表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

独り占め 【月夜譚No.54】

作者: 夏月七葉

 遅い時間の露天風呂は、貸切り状態だった。湯気で白く染まる浴場には、自分一人。温泉が注がれる音以外に聞こえるものはない。

 手足を伸ばして肩まで浸かると、ほっと心まで温かくなるようだ。火照った頬を冷ややかな風が掠めていくのもまた心地良い。

 折角温泉まで来たというのに、仕事が予定より長引いてしまって、一日中休まる時がなかった。立ち寄ろうと思っていた観光施設にも行けなくなってうんざりしていたが、こんなにゆったりと温泉に浸かれたのは不幸中の幸いだ。チェックインの時に親子連れがいたから、早い時間だったら子ども達が騒がしくしていたかもしれない。

 湯船の淵の岩の上に頭を乗せて空を見上げると、木々に縁取られて瞬く星が見えた。思わず、ほうっと溜息を漏らす。

 もう少し温泉に浸かっていたいところだが、これ以上は上せてしまいそうだ。名残惜しいのを我慢して、そっと露天風呂を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