表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るアイツと踊るオレ  作者: 小塚彩霧
沙規
59/111

第54話 忘れられた記憶

 サヤの父親が誰かわかったが、果たしてそれが本当なのか。

 本当だとしたら、なぜ、サヤは父親が誰か知らないままだったのか。もしかしたら、弓削島先生も娘が居ること自体知らないのではないか。

 サヤが頑なにDANCEに入りたくないと言ったのは、もしかしたら、本能的に何か忌避するものがあったのだろうか。

 サヤとサヤの母親と船引さんと弓削島先生……。この人達の間に何があったのか。


(弓削島先生には聞けないよな。船引さんの知っていることはあれで全てだろうし。当時の彼らを知る人物としては古井戸先生がいるけど、それを聞くのは地雷を踏み抜く気もする。)


 肝心のサヤは生まれてもいないし、サヤの母親はもう亡くなっている。


(八方塞がりか……。)


◆◇◆


 フワフワと身体が宙に浮くような感覚がした。気がついて周りを見渡すが、そこが何処なのか全く見当もつかない。

 明るいわけでもなく暗いわけでもない。暑いわけでも寒いわけでもない。何か目に入るものがあるかと思ったが何もない。


(ここは何処だろう?というかなんなんだ?)


 身体!と念じれば身体が構成された。手を意識すれば手の形のシルエットが浮かび上がり、足を意識すれば足の形のシルエットが浮かび上がった。


(とりあえず、現実かもしれないが、普通の人間が思う現実ではなさそうだ。)


 我思う、故に我在り。

 確かに俺はここに居る。俺が俺、八千代光かどうかはわからないけど。

 ドリームだろうか?いつ目覚めるんだろう?そう思っていると何か異質な思考が流れてきた。


『何かがいるな。全部消し去ったと思ったのに。』

「誰?俺は…、俺は八千代光。多分。」

『八千代光?お前の名前などどうでもいい。』

「あなたは誰?」

『私に名前などない。ただここに存在するだけ。』


 姿が見えない誰かに話しかけたが、返事はあれども姿は見えず、どうしたものか。


『私はお前。お前は私。』

「は?え?うーん??」

『まあいい。お前は私なのだから。』

「俺があなたなの?なんで?」

『ふふ。私はお前であり、お前の母親であり、動物であり、植物であり、すべての存在である。』

「そんなのおかしいよ。俺は俺だし、母さんは母さんだ。」

『私にとってはすべて同じだ。』

「……あなたは神様?全知全能の神って聞いたことあるもん。」

『そうかもしれん。』

「神様か……。かっこいいな……。」

『光。気に入った。お前の記憶は消さずにとっておいてやろう。』

「きおく?わからないけど、ありがとう、神様。」


 なんだか、眠くなってきた。なにもかもどうでもいい。

 ここは落ち着く。ただ眠りたい。そう思った。


◆◇◆


 (あれ?まだドリームの中にいるのか。)


 さっきまでいた明るいような暗いようなどこかわからない空間ではないが、中二の俺がいる現実ではないことはわかる。

 目線が低い。父さんと母さんが若い。父さんに手を引かれ、家の近所を歩いている。


「光?ほら、飛行機だよ。」

「ひこーき!」

「あなた、夜、花火大会に行くんでしょ?あんまり疲れさせたら、寝ちゃうわよ?」

「はなび!」

「花火見たいもんな。お父さんと一緒に行こうな!」

「うん!」

「……今日は早めにお昼食べて、早めにお昼寝させるわね。」


(花火大会の日……。)


 自分の幼い頃の日常をしばし堪能していると、あの瞬間がやって来た。

 サヤの母親に守られながら逃げる。迫る花火の破片。


(絶体絶命!俺がこの人を救うんだ!サヤと約束したから!!)


 小さな手をかざす。でも、何も起きない。迫り来る破片。全てがコマ送りのスローモーションで見える。


(なんで!前に見たドリームでは俺が破片を割っただろ?)


 目一杯手を伸ばし、掌を広げる。でも何も起きない。どんどん迫る破片。このままだとサヤの母親はここで死んでしまう。抱かれている俺やサヤも大怪我だ。


(神様!!)


『呼んだか?お前は私なのだから、思う存分力を使えばいいものを。しょうのない子だ、手伝ってやろう。』


 神様の声が頭の中に響いたかと思ったら、小さな手から光がほとばしった。


(いっけェーーー!砕けろ、破片!!)


 破片は砕けて四散した。粉々とは行かず、残った破片の一つがサヤの母親の背中に命中した。ガハッと肺の空気を吐き出す音がし、サヤの母親はその場に倒れた。


「ママ」

「大丈夫。」


 サヤの母親の身体の影に居る俺とサヤ。サヤが小さな声で呼び掛けると、消えそうな声でサヤの母親が応えた。その直後、サヤの母親の意識は途絶える。


『ボク、神様に会ったのね。あんまり気に入られないようにしなきゃダメよ。神様はね、何でも自分のものにしちゃうから。』

(待って、どういう意味?)

『いけない。神様に気付かれちゃったわ。いい?ボクは神様に会いに来ちゃダメよ?』

(え?え?神様って会えるの?)

『私が先に神様のところに行って、気を逸らせてくるから、良い子にしていてね。』

(サヤのママ!行かないで!)


 意識がないはずのサヤの母親と俺は確かに話をした。

 サヤの母親はドリーマーだった。そして、俺と同じく神様に気に入られていた。


あんまり推敲していないので、後日ちょっと話が変わるかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