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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
最後の聖遺物

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第1035話 本物のヒーローと再会の約束

 北レンドルーのディソレトホーク狩りに黄大河の原水採取に、午後もたくさんの仕事?をこなしまくったライト。

 ルディとともにマッピングスキルで転職神殿に戻り、カタポレンの家に帰宅した。

 晩御飯のためにラグナロッツァの屋敷に移動し、ライト、レオニス、ラウル、マキシ、そしてフォルの四人と一匹で和やかな晩餐を過ごす。


「今日アイギスに行って、ランガの枝のアクセ加工を頼んできたんだがな? 神樹の中で一番クッソ硬いらしい」

「えー、そうなの? 地底じゃ日光も当たらないのに、そんなに硬いなんてすごいねー」

「ああ、俺も改めて少し触ってみたが……ありゃほぼ岩だな、岩!」

「あ、僕もレオニスさんがお店を出た後に触らせてもらいました!レオニスさんの言う通りものすごーく硬くて、僕の力じゃ細い枝一つ折れませんでしたよ……」

「だろ? だからあの枝の加工は、宝石研磨担当のセイ姉にしてもらうことになったんだ」


 レオニスが語る冥界樹ユグドランガの枝の硬さに、ライト達は興味津々で聞き入っている。

 アイギスに勤めるマキシもユグドランガの枝に触れたようだが、細い枝一つ折れなかったとは驚きだ。

 かつてのマキシならともかく、本来の力を取り戻した今のマキシはそこまで弱くはないはずなのにそれでも敵わないとは。

 ユグドランガの枝がどれ程硬いかがよく分かるというものである。


 するとここで、レオニスがはたとした顔でラウルの方を見遣る。


「……あ、そういやその流れでまたセイ姉に、来年の年始用にラウルのスペシャルスイーツを頼まれたんだった。という訳で、ラウル、よろしくな」

「おう、任せとけ。舌の肥えたセイさんをも唸らせるような、スペシャルなものを用意するとしよう」

「ハハハハ、そりゃいい!ただし、セイ姉が感激のあまりブッ倒れない程度にな? 正月早々寝込ませる羽目になっても可哀想だしよ」

「おいおい、俺に料理で手加減しろってのか? 無茶言わんでくれ」


 アイギスのセイから受けたスペシャル報酬のおねだりを、レオニスがそのままラウルに伝える。

 このスペシャル報酬は、ラウルの協力無しには提供できない。ちゃんと前もってラウルに作成依頼を出しておかなければならないのだ。


 そして、料理で手加減などできないラウルがレオニスの注文に文句をつける。

 料理をこよなく愛するラウルに『食べた人が感激のあまり倒れないよう』手加減することなど、できようはずもない。

 しかめっ面で抗議するラウルに、他の三人は思わず笑い出す。

 それを見たラウルが、既に食事を終えてテーブルの上でのんびりと寛いでいたフォルを抱っこしながら呟く。


「フォル、このご主人様達は本当に酷いよなぁ?」

「クゥ?」

「おお、そうか、フォルもそう思うか。もっと言ってやってくれ!」

「フィィィィ?」

「ありがとうなぁ、フォル。俺の気持ちを分かってくれるのはフォルだけだ!」

「キュルルゥ」


 ずっと小首を傾げているフォルを相手に、芝居がかった台詞で話しかけ続けるラウル。

 言ってる内容の割には悲壮感など全くなく、遊んでいるようにしか見えないラウルの小芝居に、レオニスはくつくつと笑いながら声をかける。


「分かった分かった、お前に無理難題を言った俺が悪かった」

「おう、分かってくれりゃいいんだ」

「その詫びに、今度新しい調理器具を買いたくなったら俺に言え。5万Gまでなら、俺が代わりに買ってやるから」

