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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
年末年始と冬休み

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第1051話 午後の予定

 転職神殿からカタポレンの家の自室に戻ったライト。

 部屋の窓から外を見ると、誰かがいる気配がする。まだ外にラウルとマキシがいるようだ。

 ライトはアイテムリュックだけ机に下ろし、早速家の外に出た。


「ラウル、マキシ君、ただいまー!」

「お、おかえり、ライト」

「ライト君、おかえりなさい!」


 ライトが出てきたことに気づいたラウルとマキシが、ライトの帰宅の挨拶に応える。

 二人は海樹ユグドライアのところでもらってきた、巨大な魚の骨を家の横の広い平地で砕く作業をしていたようだ。

 そしてライトの登場により、ラウルが今何時頃かに気づいたようだ。


「おお、もうこんな時間か。そろそろ昼飯にしなくちゃな」

「うん、レオ兄ちゃんはまだ寝てるみたい?」

「だな。まだ起きてこないところを見ると、余程さっきのアレが効いてるんだろう」

「だね……あんなに大量の魔力を使う魔法なんて、僕初めて見たよ」


 今日の未明に、ラグナ神殿にて行われた【晶瑩玲瓏】の復元作業。

 その時の凄まじい光景を目の当たりにした三人は、昨日のことを思い出して感嘆のため息をつく。

 そんな中、ラウルがいち早く気を取り直して黒の天空竜革製ロングジャケットを脱ぎ始めた。


「よし、そしたら俺とマキシが昼飯の支度をする間に、ライトはご主人様の様子を見てきてくれ」

「うん、分かった!」


 ライト達は二手に分かれて行動することにした。

 ラウルとマキシは全身に洗浄魔法をかけてから家の中に入り、台所で四人分の昼食の支度を始める。

 一方ライトはレオニスの部屋に入っていく。部屋の中では、ドデカいベットの中で大の字になってまだ寝ているレオニスがいた。


「レオ兄ちゃーん」

「……ンー……」

「そろそろ起きてー、お昼ご飯の時間だよー」

「…………おはよーぅ…………もうそんな時間か…………」


 ライトの呼びかけに、もそもそと起き上がるレオニス。

 腕を真上に上げて大きく背伸びしながら、軽く首を横に振るレオニス。

 いつもなら森の警邏は朝や午前中に済ますレオニスだが、さすがに今日ばかりは起きれなかったらしい。

 レオニスはのっそりとベッドから起きて立ち上がった。


「えーと……今から昼飯か?」

「うん、今ラウルとマキシ君が台所で支度をしてくれてるよ」

「そっか、じゃあ顔を洗ってから台所に行くわ」

「うん、皆で待ってるね!」


 二人でレオニスの自室から出て、ライトはラウル達がいる台所に行き、レオニスは洗顔するべく洗面所に向かう。

 顔を洗ってスッキリとしたレオニスが台所に入る頃には、もう四人分の昼食が用意されていた。


「おう、ラウル、マキシ、おはよう」

「おお、ご主人様、ようやく起きたか」

「レオニスさん、こんにちは!先程はお疲れさまでした!」

