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美少女の猫である  作者: 赤座タナ
11/16

最強の暗殺者

 再び飛行し始めて、一時間位が経った頃だろうか……。

 ディアリーが敵の気配を感知した。

「何かくる…それも物凄いスピードで」

 ディアリーが警戒しながら、声を荒げる。



 何かが飛んでくる。鉄の槍だ。


「避けろ!敵の攻撃だ!」

 ディアリーの声に呼応するように、俺達はそれを避けた。

 すると敵は突然現れた。


「なっ、いつの間に!?」

 ディアリーは、いきなり現れた敵に驚いている様子だ。敵は刃物を光らせ、ディアリーに襲いかかる。


 俺はディアリーの目の前に鉄の塊を創造し、敵の攻撃から守った。

 しかし、俺の創造したそれは、一瞬で切断された。見事なまでの鋭利な切り口である。



「この野郎!よくもアタシに!くらえ!」

 ディアリーはそう叫ぶと、敵に向かって攻撃をしかけた。

 しかし、敵の姿はもうそこには、なかった。


「どこに行きやがった!あの野郎!」

「下だ!」

 俺は、一瞬で地面に移動している敵の姿を発見した。


「バカないつの間に!?早すぎる!」

 ディアリーは困惑した様子でそう言う。


「一旦地面に降りて戦おうか」

 俺がそう提案すると、ディアリーはそれに応じたのか、俺達を地面に降ろした。



「貴様、何者だ?」

 ディアリーが敵に問いかける。

「我が名はリューラーゲ。お前達の命を頂戴しにきた」


「僕や神獣様と分かってのことか?それは?」

 とアルムは聞く。


「何も言うことはない。なぜならお前達は、ここで消えるからだ。」

 敵はそう言うとアルムに急接近し、刃物を振った。


 アルムは敵の攻撃を、最高級の刀でうけた。

 斬撃と斬撃のぶつかる高音が響き渡る。よし、互角だと思いきや……。

 アルムの刀は、ものの見事に真っ二つに切られてしまう。


「なんて切れ味だ。僕の刀が一瞬で……。」

 アルムは戸惑ったように言う。


「アルム、危ない!」

 敵はそのままアルムに刃物を向けて、切りかかろうとしていた。


「こっちを見ろ!」

 ディアリーが下着姿になって、敵を魅了しようとする。敵の動きが止まった。

「うわーん、やっぱり見るな!」

 ディアリーは恥ずかしがりながら、敵に拳を掲げた。


 ディアリーの拳が当たろうとしていた時、敵の姿が消えた。

「なっ!まただ!どこへ行った?」

 ディアリーは困惑した様子でそう叫んだ。


 敵は一瞬で百メートル程先の岩陰に移動していたのだった。

「なんだ、あれが敵の能力か?」

 俺がそう呟くと、


「聞いたことがある。瞬間移動の武器を使いこなす達人で、最強の暗殺者が居ると……」

 アルムが説明してくれた。


「ほぉ!よくご存知で。流石は教皇様の使いと言ったところでしょうか」

 敵は感心した様子で呟く。


「やはり、僕の事を知っていたのか。それで襲いかかるとは良い度胸だ。誰の命令だ?」


「それを教えるとでもお思いで?」

 敵はそう言うと、アルムの元に瞬間移動してきた。そして、アルムに刃物を向ける。

「なっ!?早い!」

 アルムが驚きの叫びを上げる。


「万物創造!」

 敵の刃物が当たる前に、俺がアルムの目の前に鉄の塊を創造した。

 しかし、敵の刃物がそれにぶつかると、一瞬でそれは岩陰へと瞬間移動させた。


「そんなこともできるのか!?」

 俺は驚く。


 敵の刃物はそのままアルムへと襲いかかる。アルムはなんとか、これをかわした。

 アルムはそのまま、距離を離すと分析をし始めた。


「よく見たら岩陰に、僕の刀の切られた所も転移させられている。なるほど、お前はこの刀に付けた傷に、瞬間移動をしてきたのかな……。切りつけた物や自分を、刻んだ所へ飛ばす。それがお前の刃物の能力だ!」


「ご名答!しかし、それが分かったところで…」

 敵は再びアルムに瞬間移動を試みる。アルムは刀を放り捨てた。

 敵が瞬間移動したのは、その刀の側であった。


「つまり、敵の刃物の能力は予め刻んだ所に、切りつけた物や自分を瞬間移動させる能力ってことか。」

 俺は状況を把握する。


「最初の瞬間移動は、飛ばしてきた鉄の槍に飛んできたってことか。アルムへの瞬間移動は切った刀の所にってことか。」

 ディアリーも分析を開始する。


「何でも真っ二つに切れるのも、刃物に触れた所を、別のところに瞬間移動させてるってことだよね」

 とマナちゃんが言う。


「こっちの攻撃は瞬間移動でかわし、敵の攻撃は瞬間移動を利用した強制切断ってところか……。厄介だね」

 アルムは困ったように言う。



「そうです。私の攻撃は分かった所でどうしようもない。瞬間移動と言う最強の能力の前に、あなた達はやられるだけなのです。」

 敵は誇らしげにそう言い放つ。


「ディアリー、作戦がある」

 俺はディアリーにある作戦を提案した。


「……。なるほどな。やってみる価値はありそうだ。恥ずかしいけれど……」

 ディアリーは渋々頷く。



 俺が人型になり、空に手をかざすと、ディアリーは魅了を試みる。

「こっちを見ろ」

 ディアリーの美しい曲線美が敵を魅了し、動きを止める。


 その瞬間、俺は雷を撃ち落とす。轟音が敵を狙撃する。辺りは土煙に包まれた。


 ……。どうだ、やったか!?

土煙が晴れていく。しかし、そこに敵の姿はなかった。


「だから無駄だと言っているでしょう?瞬間移動は無敵の能力。あなた達には倒せませんよ?」

 敵は遙か後方でそう叫んでいた。



一体どうすれば、こいつを倒せるのか?

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