「本当か!? そりゃありがたい、明日早速ファングに行って、バーナードに二本目のオリハルコン包丁を注文してこよう!」

「……お前、欲しいもんを決めるの早過ぎじゃね?」


 ラウルに対しお詫びの誠意を示したレオニスに、早速ラウルが食いつく。

 その顔はキラッキラに輝き、さっきの小芝居の時のような陰鬱さは微塵もない。

 そのあまりの変わり身の早さに、レオニスは呆れる他ない。

 そんな二人のやり取りを、ライトとマキシがきゃらきゃらと笑いながら見ている。

 ここ最近は、ラグナ神殿の爆発騒動で沈みがちだったラグナロッツァの屋敷。今日は久しぶりに笑い声が絶えなかった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ラグナロッツァの屋敷での晩御飯を終えて、レオニスとともにカタポレンの家に戻ったライト。

 明日からまた始まるラグーン学園の支度を整えた後、寝る直前までアンチドートキャンディ作りの下準備に勤しむ。


 そして布団の中に入ったライトは、この週末の出来事を振り返っていた。



 ヴァレリアさんに会うために【魔導大帝】を急ピッチでマスターするのは、すんげーキツかったけど……でもそのおかげで、ヴァレリアさんにイグニス君を助けてもらうことができて、本当に良かった!

 やっぱりヴァレリアさんは、BCOだけでなくこのサイサクス世界のことも何でも知っているんだな……

 そして、ヴァレリアさんに見せてもらった、破壊神と【武帝】の戦い……本当にすごかったな。そりゃ破壊神にあの大鎚を振るわれたら、如何に四帝でも無事で済む訳ねぇよなぁ……

 つーか、あの大鎚を見たの自体が超久しぶりだわ……昔は散々アレに泣かされてきたが……今回だけは、すんげーカッコ良かったな…………



 つらつらと考えているうちに、ライトの瞼は次第に重くなっていく。

 そうしてライトは眠りに落ちていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ふと気がつくと、ライトは薄暗いところに立っていた。

 そこは作業場のような作りをしていて、炉に灯る火が煌々とした明かりとなって薄暗い部屋全体を赤く照らしている。



 ここは……鍛冶場?


 何で俺は鍛冶場なんかにいるの?



 ライトは戸惑いつつ、辺りをキョロキョロと見回している。

 すると突然、ライトの背後から声をかけられた。


『よう、ライト』

「!!!!!」


 思いっきり聞き覚えのある声に、ライトは思わずガバッ!と後ろを振り返る。

 そこには案の定、イグニスが立っていた。

 左肩に大鎚を乗せ、右手をひらひらとさせてライトに微笑みかけるイグニス。その様子を見る限りでは、どこも体調不良などなくとても元気そうだ。

 元気なイグニスの姿を見たライトは、嬉しそうにイグニスのもとに駆け寄っていった。


「イグニス君!もう歩けるまで元気になったの!?」

『おう、ライトとヴァレリアさんのおかげでな』


 右手の人差し指で鼻の頭を擦りながら、ニカッ!と笑うイグニス。

 その爽やかな笑顔を見て、本当に元気になって良かった……と思うライトだが、同時に強烈な違和感も覚えていた。


 ライトの目の前にいるイグニスは、上は半袖の白Tシャツに濃緑の革のエプロンを着ていて、腰には道具入れのウエストポーチ。下は茶色のズボン、厚手のゴツいブーツを履いている。

 両手は厚手の革手袋を嵌めていて、左手に超巨大な大鎚ハンマーを持ち、左肩に軽々と担ぎ乗せている。

 頭にはゴーグルのついた鍔つきベレー帽を被り、鼻の頭には横一文字状に貼られた絆創膏。


 横一文字の絆創膏が貼られた鼻の頭を擦る姿は、BCOで見ていたイグニスの一枚絵そのもの。

 それら鍛冶師としての出で立ちは、少なくともライトのラグーン学園の同級生であるイグニスの今の姿ではない(・・・・・・・)


