表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
年末年始と冬休み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1050/1685

第1050話 新たなレシピ解放

 オラシオンがエンディを出迎えていた一方で、ラグナ神殿での大仕事を終えたライト達はラグナロッツァの屋敷に帰ってから各自思い思いに過ごしていた。


 レオニスはカタポレンの家に戻り、昼過ぎまで寝ていた。やはり復元魔法の行使で相当疲れたのだろう。

 ラウルはマキシとともに、カタポレンの畑で作業をしていた。

 林檎や野菜の収穫はマキシに任せて、ラウルは焼却炉で殻を焼く作業に専念している。


 マキシの頭一つ分はありそうな林檎に、背丈程もある白菜や倍以上はある長葱相手に格闘するマキシ。

 普段はラグナロッツァの街中にあるアイギスに勤めているので、たまにはこうして自然に触れるのもいいだろう。

 慣れない農作業に悪戦苦闘しながらも、その一方で実に生き生きとした表情で懸命に取り組むマキシ。

 そんなマキシの様子を見て、ラウルもまた嬉しそうに微笑んでいる。


 そしてライトは、カタポレンの森の散策と称して転職神殿に来ていた。

 何故かと言えば、濃縮マキシマスポーション作りをするためである。

 家の中で寝ているレオニスはともかく、ラウルとマキシが畑で作業をしている中でマキシマスポーション作りはできない。万が一にもその場面を見られたら、如何にラウル相手でも上手く誤魔化せる自信がない。

 故に、絶対に誰にも見られることなく安全に過ごせる転職神殿で作業することにしたのだ。


 先週の土日も、ライトはひたすらマキシマスポーション作りを進めてきた。

 土曜日はマッピング登録しておいた各地を回り材料を山程確保、そして日曜日には材料の解体三昧。

 おかげで濃縮マキシマスポーション5個ももうすぐ完成間近となっていた。


 転職神殿内で、せっせとマキシマスポーション作りをするライト。

 そこから少し離れた場所では、ミーナとルディがせっせと材料を仕分けしている。これは、ライトがマイページのアイテム欄から取り出して山程置いたマキシマスポーションの材料を、目の荒いザルに入れているのだ。


 天使で人型のミーナはともかく、東洋型の龍であるルディは手が小さく爪も非常に鋭いので、材料を傷つけないように掴むだけでも大変そうだ。

 だが、ルディだってライトのために手伝いをしたい。主であるライトを思う気持ちは、ミーナにだって負けないのだから。

 そんなルディの気持ちはミーナにも分かるので、大きな材料は自分が運んで小さな材料をルディに任せている。

 ルディはミーナの誕生から約一ヶ月半後に、使い魔の卵から孵化した。

 たかだか一ヶ月半の差だが、それでもミーナが姉であることに変わりはない。ミーナは弟思いの優しいお姉ちゃんなのである。


 ちなみにミーアは、ミーナ達が仕分けした材料一回分のザルをライトの横に置く係である。

 材料が入ったザルをライトに届け、ライトが使用して空になったザルを回収してはミーナ達のいる場所に持っていく。

 二ヶ所を頻繁に往復するミーア。ちょこまかと動きながら懸命に働く姿が何とも微笑ましい。


 転職神殿組三人のおかげで、ライトは淀みなく次々とレシピ生成でマキシマスポーションを作ることに専念できる。

 本当にありがたいなぁ、とライトはミーア達に感謝しつつ、皆の励ましに応えるべくひたすらマキシマスポーションを作り続ける。


 濃縮マキシマスポーションを一個作る度に、すぐにアイテム欄に仕舞うライト。そこら辺に置いておいて、万が一にも蹴飛ばしたり倒したりして破損させてしまったら洒落にならない。

 失くして困る大事なものは、その場で仕舞う!がライトのモットーである。


 そしてもうすぐ正午になろうとする頃、とうとう念願の濃縮マキシマスポーション十個を作り終えた。

 十個目の濃縮を終えて、ライトは徐にマイページを開く。

 出来上がったばかりの濃縮マキシマスポーションを、ライトは大事そうに手に取りマイページのアイテム欄に収納していく。

 その後イベント欄を開き、いよいよクエストイベントの最新ページをチェックである。



 ====================



 ★身代わりの実を10回作ろう!★


 〔身代わりの実 原材料(1個分)〕 進捗度:0/10

 51.閃光草の根10個 報酬:エネルギードリンク1グロス 進捗度:10/10

 52.濃縮マキシマスポーション10個 報酬:身代わりの実追加レシピA 進捗度:10/10

 53.熱晶石10個 報酬:魔法の刷毛1個 進捗度:10/10

 54.濃縮ギャラクシーエーテル10個 報酬:身代わりの実追加レシピB 進捗度:0/10

 55.銀色のべたべた10個 報酬:荊棘の巻物【刃】1個 進捗度:5/10



 ====================



「よっしゃ!進捗度満タンになった!バンザーイ!」

『主様、おめでとうございます!』

『パパ様、お疲れさまでした!』

『ライトさん、頑張った甲斐がありましたね!』

「はい!ミーアさんもミーナもルディも、皆本当にありがとう!」


 クエストイベントの52番目のお題『濃縮マキシマスポーション10個』の進捗度が10/10になっていることを確認したライト。思わずその場で飛び上がって大喜びした。

 そんなライトを見て、ミーア達も破顔しつつライトを囲んで大喜びしている。


 はぁー、ここまで長かった……濃縮マキシマスポーションを10個作るのに、イノセントポーション450個と闘水300個が要るもんな。しかも他の材料も揃えなきゃなんないし、イノセントポーションと闘水を作るだけでAP750使うとか、マジ洒落ならん……

