俺のスキルは万物創造と……
「す、凄い!」
マナちゃんが、驚いたような表情で言う。
「ワッセちゃんのスキルはね、万物創造、翻訳、神人化の三つみたいだね。」
「おお、凄そうだ!」
俺は嬉しそうに、それを聞く
「スキルの説明に入るね。万物創造は、知っている物を創造するスキルだね。対象を知っていれば知っている程、それを創造し易くなるスキルみたい」
「さっきの鏡はそれか!」
「うん、そうみたい。生き物とかの創造は無理みたいだけどね。」
「翻訳のスキルは、その名の通り翻訳するスキルだね。こうして私達が自然に会話できるのも、このスキルのおかげみたい。」
「へぇそうなんだ。同じ言語とかそういう仕組みなのかと思ってた」
「神人化のスキルは、人になれるスキルだね。神の人って言うくらいだし、神人になってから、別のスキルが、でてきたりしそうだね」
「ふーん、やってみるか、こうかな、えい」
煙と共にボンと音がする。
「わ、女の子になったよ」
「どれどれ鏡、鏡」
そう言って鏡を出す。
「こ、これが俺!?超可愛いんですけど。俺可愛い!」
鏡に映されたのは、黒髪ロングストレートの、凛とした美しい少女の姿だった。
マナちゃんも可愛いけれど、人の俺も堪らなく可愛い。自分に惚れそうな位だ。
「凄いよ!凄いよ!」
マナちゃんが、俺に抱きつきながらそう言う。
「神人の時のスキルは、翻訳、神獣化、そして信魔法マスターだって」
「信魔法?なにそれ?」
「えっとね、信魔法は、人々の信仰心や、自然から、魔法を生み出す究極の魔法なの。天気を操ったりとか、普通の魔法とは、規模も強さも全然違うんだよ」
「なにそれ、すごい」
「うん、凄いよ、ワッセちゃんは」
マナちゃんが頭を撫でてくれる。マナちゃんが嬉しそうで何よりだ。そして、たくさんスキンシップできる俺も大変嬉しい。
「ちょっと、試してみたいことがある」
そう言うと俺は猫の姿に戻った。
「はっ!万物創造!出よ、ゲーム」
目の前にゲーム機が現れた。スウォッチと言う腕時計型のゲーム機でありながら、テレビ出力もできる最新ゲーム機だ。
「おお!ゲーム機を出せるのか!これで、現世への未練は、もうないな」
ゲームソフトも出してみた。大人気対戦ゲームの、大乱戦スカッシュシスターズや、ハートを競いながらレースをするハリオハート。
「おお!ソフトまで出せるのか!こりゃあ凄いよ!後は発電機さえあれば…出せるか?」
少し時間はかかったが、発電機も出せた。燃料も入ってるようだ。
「なるほどね。あんまり、使用頻度の少ない物を創造するには、時間がかかるってことか」
俺は、得意気に自分の能力を解説する。
「ワッセちゃんはスキルだけでなく、スキル分析も凄いんだね。」
マナちゃんが、頭を撫でながら誉めてくれる。
「いやいや、それほどでも……あるかな?」
俺は、このゲーム機やソフトと発電機を、村の人達に配ることにした。
日本語が読めないのか、最初の内は苦戦していたようだが、流石はゲーム、村の子供達を筆頭に皆やりこなせるようになっていた。
中でも、村の子供のコズモとシエロは、スカシスもハリハーもやりこなして、俺よりも上手くなっているくらいだった。
二人とは、ゲームを通じていく内に仲良くなった。やはりゲームとは最高のコミュニケーションツールである。
しかし、一つ問題が発生した。村人の中に、ゲームへ夢中になるあまり、仕事をあまりしなくなる者も出てきた。
だが、問題はなかった。俺は、最新の農作機械も創造し、村の人々に配ったのである。
文明の発展は、農作技術の発展である。社会の先生がそんなことを言っていたが、その通りであった。
今まで、魔法を使っても丸一日かかっていた農作業が、三時間程度で終わるようになったのである。
この浮いた時間で、村人達はゲームを楽しんでいるのだ。中には、名作RPGゲームで、日本語の勉強をしたいと言い出す者まで出てきたくらいだ。
もしかして、料理も出せるのか?
俺は料理を次々と出してみた。ポンポン山のように出てくる日本料理。せっかくだから村人達にご馳走してやろう。
「しょっぱくて美味しい」
「油がのってて美味しい」
「甘くて美味しい」
まずまずの評判である。
うん?よくよく聞いたら甘いとかしょっぱいとか、そういうのしかないな。
「この天ぷらは中身が美味しいのに、外側は土みたいで微妙です」
とコズモは言う。
「そうだね。あ!天ぷらの外側を剥がして、衣の油を、絞ってかけたら美味しいよ!」
とシエロが美味しそうに言う。
他の村人達も真似をし始め、美味しい、美味しいと言う。
違うだろ!天ぷらは衣がサクサクしていて旨いんだろうが!
「そんなの天ぷらじゃねえ!」
と俺は言ったが、あまり理解はされなかった。
これが文化差って奴なのか…まあ、異世界だと思うし仕方がないのか……。
「お、この茶色いのは旨いのお、米はネッチョリしていて微妙だがのお…」
「うんうん、この茶色いの美味しい」
マナちゃん達は、カレーを美味しそうに食べていた。しかし白米は不評のようである。
「こっちのプニプニした奴も美味しいよ」
この日分かったのは、村人達が本当に好きな料理は、砂糖と塩と油と、カレーと、味噌田楽であると言うことだった。
村人には、天ぷらは二度と出すまいと決意する俺であった。




