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夢見るアイツと踊るオレ  作者: 小塚彩霧
夢見るアイツ
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第1話 日常

小説家になろう初投稿です。

どうぞよろしくお願いします。


この物語はフィクションです。

登場する人物名、学校名、団体名等は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 眩しい光が窓から差し込む。

 東向きの部屋で昨晩、カーテンを閉めずに寝てしまったらしい。


「暑い…」


 眩しさに顔をしかめながら、ベッドの上で寝返りを打つ。ぐっしょりと濡れたパジャマとシーツが気持ち悪い。

 枕元に置いた時計は五時半。学校に行くにはまだ早い。もう少し寝ようかとした。


 フワッと身体が浮いたような不思議な感覚。

 ああ、こんな一瞬で眠りに落ちるとは。


 何か懐かしい、いい匂いに包まれる。

 誰かに抱き締められている。

 なんだったかな。昔、こんなことがあったような気がする。

『ママ』

 小さい子の声。俺の隣にいる。

 なんだったっけ?

 思い出せそうなのに思い出せない。

 夢だよな? それとも記憶?

 抱き締めてくれているこの人の顔が見たい。

 隣にいる子は誰?

 身体が動かない。夢だからかな。


 夢の続きを見たいのに、現実はそうさせてくれない。

 母さんが自室のドアを勢いよく開けて叫んだ。


(ひかる)!いつまで寝てるの!?もう八時前よ!」

「げっ!マジ?母さん、もっと早く起こしてよ!」

「もう14歳なんだから、自分のことは自分でやりなさいよね。じゃあ、お母さん、仕事に行ってくるからね。」


 眠気は吹っ飛び、ベッドから飛び出す。

 そうか、今日は夏至。俺の誕生日。

 ダイニングのトーストを頬張り、牛乳で流し込む。食器を水に浸け、身支度をして家を出る。寝坊以外はいつも通りの朝だ。


◆◇◆


「おはよう、コウ。」

「おはよ、サヤ。珍しいな、ちゃんと起きてきて。」

「そっちこそ、今日はギリギリじゃない。」


 隣の席の巌沙夜(いわお さや)

 二年生で初めて同じクラスになって、六月の席替えで初めて隣の席になった。小学校も違ったし、それまで全く面識もなかったのだが、やたらと居眠りと忘れ物が多く、しょっちゅう面倒を見てやってるうちに仲良くなった。


「今日、コウがいなかったらどうしようかと思った。数学、当てられそうなのよね。」

「たまにゃ自分で解けよ。」


 そこでチャイムが鳴って担任がやってきた。


「おう、みんな、おはよう。巌はいるか?」

「はい。」

「よし、みんな揃ってるな。八千代(やちよ)、今日も(ヨメ)の面倒よろしくな!」

「先生!それ、セクハラ!!巌は俺の嫁じゃねぇ!」


 ここ最近、このやりとりが定番になってきた。この席になるまで、サヤの面倒なんか、誰も見てなかっただろうに。きっとこれまでも居眠りと忘れ物は多かったと思うのだが。

 それにしても、サヤの眠り癖は凄まじいものがある。遅刻してくるのも最早当たり前だが、登校してきても所構わず急に寝入ってしまったりするので油断ならない。とはいえ、階段の上とかそういうところでは眠らないので、大きな怪我をしたことはないらしい。

 ナルコレプシーかと思ったが、特に治療をしている様子はない。ドリーマーという線もあるが、それなら別の施設へ保護されていそうな気もする。ナルコレプシーにしても、ドリーマーにしても、そんな身近にいるわけがない。

 ドリーマーというのは、いわゆる予知夢を見る人間のことを指す。予知夢といっても普通の人間なら、その場になって既視感(デジャヴュ)を覚える程度だが、ドリーマーは夢を見ている時点で未来視をしていると自覚していて、さらに上級のドリーマーになると夢の中で情報を集めて立ち回ることができるらしい。見る夢の内容によっては国家機密扱いとなり、他国の工作員に狙われないように当局に保護されるという噂だ。


「コウ、数学の宿題写させて。」

「え?ああ、これな。」


 ノートを手渡すと、隣の席でカリカリと宿題を写し始めた。


(まさか。ドリーマーではないよな、絶対。)


しばらくは書き溜めたもので毎日連載します。

23:00公開予定にしています。

その後はリアルが多忙なため、かなりの不定期連載になると思いますが、生暖かい目で応援くださると嬉しいです。


ちなみに主人公の名前は近所の会社の名前のモジり。

ちょっと変わった名前がいいなぁと思ってたら目に入ってきたので。

ヒロインの名前は「八千代」から「君が代」を連想したので「巌」にしました。

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