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美少女の猫である  作者: 赤座タナ
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サキュバスを仲間に

「へぇ、アタシの攻撃を受けて立ち上がるなんて大したもんだな。ますます気に入ったよ」

 サキュバスは、うっすらと笑顔を浮かべている。


 俺は手をかざして、信魔法を使い、雷雲を呼び起こす。

「雷ならどうだ!」


 耳を引き裂くような音を立てて、雷がサキュバスに落ちる。土は弾け飛び弾丸のようになって、辺りに散乱した。土煙が立ち込める。


「いててて、結構な威力じゃないか!」

 煙の中からサキュバスと思わしき者のシルエットが浮かび上がる。どうやらダメージこそは与えたものの、致命傷にはなっていないようだ。


「もう一発……」

 と雷を打ち込もうとする前にサキュバスに接近されてしまう。この距離で打てば自滅になりかねない。俺は落雷を放つのを止めた。


 サキュバスの猛攻が始まる。怒涛のパンチの嵐。俺はなんとかかわしたり、受け止めたりして凌いだ。

 しかし、もちそうにない……。受け止める度に、激痛が手に走り、かわすのもやっとだからだ。


「こっちを見ろ!」

 サキュバスが再び下着姿になり、こちらを魅了してこようとする。

 俺は目を閉じ、魅了をやり過ごそうとしたが、その隙をつかれて一発入れられてしまう。


 俺は数十メートル程吹き飛ばされたた。再び激痛が走り、立ち上がれなくなる。


 マナちゃんがまた回復魔法を唱えてくれたのか、俺の激痛が和らいだ。なんとか立てるようになる。


 しかし、このままでは……。

 俺は猫の姿になった。猫の姿では信魔法は使えないし、攻撃力も劣るが、スピードはこちらが上だ。また、万物創造も使える。


 サキュバスが急接近し、猛攻をしかけてくる。しかしその全てをなんとかかわす俺。


「これならどうだ!」

 と言って、俺は高反発クッションを創造した。

 盾のように使うも、サキュバスのパンチの威力の前に、一瞬で粉々になってしまう。


「無駄だよ!アタシのパンチは無敵だ。そんなもんじゃ防げないよ」

 サキュバスは自信満々にそう言う。

「くっ……」

 俺は苦虫を噛み潰したような表情になる。どうやったらこいつを倒せるんだ……。


「しかし、あんたも避けるのが上手いね……。あまりやりたくはないけど、魅了させるしかないかな?」

 そういや、こいつは魅了するのを恥ずかしがっていたな……。もしかして…



 サキュバスは再び下着姿になり、俺を魅了しようとする。

その瞬間、俺はカメラを創造した。そして目を閉じながらパシャリパシャリとサキュバスの曲線美を写し取った。


 サキュバスは突然のカメラの音とフラッシュにびっくりし、俺の目を閉じた隙をつく事はしなかったようだ。


 俺はプリンターと発電機を創造し、先程のサキュバスの姿を何枚も何枚も印刷した。それをサキュバスに見せびらかした。

「な、な!? なんだこれは!? アタシがいる? 恥ずかしい!やめろ!!」

 サキュバスは悶え苦しんでいる。

 俺はその隙に人型になり、数発殴りこんだ。

 サキュバスは数メートル程吹き飛びピクピクと痙攣しているようであった。


「勝ったな!」

 と俺は勝ち誇る。

 倒れたサキュバスの元に行き、とどめを刺そうとする。

「こ、こんな可愛い子を倒すのはちょっと気がひけるなぁ」

 なによりも生き物を殺すということに抵抗感がある。


「じゃあさ、仲間にしちゃわない?その子?」

 マナちゃんはそう言う。

「できるの?そんなこと?」

 俺は不思議そうに問いかける。

「うん、こんだけ弱ってるなら私の魔法で仲間にできちゃうよ」

 マナちゃんは自分の魔法を、確信しているようだった。


「じゃあお願いするね」

 俺がそう言うと、マナちゃんは魔法を唱えてサキュバスを仲間にした。

「チゥーダ・スティグ」


 しばらくするとサキュバスは目を覚まし、自己紹介をする。

「アタシ、サキュバスのディアリーよろしくな」

 すっかり大人しくなったようだ。

「私マナよろしくね」

「俺はワッセだ」

「僕はアルム」


 こうしてサキュバスを仲間にした俺達であった。



「じゃあまた飛ぼうか」

 とアルムが言いかけた時、

「アタシの方がたぶん早いよ。目的地の方向さえ教えてくれればね」

 とディアリーは言う。

 ディアリーにアルムが目的地の方向を教える。

 ディアリーは俺達に飛行の魔法をかける。


 ディアリーの飛行魔法はアルムのそれよりも、確かに早かった。

「くっ、このペースなら六時間位で神聖ミヤオオ帝国に着きそうだね」

 アルムは少し悔しそうな表情でそう言う。




 飛び始めてから、三時間位が立った頃だろうか。大きな城が見えてくる。

「ラハヤミ帝国だね。一旦ここで休憩しようか」

 アルムがそう言うと、ディアリーは俺達を地面に降ろす。


 町の中心地だろうか、人混みも盛んだ。武器屋や道具屋、宿屋など様々な店が目に付く。

「町に来たら、やってみたい事があったんだよね」

 俺はそう言い、ある事をしようとしていたのだった。



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