「レオ兄ちゃん、ラウルが今日は特別にって言いながら、たくさんのご馳走を出してくれたよ!」

「おお、こりゃ美味そうだ」


 台所のテーブルに、所狭しと並べられたご馳走の数々を見て、レオニスがパッ!と明るい顔になる。

 今日の昼食は、パイア肉の極厚ステーキに氷蟹の刺身、ジャイアントホタテのバターソテーに砂漠蟹のカルパッチョ等々、どれも美味しそうなものばかりだ。


「「「「いっただっきまーす!」」」」


 四人で食事の挨拶を唱和した後、昼食を食べ始める。

 レオニスの席の前に、特にたくさんのご馳走が置かれている。これは、今朝のレオニスの大仕事に対しての労いである。

 レオニスはそれを思いっきりバクバクと食べる。相変わらず常人が食べる量ではないが、復元魔法の行使で体力も相当削られたのだろう。

 体力回復剤のエクスポーションを一応その場で飲んではいたが、やはり美味なる食事に勝る回復剤はないのである。


 皆で昼食を食べる中、ライトが皆に向かって声をかけた。


「皆は今日の午後はどうするの? どこか出かけたりする予定はあるの?」

「俺は今日の森の警邏をまだしてないから、午後に少し回ってくる」

「俺は目覚めの湖に行くつもりだ」

「僕もラウルといっしょに目覚めの湖に行きます!」


 午後の予定を尋ねたライトの問いかけに、皆それぞれに答える。

 すると、ラウルとマキシの言葉を聞いたレオニスが二人に話しかける。


「何だ、ラウル達は目覚めの湖に用事があんのか?」

「もともと近いうちに、目覚めの湖の貝を捕りに行くつもりだったんだがな。そのついでと言っちゃ何だが、今日ご主人様が使った【水の宝珠】?の礼を言いに行くか、と思ったんだ」

「僕も久しぶりにウィカちゃん達に会いたいので、ラウルについていくことにしました」

「そうか、そういうことなら俺も警邏の前に目覚めの湖に行こう。俺こそ一番真っ先に水の女王やアクアに礼を言わなきゃならんしな」


 ラウル達が目覚めの湖に行く理由を聞いたレオニス、自分も同行すると言う。

 確かに水の女王達に礼を言うならば、それはいの一番にレオニスが行かねばならない。ラウル達だけに先に礼を言わせて自分は後で行く、なんてことはレオニスにとってもあり得ないことである。


「よし、じゃあ飯を食った後行くか。……って、ライトはどうする?」

「ぼくも皆といっしょに行く!」

「そうか、そしたら四人で目覚めの湖に行くか」

「うん!」


 レオニスの問いかけに、ライトは同行することを即答する。

 いや、本当はライトは午後はルティエンス商会に行くつもりだった。先程転職神殿で見た新レシピの強化素材『神威鋼』のことをロレンツォに聞くためである。


 だがそれは、何も今日今すぐでなくてもいい。

 明日の日曜日に行ってもいいし、何なら平日であってもマッピングですぐにルティエンス商会に行ける。

 それよりも、目覚めの湖の仲間達に礼を言いに行くことの方が重要だ―――ライトはそう考えたのだ。


 そしてライト達は昼食を摂り終えて、予定通り四人で目覚めの湖に向かっていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 カタポレンの家を出て、四人で森の中を駆けていく。

