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夢見るアイツと踊るオレ  作者: 小塚彩霧
夢見るアイツ
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第2話 疑惑(前編)

 サヤはクラスでも目立つ性格ではない。

 遅刻と居眠りと忘れ物で目立っているので、サヤの顔を知らないヤツはいないが、実際どういう性格の人間なのか知っているヤツは少ないのではないだろうか。

 かくいう俺も、サヤのことはあまり知らない。


 放課後、クラスメイトのショーゴと図書館の自習室でテスト勉強をしながら、小さな声で雑談する。


「なあ、巌っていつも居眠りばっかだけど、いつからああなの?」

「あ?ああ、巌ね。アイツ、小学校の時もあんな感じだったかなあ?低学年の頃は、体弱いのか、授業中座り続けていられないって、保健室にいる方が多かったな。よく兄ちゃんが背負って帰ってたわ。」

「へぇ。」


 ショーゴがノートの上の手を止め、ニヤニヤしながら俺を見た。


「コウ、巌のこと気になんの?」

「ばっ、そんなんじゃねぇし!」


 一瞬で顔が火照った。ドギマギしながら、声のトーンを落として続ける。


「好きとか嫌いとか、そういうんじゃなくて。」

「茶化して悪かったよ。」

「アイツ、なんであんなに寝てばっかなのかなって不思議でさ。で、俺、アイツ、ドリーマーなんじゃないかと思ってるんだけど。」

「えっ?まさか。ドリーマーなんてそうそういないもんだろ?」

「だけどさ、あんなに寝る?」

「ちょっ、ここじゃ話しにくい。出るぞ。」


 雑談の声が大きくなってきて、近くの席の学生がしかめ面でこちらを睨んでいた。ドリーマーという単語もタブーに近いので余計目立つ。

 ショーゴは机の上の勉強道具を広げていたノートに全部挟むと、強引に鞄に詰め込んだ。ほら早く、と急かされ、俺も同じように机の上の勉強道具を全て鞄に押し込んで、席を立った。


◆◇◆


 近くの公園の木陰のベンチを陣取る。遠くで小学生が遊ぶ声が聞こえる。

 ベンチで隣同士に座り、膝を付き合わせた状態でショーゴが切り出す。


「で、巌がドリーマーっていう話だけど。誰が聞いてるかわからんので、小声でな。」

「うん。」

「巌がドリーマーっていう噂は確かにあった。」

「うん。」

「小学生の頃かな、やっぱり寝過ぎでクラスで話題になったんだよ。クラスの目立つヤツがドリーマーなんだろ?って言い出して、巌を教室に入れるなっていじめたんだよな。で、最終的に保護者会。」

「へぇ。」

「保護者会だから、俺らは詳しいことは聞いてないんだけど。巌は昔から身体が弱くて、授業中に座っていられないこともある。授業の邪魔はしないから寝ててもそっとしておいてくれ。って親が説明に来たらしい。」


 話し終わったショーゴがふうっと溜め息をついた。子供の遊ぶ声と鳥のさえずり、風にそよぐ葉の擦れる音が聞こえる。


「で、実際のところ、ショーゴはどう思う?」

「どうって。実物のドリーマーなんか見たことねえし、わかんねえよ。」

「ドリーマーって、予知夢見るんだろ?」

「予知夢ったって、ちょっとしたやつなら見るヤツそこそこいるんじゃね?国家機密になる程の予知夢って訳わかんねえよ。」

「そうだよなー。」

「巌、ドリーマーって噂が出た頃、先生が誰を当てるかとか授業の前に言っててさ。」

「おお!予知夢っぽい。」

「だろ?でも、それ以上の予知って聞いたことないんだよ。その噂の後、巌、あんまり喋らなくなったし。」

「ふうん。」

「結局、ドリーマーなのかどうなのかはわからないまま。ドリーマーってタブーだからみんな言わないし。コウも他のヤツには言うなよ。」

「うん…」

「あ、俺には言って良いぞ。俄然気になってきた。なんか情報仕入れたら共有するわ。」

「おお!ショーゴ、サンキューな。」


とりあえずはテスト頑張ろうな、とそこで解散した。

クラスメイト登場。

出席番号が近いという理由で吉田です。


ドリーマーはそこそこ珍しい存在という設定。

テレビでドリーマーとは!?みたいな特番が時々放映されてたり。

ノリは超能力者や霊能力者のソレと同様。

ただし、ホンマモンのドリーマーは国家機密なので、

話題にするのも人目を憚るものなのです。




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