「もしかして……破壊神の方の(・・・・・・)イグニス君?」

『うん。オイラは【破壊神イグニス】の方。本体はまだ鍛冶師にもなってねぇヒヨッコだがな』


 今のライトより頭一つ以上大きい、少し背の高いイグニス。

 ライトはイグニスの前で、彼の顔を見上げながらじっと見つめる。


 確かに背格好は今のライトやイグニスよりも大きく、身長170cm手前くらいはあるだろうか。

 赤錆色のショートヘアに鮮やかな緑色の瞳は童顔だが、それでも今のイグニスよりは大人っぽく見える。

 十五歳くらいに見えるイグニスは、BCOでいうところの【破壊神イグニス】そのものだった。


「破壊神……昔は随分とお世話になりました……」

『ハハハハッ!オイラも昔はすんげー忙しかったな!』

「うん……俺も皆も、君にはたくさんの武器防具を壊されまくったよね……」

『そりゃすまねぇことしたな!……でもよぅ、それってBCOの運営がそう決めたシステムなんだぜ? NPCであるオイラにゃ逆らえる訳ねぇって!』

「………………」


 ガハハハハ!と笑い飛ばす破壊神イグニスに、思わずライトは殺意を抱きかける。

 だがここはグッと堪えるライト。そう、破壊神イグニスが言うことも尤もで、NPCであるイグニスにシステムを覆す力などあろうはずもない。

 彼に与えられた権能は、一か八かのギャンブルにも等しい鍛冶強化能力と、それに付随して後年運営から与えられた【破壊神】という不名誉な地位と称号のみ。

 如何に彼が破壊の権能持ちであろうとも、創造神が作り給いし鍛冶強化システムの根幹まで破壊することなど絶対に不可能なのである。


 さすがにライトにもそれは分かるので、ふぅ……という諦めたかのようなため息を一つついた後、改めて破壊神イグニスに声をかけた。


「でも……本当に君が助かって良かった。破壊神のいないBCOなんて、BCOじゃないもんね!」

『そっかー? 別にオイラがいなくたって、BCOはBCOだぞー? 他にも名有りのNPCが何人もいたし』

「そんなことないよ!イグニス君はNPCの中でも別格だよ!? だって後から【破壊神】に昇格したし!そんなの他にはクレアさんだけだもん!」

『ああ……【破壊神】なんてもんに昇格したおかげで、お前ら勇者候補生にはますます激しく憎まれるようになったがな……』


 ライトの懸命のフォローも虚しく、破壊神イグニスの顔はスーン……と表情が抜け落ちていく。

 実際イグニスは、BCOでは鍛冶屋とは呼ばれず『破壊屋』と称され、挙句に運営公認で討伐対象にまでなった稀有な人物だ。

 彼に向けられる感情のほぼ100%が憎悪であり、鍛冶強化を失敗する度に怨嗟の罵倒を浴び続けてきた。


 そのことを思い出したのか、イグニスがその場にしゃがんで膝を抱えて蹲る。

 地面にのの字を書きつついじけるイグニスに、ライトは慌ててさらなるフォローに努める。


「で、でも!このサイサクス世界は、BCOのようでBCOじゃないところもたくさんあるし!」

『……まぁなー。BCOにはオイラのとーちゃんもかーちゃんも出てこなかったけど、今はファングにいるしなぁ』

「でしょでしょ!? それに、お爺さんのペレさんも元気で現役だし!」

『うん……BCOではじーちゃんが体調崩してて、じーちゃんの代わりにオイラが鍛冶やってたからな……』


 グスン……と涙目だったイグニスが、ライトの懸命のフォローで次第に顔を上げていく。

 そう、今のこのサイサクス世界は全てがBCOシステムを模倣している訳ではない。それはつまり、BCOでのイグニスの評価がサイサクス世界でも必ず適用される訳ではない、ということだ。

