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夢見るアイツと踊るオレ  作者: 小塚彩霧
夢見るアイツ
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第6話 邂逅(前編)

 あれから数日、サヤが教室にやってきた。受けられなかった期末テストを保健室で受けていたらしい。


「おはよう。久しぶりだな、身体はもう良いの?」

「おはよう。お見舞い来てくれたんだってね。ありがとう。」


 隣にサヤがいる。しばらく空席で寂しかったので、ちょっと嬉しい。

 チャイムが鳴って、担任が入ってくる。


「今日は久々に全員揃ってるな。みんな、体調には気を付けるように。もうすぐ夏休みだからって気を抜くなよ!」


 それだけ言って、ホームルームは終わり。

 一限が始まるまでの数分、教室の中の空気が緩み、ザワザワする。授業の準備をするサヤが何かのついでのようにこちらを見ないまま話しかけてくる。


「コウ、今日の放課後、空いてる?」

「え?空いてるけど……」

「花火大会、行かない?」

「は?どこでやるの?」

「それは放課後のお楽しみってことで。」

「交通費とか?俺、今、小遣いねえよ。」

「そういうの、いらないから大丈夫。」

「うーん。まあ、楽しみにしとくわ。」


◆◇◆


 で、現在。

 放課後、サヤと一緒に学校を出た俺は、なぜかサヤの家のサヤの部屋にいる。

 狭い部屋で男女で二人きり。こんなの、サヤの親や兄貴に見つかったら洒落にならない。


「来て……」


ベッドの上に正座したサヤが、ギシと音をたててこちらを向き、ベッドの傍に座る俺の手を引いて誘う。


(心臓バクバク言う!ベッドの上でナニする気なんだ?しかも、女子にリードされてる俺って!?)


「ほら、行くわよ、花火大会。」


 ゴクッと生唾を飲んだ喉が鳴る。そんなことはお構いなしにサヤは優しく微笑みながら俺の手を引き、ベッドに横たわる。俺も横たわるように促され、おずおずと遠慮がちにサヤの横に寝そべる。

 サヤが俺の手をギュッと力強く握る。バチンと大きな電撃が来たかと思うと目の前が真っ白になった。


「コウ、目を開けて。」


 眩しくて閉じた目を開けると、また、あの河川敷の土手の上だ。


(あの夢?)

「そう。花火大会の日の夢よ。でも、ただの夢じゃなくて、現実でもある。」


 声に出していないのに、俺の考えを読んだのか、サヤが静かに答える。

 俺達の前には、サヤの母親とサヤ、それと俺。


「色々試してるけど、あの事故は防げないし、ママも助けられない。一人でダメだったけど、コウもいてくれるなら。あの時、私の隣にコウがいたのは偶然じゃないと思ってる。今年同じクラスになるってわかって、これは神様の思し召しだと思った。ずっとこうしてコウがここに来てくれるのを待ってた。」


 なんだかすごい運命を背負ってたらしい俺。でも、ここで俺ができることが何なのか、さっぱりわからない。


「私もどうしたらいいかわからない。コウは覚えてないと思うけど、あの事故の時、コウは私とママを助けてくれたんだよ。私も夢で見るまで覚えてなかったし、ママも結局そのまま目覚めずに死んじゃったから、それを知ってる人はいないけど。」

「助けた?俺が?だって二歳だったのに?むしろ、俺はサヤのお母さんに庇ってもらったからほとんど無傷だったのに。」

「物理的にはね。あの事故で私とコウはドリーマーとして覚醒したの。だから、一週間くらい昏睡して目覚めなかったの。長い夢を見ていたのよ。その夢の中で私とママは助けられた。」

「そんな……。俺がドリーマーだなんて。今まで予知夢とか見たことないし。」

「ドリーマーは予知夢を見るんじゃない。現実を見るのよ。」

「何それ、意味がわからない。」

「わからなくてもいいわ。常識の概念からすると訳がわからないことだもの。テレビでもたまにドリーマー特集みたいなヤツをやってるけど、あんなの全部嘘。というか本質は何も伝えられていないのよ。本当のことは世界レベルで機密だから。」

「じゃあなんでサヤは知ってるの?」

「私はドリーマーだから。そして、私のママもドリーマーだったから。さあ『本質』を覗きにいくわよ。」


 サヤに手を取られ、花火大会の会場に入り、どんどん奥へと突き進んでいった。

お!エロ展開!?

と思わせながら、そんなことはなかったぜ、という。

R15ですから、中学生にソンナコトさせられないw

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