最後の戦い
「そうですよ、私の能力は未来予知です」
新教皇は得意げにそう言う。
「よくも、アルムやマナちゃんやディアリーを!」
俺は激怒して敵に叫んだ。
「あなたが悪いんですよ、あなたが。あなたさえ現れなければこんな事にはなりませんでした」
新教皇はヤレヤレと言った具合で話す。
俺は人型になり、空に手をかざした。
「雷なら見えても避けられないだろう」
そう叫ぶと、落雷を新教皇に向かって打ち放つ。
雷の轟音が辺りを振動させる。煙が巻き上がり、辺りに土の欠片が飛散する。
「どうだ? やったか?」
俺は煙の中を凝視する。
しかし、新教皇は無事であった。
「このクラスの信魔法ならかわすまでもありません。魔法防御で対処可能です」
新教皇はドヤ顔で解説していた。
新教皇は俺に接近すると、俺の腹に拳を入れてきた。骨の折れるような鈍い音が響き渡る。
「ガッ……」
俺は吐血をし、その場に倒れ込んでしまった。
「おやおや、案外あっけなかったですね。しかし念には念を。あの最強の暗殺者すら倒してしまった、あなたなのですからね」
敵は俺に猛攻を続ける。既に意識はないだろうはずの俺を、敵は殴り続けていたのだった。
ボロボロになる俺。
「ここまでやれば十分でしょうか」
新教皇は勝ちを確信し、ボロボロになった俺を地面に投げ捨てた。
「神獣のような存在は、我々への信仰心を奪ってしまう。さらに技術発展までさせて魔法の権威を落とそうとした。これは許されることではありませんよ」
新教皇はそう言って俺を見下していた。
「聞かせてもらったぞ。すべて」
新教皇の後ろから声がする。
「なっ!? あなたは……! なぜ?」
新教皇はその姿に驚嘆していた。
新教皇の後ろにいたのは、暗殺されたはずの教皇であったからだ。
「今の話すべて録音させてもらった。これは公表させてもらう」
教皇は全てを悟ったような顔で言い放つ。
「ならば、あなたをもう一度殺してしまえば良いだけの事」
新教皇は殺意にまみれた表情で、そう叫ぶ。
「それは無理じゃ」
教皇が言う。
新教皇はその返答にハテナマークを頭に浮かべていた。
「なぜなら、お前はもう切られておるからじゃ」
新教皇は真っ二つに裂かれていた。
俺がマナちゃんから刃物を借りて、新教皇を真っ二つに切断したのだった。
「グワッ……。お前はもう死んでいるはずでは……?」
新教皇は不思議そうに、弱々しく呟く。
「お前が倒したのは俺の偽物さ。俺そっくりの形を創造し魔法で操っていたのさ」
俺は自信満々にそう言う。
「私の影武者も神獣様に作っておいて貰ったんだ。お前らが倒したのもそれにすぎぬ。不吉な予感がしておってのお」
教皇も自信満々にそう言う。
「……そんな」
新教皇は死期が近いのか、貧弱な声で呟いていた。
「お前の未来予知は、短時間の未来予知に過ぎなかったようだな。教皇の偽物に気付かなかったから、もしやとは思ったが」
と俺は敵の能力を言い当てる。
「お前の言質も見事に取れたし、これで無事解決と言ったところじゃな」
教皇は一安心したような表情で言う。
「ああ、一見落着だ。」
と俺も一通り終わり安心しきった表情で言った。
新教皇はもう既に死んでしまっている様子であった。
俺はマナちゃんやアルムやディアリーに回復薬を飲ませた。
「ワッセちゃん、倒したんだね」
「いてて、助かるよ」
「アタシの仇とってくれたのか」
その後、教皇が今回の事件と神獣の存在のことを世間に公表した。
俺は、悪魔から神獣と言う事になり、人々から尊敬される存在へとなった。
俺達をはめようとした新教皇一派は捕まえられ、牢屋にぶち込まれたようだ。
マナちゃんの膝枕でゲームをする俺。
「ワッセちゃん、よしよし」
マナちゃんはそう言って俺を撫で回してくれる。
今日も幸せな一日である。
あれから、色んな事があった。
魔王が復活祭したり、海外から敵が攻めてきたり、宇宙人が攻めてきたり。
その度に俺はマナちゃんやアルムやディアリーと協力して、それらを倒して平和を勝ち取って言ったのだ。
今では平和の象徴となった、俺やマナちゃんやこの村。
この村でいつまでもマナちゃん達と平穏に過ごせていけたら良いなって、そう思うのでした。
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