 それをイグニスに伝えるために、ライトはなおも言葉を重ねる。


「それにさ、今のイグニス君にはたくさんの友達や幼馴染がいるでしょ? イヴリンちゃんにリリィちゃん、ジョゼ君、B組の友達とかさ!」

『うん、イヴリン達はBCOには出てこないけど、皆オイラの大事な友達だ』

「俺だって、イグニス君の友達だよ!」

『…………そうだな、ライトだってオイラの大事な友達だ』


 蹲ったイグニスの前にライトもしゃがみ込み、その肩に手を乗せて必死に揺さぶりながら励まし続ける。

 そんなライトの懸命さが伝わったのか、破壊神イグニスの顔にも次第に明るさが戻っていく。

 だがここで、イグニスがはたと正気に戻ったような顔になりライトに問いかけた。


『でも……オイラなんかが友達でいていいのか?』

「もちろん!イグニス君は俺にとっても大事な友達だよ!」

『だってオイラは【破壊神】だぞ? お前ら勇者候補生の敵だぞ?』

「そんなの関係ない!だって今のイグニス君はまだ鍛冶師じゃないし、それに……」

『……それに?』


 破壊神イグニスの問いかけに、ライトは真剣な眼差しで答える。

 そう、サイサクス世界のイグニスはBCOのイグニスとは違う。

 BCOではただ単に『鍛冶屋の小倅』という出番しかなかったが、このサイサクス世界では一人の生きた人間として存在しているのだ。

 素直で優しくて、正義感と人間味溢れるイグニスを嫌う理由など、もはやライトにはなかった。


「もし将来、イグニス君が【破壊神】の才能を発揮したとしても……」

『オイラが、破壊神になっても……?』

「その時は、イグニス君には絶対に武器防具の強化は頼まないから!」

『ブフッ!!』


 ライトのあまりの言い草に、破壊神イグニスが思わず盛大に噴いた。

 確かにライトの言う通りで、BCOでは選択肢がイグニス一択しかない鍛冶屋選びも、このサイサクス世界では他の鍛冶屋に行くこともできる。それは破壊神イグニスに武器防具を壊されないための、いわば究極の回避策なのである。