 更にいうと、これ、身代わりの実一個分の材料なんだよね……これをあと九回繰り返さなきゃならんのか……

 …………

 ………………

 ……………………

 よし、これ以上考えるのはよそう。

 今はエクストラクエストの最難関のお題を一つ、クリアできたことを純粋に喜ぼう!


 ここまでの道のりを振り返るライト。

 達成できた感激に涙ぐんだり、そこに至るまでの手間暇が壮絶にかかることに陰鬱な顔になったり、かと思えばその先に控えている更に長い道のりを考えて憂鬱になったり。

 そしてちょっとだけ現実逃避して、今しがたイベントのお題を達成した喜びに浸ろう!と明るく努めてみたり。なかなかに忙しい百面相ぶりである。


 そんなライトの顔を見つめながら、ミーナがワクテカ顔でライトに尋ねた。


『主様、お題を達成したのだから何か特別な報酬が出るんですよね?』

「あ、そうだ!その報酬をもらないとね!」

『パパ様、報酬は何がもらえるんですか?』

「えーとね、『身代わりの実』っていうアイテムの作り方というか、レシピ?がもらえるんだ!」

『身代わりの実……何だかとても貴重そうなアイテム名ですね……』


 今回ライトが得る予定の報酬内容を聞き、ミーア達が思わず息を呑む。


「ええ、その名の通り、一度だけ即死攻撃を引き受けてくれるアイテムなんです!」

『それは素晴らしいですね!きっとBCOでもレアアイテムだったのでしょうね』

「はい。BCOでの身代わりの実は、冒険フィールドでモンスターを倒すことで極稀に得られる貴重なアイテムでした。ですが、このサイサクス世界ではそれを自分で作れるようになっているんです!」


 嬉しそうに身代わりの実の詳細を語るライトに、ミーア達もニコニコの笑顔で聞いている。

 ミーア達には、身代わりの実がどんなアイテムだとかはさっぱり分からないし、ぶっちゃけクエストイベントのこと自体がよく分かっていない。

 だがそれでも、ライトが嬉しそうにしているとミーア達も訳もなく嬉しくなってくるのだ。


「じゃ、早速報酬をもらいますね!ポチッとなー♪」


 ライトはクエストイベントの52番目のお題を指でタップし、その報酬『身代わりの実追加レシピA』を受け取った。

 これはレシピ類に相当するので、マイページ内の『レシピコレクション』に新たなレシピとして収納されているはずだ。

 早速レシピコレクションに移動したライト。案の定そこには『身代わりの実追加レシピA』という名の新しい項目が出現していた。


 項目名のところを指でタップし、中を開くライト。

 そこには、以下の内容が書かれていた。



 ====================



 ☆身代わりの実レシピA☆

 咆哮樹の実1個

 神威鋼1個

 エネルギードリンク10個

 金1個



 ====================



 それを見たライトは、頭の中で考えを巡らせる。



『これは……エクストラクエストイベントのお題とは別途必要なアイテムリスト、ということか?』

『そういや追加レシピAの他にも、追加レシピBってのもあるもんな……多分Bの方に、作り方の手順が載ってるんだろう』

『ていうか、咆哮樹の実って……小型や中型の咆哮樹では、実を見たり拾ったりしたことは一度もないんだが……もしかして、大型からしか採れない貴重品とかいう?』

『ぃゃぃゃぃゃぃゃ、それよりも問題なのは『神威鋼』っしょ……これ、確か交換所で入手するやつじゃね?』



 新しく得た『身代わりの実追加レシピA』から読み取れる様々な情報。思った以上に厄介そうだ。

 ライトはマイページをしかめっ面で眺めつつ、うんうんと唸っている。

 そんなライトの横で、ミーア達が心配そうな顔でライトを覗き込む。


『ライトさん、あまり良い報酬ではなかったのですか……?』

「あ、いいえ、レシピから出てきたのは、クエストイベントに書かれていたお題とはまた別途必要な材料でした。それを揃える方法を考えていたんです」

『別途必要な材料ということは、また魔物狩りや素材集めをしなければならない、ということですか?』

「それもあるけど、多分今回出てきたのは交換所で入手するアイテムだと思う……」


 ライトの話を聞いていたミーア達。

 その会話の中に出てきた『交換所』という言葉に、ミーアがピクリ、と反応した。


『交換所、ですか……何か別の品物と引き換えに、特別な強化素材?を手に入れることができるBCOシステムですよね?』

「そうですそうです!……って、ミーアさん、交換所システムをご存知だったんですか?」

『ええ、以前ヴァレリアさんから聞いたことがあるんです。職業システムを担うこの転職神殿以外にも、BCO開始直後から稼働しているシステムがいくつもある、というお話でした』

