェネセンの壮行会ん時に呼んだ受付嬢がいただろ」

「…………ああ、そういや招待客の中にラベンダー色の姉ちゃんがいたな」


 レオニスに言われたことで、ラウルもようやく思い出す。

 そう、ラウルは冒険者になってからまだ日も浅く、ディーノ村に行ったことはまだ一度もない。

 だが、かつてフェネセンが長旅に出る前に開催した食事会。その時にフェネセンの友として、クレアも招待客の一人として呼ばれていたのだ。


「あの時はフェネセンとの戦いで、招待客にまで気を配る余裕なんぞ全くなかったが……確かに言われてみれば、あの姉ちゃんもいたわ」

「そうそう。だからラウルがクレアに会うのは、今日で二度目って訳だ」

「二度目と言っても、前回はほとんど話をすることもできなかったからな。実質これが初めてだろ」

「だな」


 そんな話をしているうちに、事務室の転移門がある場所に到着したライト達。

 三人は冒険者ギルドの転移門を使い、ラグナロッツァからディーノ村に移動していった。

 のんびりとした正月三が日の二日目です。

 このサイサクス世界にはテレビもパソコンもスマホもないので、現代日本のような正月の過ごし方は基本的にできません。とはいえ、ボードゲームやカードゲームの類いくらいなら多分あるはずですが。


 ていうか、テレビパソコンスマホにボードゲームカードゲームがない時代まで遡ると、正月にする遊びといったら凧揚げや羽根つき、コマ回し、かるた、くらいですかね?(゜ω゜)

 今そういうので遊ぶことって、あるのかしら? 幼稚園あたりまでなら、昔ながらの遊び方ということで教えてくれていそうですけど。

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