 しかしそれは、裏を返せば『お前んとこには行かねぇで、他所の鍛冶屋に行く!』と言っているようなものだ。

 あまりに酷い言い草に、破壊神イグニスがライトに抗議する。


『ちょ、おま、ライト……それはいくら何でも酷過ぎねぇか?』

「え、そう? そんなに酷い?」

『そりゃそうさ、だってそれは他所の鍛冶屋に鞍替えするってことだろう?』

「……あ、そういう意味で受け取っちゃった?」


 眉間に皺を寄せて本気で抗議するイグニスに、ライトが慌てて訂正し始める。


「違う違う、そうじゃなくて、ペレさんかスヴァロさんに鍛冶をお願いするって意味だよ!それなら問題ないでしょ?」

『……あ、そゆこと? それなら確かに問題ない、かな……五年後くらいには、とーちゃんもファングの修行から帰ってきてペレ鍛冶屋にいるだろうし』

「だよね!それに、ペレさんやスヴァロさんがペレ鍛冶屋で元気に働いてくれていたら、イグニス君の鍛冶師の腕だってメキメキ上がるかもしれないじゃないか!」

『……まぁなぁ……オイラも【破壊神】のままじゃ、じーちゃんやとーちゃんにボコられまくるだろうしなぁ』


 ライトの訂正に、イグニスも顎に手を当てつつ納得している。

 実際のところ、鍛冶屋の跡取り息子が顧客の持ち込んだ武器防具を壊しまくっていたら、祖父ペレや父スヴァロにこっぴどく叱られるのは間違いない。

 いや、叱られるだけならまだいい。適性皆無として勘当にまでなったら、それこそ目も当てられない。イグニスは家なき子になってしまう。

 そのことは破壊神イグニスにも容易に想像がつくので、イグニスは頭をガリガリと掻き毟りながらぽつりと呟く。


『……ま、家を追ん出されない程度には鍛冶師の腕を磨かなきゃな』

「そうだね。……でも、俺は君のことを知っているし、絶対に忘れないよ」

『ン?【破壊神】のオイラを覚えておく必要なんてあんのか?』

「もちろんあるさ!だって君は……三人の友達のために、身体と命を張ってあの【武帝】と戦った、本物のヒーローだもの!」

『………………』


 それまで渋い顔をしながら俯いていた破壊神イグニス。

 ライトの言葉に思わず頭を上げると、そこにはとても真剣な眼差しのライトの顔があった。

 これまで破壊神イグニスは、勇者候補生達からずっと蛇蝎の如く嫌われてきた。

 そんな自分に対し、本物のヒーローだ!と言い切ってくれる友がいる―――これは、破壊神イグニスにとって望外の喜びであった。


 しばし呆気にとられたように、呆然としていた破壊神イグニス。

 だが、突如何かを決意したようにキリッ!とした顔になったかと思うと、その場ですくっ!と立ち上がり、まだしゃがんでいるライトに向けて右手を伸ばした。

 イグニスから差し伸べられた手を取り、ライトもその場に立ち上がる。


『ありがとう、ライト。今のライトの言葉で、オイラは新しい目標を見つけることができた』

「新しい目標? それは何か、聞いてもいい?」

『応ともよ!オイラの目指す目標、それは『破壊神が作る、極上の一振りをライトにプレゼントする』ことだ!』

「破壊神が作る、極上の一振り……???」


 天高く掲げた拳にグッと力を込めて握りしめながら、高らかに宣言する破壊神イグニス。その姿はまるで、どこぞの覇王もしくは拳王を彷彿とさせる世紀末的オーラを感じさせる。

 創造の対極にいる破壊神が作る一振り=刀や剣というのは、一体どんなものなのだろう。全く想像もつかないが、目標を持つことはとりあえず良いことである。


 それまでの鬱屈とした全てを捨て去り、吹っ切れたような清々しい顔のイグニス。

 左手で大鎚をヒョイ、と軽々と持ち上げて、そのまま左肩に乗せながら右手人差し指で鼻の頭を擦る。


『じゃあな、ライト!また五年後か六年後くらいに会おうぜ!』

「あッ、イグニス君!もう行っちゃうの!?」

『ああ。五年六年なんてあっという間、すぐに会えるさ!だからライト、お前も勇者候補生としてこれからも頑張れよ!』

「うん!……イグニス君、絶対に……絶対にまた会おうね!男と男の約束だよ!」

『おう!ライトも元気でな!……またな!』


 破壊神イグニスが、彼の得物である『破壊神の大鎚』を左肩に乗せながらライトに背を向ける。

 そして一度だけ振り向き、ニカッ!と輝かんばかりの笑顔を見せながら、親指を立てた右手をライトに向けてグッ!と差し出した。


 そしてイグニスは再び駆け出し、もう振り向くことなく前だけを見て走り続ける。

 ライトは勢いよく、そして軽やかに駆けていく破壊神イグニスの背中を、ただじっと見守りながら見送り続ける。

 だんだん小さくなっていくイグニスの背中。無言のまま見送るライトの中には、胸いっぱいに熱いものが込み上げてきて広がっていた。


 鍛冶場の作業場だった景色は、イグニスが駆け出すと同時にだんだん白くなっていき、やがて辺り一面が白だけの世界に染まっていく。

 そうしてライトは目が覚めて、月曜日の朝を迎えていた。

——本文には捩じ込めなかった、ライトと破壊神イグニスの会話——


ラ「ヴァレリアさんともお話をしたの?」

イ『うん。無茶すんなって、すんげー怒られた』

ラ「だろうねぇ……だって【武帝】と戦ったんだから、ねぇ?」

イ『オイラに言わせたら、【武帝】よりヴァレリアさんの方がよっぽど怖ぇぜ』

ラ「……よっぽど叱られたんだね……」

イ『おう、頭に何発も拳骨落とされたわ……』


 話の流れ的にどこにも差し込みきれなかった、BCOの二大巨頭NPCの会話です。

 これもいつかSSネタで使えたらいいなー、なんて考えてたりして。

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