第15話 好きな人
思春期真っ只中の十四歳。恋に恋するお年頃とはよく言ったもので、当然、俺も恋愛に興味がある。
残念ながら、これまでに仄かな恋心というものは抱いたことがあったものの、これが恋だろう!というものに出会ったことがない。
それが、今、ソワソワしたりフワフワしたりする感じがもしかして恋なのか?と思っている。
(できれば、夢で先に見たりなんかしたくないんだけどな……。)
もちろん相手はサヤだ。
「コウ。今年の河川敷の花火大会、二人で一緒に行かない?」
優しく微笑むサヤが、一段と白く透き通って輝いて見える。
普段と変わらないはずなのに、わずかに漂うピーチの香りと、どことなく平静を装おうとしているようなぎこちなさが、俺の心臓に早鐘を打たせる。
こちらも平静を装いたいが、もしかしたら顔が赤いかもしれない。
「ああ、いいよ。」
「ねぇ。二人だけで、のつもりだけど、デートだと思って良い?」
「ん?サヤがデートっていうなら、デートなんじゃないか?」
「あれ?コウって、誰とでもデートしちゃう感じ?」
「えっ!?そ、そんなことはないけど……。」
「デートってなにするの?」
「ええっ?そんなの、こっちが知りたいよ。何をもってデートっていうのか。」
完全にからかわれている。もう多分俺の顔は真っ赤だ。
最初は単純に居眠りや忘れ物で、学校生活に支障が出てるように見えたので、それを手助けしてやっただけだった。本人は小学生の頃からそれが平常運転で気にしていないようだったけれども、クラスでちょっと浮いているような気もしたし、楽しそうな顔を見ることは殆どなかったから。少ないながらも数人は友達がいて、昼休みに起きているときは談笑しながらお弁当を食べてたりしたんだ。ちらと白い歯を覗かせる笑顔や、前に下りた髪を耳に掛ける仕草がちょっと可愛いなと思っていた。
(俺、完全に好きっぽい。夢の中でコレか。それにしても今は夏休み。理科室の前の廊下だな。いつサヤに会うんだろう?)
「あはは。私はデートでもデートでなくても、どっちでも良いよ。」
「じゃあ、デートな。」
「……特別な意味だと思って良いのかな?」
「別に。二人で出掛けたらデートなんだろ?」
「そうね。デートだね!」
そう言って一段と嬉しそうにしたサヤが、じゃあ楽しみにしてるね、と手を振って去っていった。
(サヤも俺のコト、好きだったりするのか?いや、まさかな。)
平静を装おうと緊張してした顔が緩む。嬉し恥ずかし、だ。周りに誰もいないことを確認しつつ、ニヤついた顔を見られないように手に持ったノートで隠す。
◆◇◆
(……ドリーム。割と直近の夢だったな。案外今日とかかもしれない。)
なんとなくだるい身体を起こして、ベッドから下りる。
夢の中のサヤを思い出して、ニヤニヤしてしまう。
(これはマズい。望に見られたらキモがられる。)
学校に行って午前中にサッカー部の練習をした後、理科部に顔を出した。先輩達はちょっと前に帰っていったらしい。後輩達の宿題を見てやって、片付けをしているとサヤがやって来た。
「コウ!久しぶり!」
「サヤ!夏休みなのに学校なんかに来て、どうしたんだよ?」
「んー、コウが多分学校にいると思って会いに来たの。」
後片付けを後輩達に任せ、廊下に出た。
後輩達が、お先に失礼します、と先に帰っていった。
「暑いし、理科室に入る?」
「ううん。大したことじゃないから、ここでいいよ。」
家からここまで、暑い中を歩いてきたであろうサヤは、ちょっと息が上がり、ほんのり頬が赤い。額や首筋の汗をハンカチで拭いていた。
その仕草だけでも、ちょっと色っぽさを感じてドキドキする。
この後の展開が今朝見たドリームの展開になるのかと思うと、ソワソワ、フワフワする感じがしてきた。
(できれば、夢で先に見たりなんかしたくないんだけどな……。)
「コウ。今年の河川敷の花火大会、二人で一緒に行かない?」
「ああ、いいよ。」
心臓の早鐘が治まらない。顔も多分赤い。
ドリームで見たやり取りがそのまま再現されて、サヤが去っていった。
ニヤついた顔をノートで隠しつつ、誰もいない理科室に戻った。
(花火大会。待ち遠しいなぁ。)
中学生の恋愛って胸キュン。
作者はメガネ男子(ヒョロくてインテリだと尚良し)が好みです。
が、光は残念ながらメガネ男子ではなく、頭悪くはないけど秀才でもない。
髪はトップ長めでサイドから襟足にかけて刈り上げとかをイメージ。
(ツーブロックではない。割と剛毛で寝癖がツンツンしそうなヤツ)
沙夜は色白黒髪の地味目な美少女を想像。
ストレートの髪で長さはボブ~セミロングくらいかしら。
前髪重めで俯いてると表情わかりづらいかも。
時頭は良さそうですが、いかんせん居眠りが多いので、成績は中の上といったところか?