「確かに……交換所はBCO開始と同時に最初から実装されてましたから、そこは転職神殿と同じですね」


 ミーアが交換所システムのことを知っていたのは、ライトとしては意外なことだった。

 だが、ヴァレリアから話に聞いていた、ということであればライトも納得である。


『その交換所というのは、ライトさんはもう見つけられているのですよね?』

「はい。BCOではどの街でも交換所がありましたが、このサイサクス世界ではツェリザークという街に実店舗があります。あと、品物を交換するだけならマイページからでも可能です」

『では、また材料さえ揃えればクエストが進められそうですね!』

「う、うん、そういうことになるね……」


 いとも簡単に言うミーナに、ライトはちょっとだけ頬を引き攣らせながら同意する。

 実は今回出てきた『神威鋼』、交換所で得られる強化素材ラインナップの中でも上位クラスの代物だったりする。

 というのも、交換所のアイテムは冒険ストーリーをクリアして先の街に進む度に新たなアイテムが追加解放されていくのだが、この『神威鋼』はかなり後半になってから追加された品なのだ。


 物語が進むにつれ、モンスターの強さや市販品非売品問わず入手可能なアイテムのレア度が上がっていくのは、BCOに限らず世のゲームの常でありお約束事。

 つまり『神威鋼』が出てきた時点で、入手難易度が高く要求される交換素材もかなりレア度が高いものであろうことが、ライトには容易に想像できていた。


 そんなライトの腹の内など露知らぬミーナやルディは、ニッコニコの笑顔でライトに話しかける。


『主様、また素材が必要ならいつでも私達にお声がけください!』

『パパ様、僕もいつでも魔物狩りなどのお手伝いをします!』

「あ、ありがとう!その時はまたミーナ達にお願いするね!」

『『はい♪』』


 ミーナとルディの明るい言葉に、ライトは我に返りつつ嬉しそうに返事をする。

 そう、どんなに入手難易度が高い素材だろうと、必ずや全て集めなければならない。でなければ、エクストラクエストをクリアすることなどできないのだから。

 それに、力天使のミーナや黄金龍のルディの協力があれば、どれ程時間がかかろうともいずれは入手できるだろう。空を飛べる使い魔がいるということは、まだ子供であるライトにとって大きな助けとなっていた。


「……あ、そろそろお昼ご飯の時間だ。レオ兄ちゃんももうそろそろ起きるだろうから、ぼくは家に帰りますね」

『ライトさん、お疲れさまでした』

『主様、今日も主様のお手伝いができてとっても楽しかったです!』

『僕もパパ様のお手伝いがたくさんできて、とても嬉しかったです!』

「こちらこそありがとうね。皆のおかげで本当に助かりました!」


 あれこれしている間に、時刻はもう正午寸前なことに気づいたライト。

 そろそろ家に戻らなければ、カタポレンの家にいるであろうレオニスやラウル、マキシに要らぬ心配をかけてしまう。

 休日の昼間は皆でご飯を食べるのが常となっているので、帰宅時間があまり遅くなると保護者達が『昼飯になってもライトが帰ってこねぇぞ!』と心配して騒ぎ出しかねないのだ。


 帰宅するというライトに、ミーア達もライトに向けてそれぞれ言葉をかける。

 ライトは瞬間移動用の円陣に移動し、ライトを見送るミーア達に手を振りながらカタポレンの家に戻っていった。

 久しぶりのクエストイベント推進回です。

 エクストラクエストが出てきたのが第804話……って、リアル時間で八ヶ月経ってるのに未だにクリアできてないですと!?Σ( ゜д゜)

 ……まぁ、その間にもちょこちょことというか、いろんなお出かけや事件勃発とかあったんですけども(=ω=)


 それでも時折素材集めのためのあれやこれやに触れてきてはいたので(第887話や第889話、シルバースライムとお近づきになろう!大作戦etc……)、今回ようやく大きく前進させることができました(・∀・)

 完全クリアにはまだ程遠いですが、それでもライトは諦めません。もちろん作者も諦めません!(`・ω・´)


 ……ていうか、ホントにそろそろBCO資料集の方に生成関連のデータを書き記したい……それが出来上がれば、作者の記憶掘り起こし作業もだいぶ楽になること間違いなしなのに_| ̄|●

 いっそのこと、今年の大晦日と来年の正月三が日にお休みをいただいて、その間にBCO資料集を充実?させてもいいかも……と考え始めている作者。

 拙作のような零細作品が、病欠や弔事以外で四日も休むというのは、非ッ常ーーーに勇気が要る(というか、読者の皆様方に拙作の存在を忘れ去られそうで怖い!)のですが。ちょっと真剣に検討してみようと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