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美少女の猫である  作者: 赤座タナ
12/16

最強の戦利品

 俺達は敵の強さに愕然としていた。

 俺とディアリーの連係攻撃でも倒せないなんて……。


「さあ行きますよ!」

 敵が接近してくる。


 俺は火炎を生成し、矢のような大群に変えて、敵にうち放つ。

 しかし、敵の刃物にぶつかるや否や瞬間移動させられてしまい、無力化してしまう。


「おやおや、無駄な足掻きですね」

 敵は余裕そうに俺達に近づいてくる。


「マナ、ワッセにやった強化魔法をアタシにやってくれ」

 ディアリーがマナちゃんに力強く提案する。


 そうか、俺でもディアリーと互角になれるくらいのパワーを出せるのだ。ディアリーに強化魔法を使えば、もしや勝てるかもしれない……。


「分かった。ウィース・ホルス」

 マナちゃんがそう唱えると、ディアリーの周囲に光の粒子のような物が纏わりつく。


「おっしゃ!このアタシならいける!」

 ディアリーは力強く拳を振るう。

 ディアリーの前方の地面が抉れ、巨大な何かに削られたように吹き飛ぶ。


「この威力なら!やったか!?」

 俺は、今度こそやったぞと言うような視線で敵の方を見た。

 しかし、そこに敵は居なかった。


「ですから無駄ですと言ってるでしょう?」

 遠くの方で敵の声が聞こえた。


「これでも駄目か!なら移動先もろとも攻撃してやる。」

 俺は手をかざし、再び落雷を起こした。今度は敵が移動していたところを、複数箇所同時に攻撃してだ。

 轟音が複数個同時に鳴る。土煙があちこちから巻き上がる。


「これなら、やったか?」

「ですから無駄ですと……。やれやれ」

 敵は先程までとは全く別の場所に瞬間移動していた。


「事前にこの辺りには何カ所もキズを付けているのですよ。たかが数カ所を抑えた位、どうということはありません」

 敵はそう言うと、俺に急接近し刃物を向けてきた。

 俺は鉄の塊を創造しながら、後ろに下がる。鉄の塊は紙切れのように、あっさりと切られてしまう。


 あの武器さえどうにかしないと……。


「大人しく負けを認めれば、痛みなく倒してあげますよ?」

「ふざけるな!誰がそんなことをするか!」

 敵の提案に、ディアリーは激怒する。


「では、あなたから倒してあげましょうか!」

 敵はそう言うと、物凄い勢いでディアリーに接近してくる。

 ディアリーが拳を勢いよく振り、地形もろとも吹き飛ばそうとするが、あっさりと瞬間移動でかわされてしまう。


「どんなに強くても、当たらなければ意味はないんですよ!」

 敵はそう言いながら、また接近を試みる。


「くそ!こっちを、見ろ!」

 ディアリーの魅了攻撃が放たれるが、これも瞬間移動で無力化されてしまう。


「いい加減飽きましたよ、それ。見飽きはしませんけどね、ふふ」



 やはり、あの武器をどうにかしないと、ダメージを与えられない

……ん? 武器をどうにかすれば良いのか!


 俺は猫型になり、ある物の万物創造を試みた。

「ディアリー、もう一回魅了攻撃を頼む!」

 俺がそう叫ぶと、

「分かった。けどこれ、恥ずかしいんだからな!」

 とディアリーは応じてくれた。


「こっちを見ろ!」

 ディアリーが魅了攻撃を試みる。

 敵は一瞬動きが固まるが、瞬間移動で別の場所に行ってしまい、攻撃の届く範囲ではなかった。


「今だ!スイッチオン!」

 俺は創造した電磁石を使ったのだ。敵の刃物が吸い寄せられてくる。敵は驚いた表情を浮かべるが、魅了の効果で何もできない。


「奪っちまえば、こっちのもんだな!」

 俺は敵の武器を奪い取り自分の物にした。


「なっ…か、返せ!」

 敵は狼狽しながら叫ぶ。

 ディアリーはその隙をついて、敵の背後に回り込み、拳を一撃入れた。


「ガ、ガハッ」

 敵は勢いよく吹き飛び、数百メートル位は吹き飛ばされたのではないかと思われるほどだ。

 敵は地面に頭を擦り付けたまま、動かなくなっている。


 この瞬間、俺たちの勝利は確定したのだった。


「やったな、なんとか勝てた」

 と俺が言うと、

「いやぁ強敵だったよ。アタシがこんなに苦戦するなんて」

 とディアリーが疲れきった表情で返事をした。


「こいつはどうする?」

 俺は敵を指差して、皆に問いかけた。

「とりあえず縄で縛って、教皇様の元に連れて行こう。暗殺の依頼が誰からなのか気になるし」

 アルムも戦いに疲れたような表情で言う。


「この瞬間移動の刃物なんだが、これはマナちゃんに渡しても良いかな?」

「え、私?」

 マナちゃんは驚いたような表情を見せる。



「うん、サポート役のマナちゃんが瞬間移動で身を守りつつ、サポートしながら、隙を見て敵を切りつけるってのが良いんじゃないかなと思ってさ」

 と俺は提案する。


「良いんじゃないかな?」

「アタシも賛成!マナの強化魔法は凄く頼りになるしな」

「分かったよ。私が持つね」

 皆が賛同してくれたようだった。




 また空を飛び直し、二、三時間が経っただろうか……。

 遂に神聖ミヤオオ帝国に到着した。


 いよいよ、教皇との対面の時である。何を言われるのかドキドキする。

 そして、なぜ俺達が襲われたのかも気になるところだ。



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