 こうして四人揃ってカタポレンの森を駆けるのは、いつぶりだろう。夏に起きた神樹襲撃事件以来か。

 冷たい空気の中、全力で駆けるレオニスとラウル、それに食らいついていくライト。マキシは八咫烏姿に戻って悠々と空を駆けている。


 いつもは浴槽からウィカを呼んで、水中移動で連れていってもらっているのだが。

 お礼を言いに行くのに、ウィカを自分達のもとに呼びつけるのは違うだろう、ということで自分達の足で向かうことにしたのだ。


 そうして目覚めの湖に到着したライト達一行。

 早速四人で水の中に入り、水の女王の住処である褥に向かった。

 そこでは水の女王とアクア、ウィカにイードが寝そべりながら会話を楽しんでいた。


「よう、水の女王、アクア」

『あッ、レオニス!いらっしゃい!』

『ライト君にラウル君、マキシ君もいるんだね、皆こんにちは』

「皆、こんにちは!」


 ライト達の姿を見た水の女王達が、褥からガバッ!と起き上がってライト達のいる方に駆け寄ってきた。

 水の女王はレオニスのところに、アクアはライトの前に、ウィカはラウルの肩に乗り、イードはマキシのところにスイスイー、と寄っていく。


『レオニス!聖遺物の復元だかは、上手くいったの!?』

「ああ、おかげさまでな。もらった【水の宝珠】はほぼ使い切ったったが、この通り何事もなく成し遂げられたぜ」

『それは良かったわ!』


 レオニスの成果報告に、水の女王が飛び跳ねんばかりに喜んでいる。


『ライト君、僕も【水の宝珠】作りに貢献したんだよ? 褒めてくれる?』

「もちろん!アクアがいてくれるおかげで、ぼくもレオ兄ちゃんもすっごく助かってるよ!本当にありがとうね!」

『♪♪♪』


 ライトにたくさん褒めてもらえて、嬉しそうにライトに頬ずりするアクア。

 いつもはおすましでクールな彼だが、ライトの前だけは別だ。

 生みの親であるライトに褒めてほしい、そしてライトの役に立ちたい、と常に願うアクア。

 アクアがライトの手でこのサイサクス世界に降臨したのが、今年の冬休み明け直後のこと。思えばまだ一年経過していない。

 生後一年弱のアクアは、まだまだライトに甘えたい盛りなのだ。


『目覚めの湖に来るなら、ボクを呼んでくれればいいのにー』

「いやいや、今日は皆で水の女王やアクアに礼を言いに来たんだ。礼を言うというのに、ウィカをわざわざ呼びつけて扱き使う訳にはいかんだろう?」

『皆、律儀だねぇ。でも、そんな君達だからこそボクもたくさんお手伝いしたくなるんだけどね☆』


 ラウルの肩に乗ったウィカも、ラウルの律儀な答えに糸目を細めながら頬ずりしている。

 何気にラウルもウィカの水中移動には日頃世話になっているので、ウィカのことをぞんざいに扱うことは決してない。


 そしてマキシはイードと仲良く話している。


『マキシ君って、ホントは八咫烏なんでしょー? 空を飛べるのに水中も自由に動けるなんて、すっごいことよねぇー』

「はい、アクア君や水の女王様のおかげで、こうしてイードちゃんとも楽しくお話できてすっごく嬉しいです!」

『あらヤダ、イードちゃんなんて可愛く呼ばれるのなんて、ワタシ初めてよ……』

「そうなんですか? 僕はイードちゃんの見た目も名前もすっごく可愛いと思いますけど……」

『ンまッ、マキシ君ってばお上手ねー♪』


 見た目と名前を可愛いと褒められたイード、柄にもなく照れて顔が真っ赤である。

 その赤さはさながらタコかと見紛う程の赤さであったが、クラーケンのイードにタコ疑惑をかけるのはさすがに可哀想である。


 皆で一頻り会話をした後、レオニスが皆に向けて声をかけた。


「ここで立ち話も何だから、皆で小島に行かないか? 向こうで美味しいおやつでも食べながら、また皆でいろんなことを話そう」

「『『『賛成ー!』』』」


 レオニスの提案に、ライトはもちろんのこと水の女王やウィカ、イードが両手を上げて賛成する。

 アクア、ラウル、マキシはさすがに両手を上げはしないが、もちろん反対などない。


「じゃ、小島に移動するか」

「『『『はーい!』』』」


 レオニスの掛け声により、ライト達四人と目覚めの湖の愉快な仲間達は早速湖中央の小島に向かっていった。

 ラグナ神殿での大仕事&ライトのクエストイベント進展後の、土曜日の午後の風景です。

 復元魔法なんてすんげー大変だったろうに、もう午後には扱き使うの?とか思わなくもないのですが。ラグナ神殿でのあの大仕事は、未明のうちに実行&人目につかないようさっさと立ち去ったことを考えると、ライト達がラグナ神殿にいたのは三十分かそこらといったところなんですよねぇ。

 なので、朝の七時頃には既に帰宅してて、疲れてすぐに寝たとしても五時間六時間も寝ればもう大丈夫っしょ!ということで、目覚めの湖へのお礼行き決定。


 ホントはねー、作中にも書いた通り、ライトは午後にルティエンス商会に生かせるつもりだったんですけど。他の三人の行動が『目覚めの湖に行く』となった時点で急遽変更。

 ラウルやレオニス、マキシまでもが目覚めの湖にお礼を言いに行くとなったら、ライトだけ行かないという選択肢は絶対にないでしょう!

 という訳で。今日も我が子達は母たる作者の思惑などそっちのけで、自由に動き回るのでした(´^ω^`)

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