4月26日 午前 星乃宅へ訪問
次の日、通常通りの授業だったのだが、朝のホームルームで、先生がこう言い、1日が始まった。
「星乃さんは体調不良でおやすみすると連絡が来ました。」
「星乃が…休んだ?」
一番驚いた、いや、絶望している武瑠。
「っ――――」
少し反応し、少しそわそわして再び本を読み始めるクレアだったが、先生から放たれる発言により、二人の反応が変わるのだった。
「どうやら貧血を起こしてしまい、輸血パックも無くなっていたようです。」
「貧………血?」
「」
殺意がこもった武瑠の視線の先には昨日決闘をした、冷や汗を出しながら本を読んでいるクレアがいた、一言で言おう、武瑠は怒っていた。
「ク・レ・ア・さ・ん・?」
そして武瑠は行動に移した、超爽やかな笑顔で本を読んでいるクレアに近づき、話しかける。
「っ――な、なんだ、なんのようだ。」
「人とは目をあわせて話さないとね?ん?」
クレアは分かっている、この男は昨日の星乃君に対して本気で戦ったことに怒っているのだろう、と予想する。
「クレアさん、昨日の決闘どうだった?」
「……か、完敗だった…勝てる予測が全くもって見えなかった。」
「……星乃の件だけどさ。」
「「「「「「「「!!!!!??!??!!」」」」」」」」
その瞬間、回りの空気が凍り付いた、とてもにこやかだが、武瑠の目は全く笑っていない、生徒はこっそり武器を取り出し始めて、教師も戦線体制に入る。
「あのさ…星乃の家に行かない?」
「「「「「「「………は?」」」」」」」
予想外すぎる内容にクレアも疑問だけが浮上した。
「な!何故私が人間である星乃唯一の家に行かねばならないのだ!」
回りの亜人種達から「そうだそうだ!」「行かなくなって良いだろうが!」等と聞こえるが、武瑠は回りの言葉を無視して理由をのべ始めた。
「え?だって貧血だよ?」
「だからなんだと言うのだ?」
「星乃は赤血球減少症だよ?」
「だからなんだと言うのだ!」
「お前が戦った後星乃はそのまま帰ったんだよ?」
その言葉を聞いた瞬間、クレアはハッと直ぐに気付いた。
「ま、まさか…」
「電話来たんだけどさ、多分今倒れてる。」
そう言い武瑠は携帯を取り出し、電話履歴にある、『午前7時37分 星乃唯一』と表示された電話履歴をタップし、クラスに会話の一連を流した。
『た………たけ………るか?』
か細い声がその時の星乃の状況を物語っていた。
『ほ、星乃?お前まさか』
『あ…うん、ちょっと昨日の戦闘で血を流しすぎたかも…』
星乃がか細い声で『血を流しすぎたかも』と言った直後、クレアの顔は何か恐ろしい物を見たような、恐怖に慄く面構えをしていた。
『大丈夫かよ!?クレアの野郎……銀弾の餌食にしてやる…』
「っっっ!?!!?」
クレアは『銀弾』と言う言葉を聞いた瞬間、血の気が引いたのか、力が抜け、その場に倒れてしまった。
「クレア様!」「クレア様しっかり!」「大丈夫ですか!」「はやく高梁先生連れてきて!」と、クラスの亜人種達は大慌てでいるが、武瑠達にしてみれば、まさしく「ざまぁみろ」の一言に限る、そして通話は続く。
『いやいや…や、やらなくて…いいから、生きてるからさ…ね?だから…大丈夫なんだけど…輸血パック切らしててさ、俺の家まで持ってきてくれないか?』
『分かった、持ってきてやるよ。』
『おう…たの』
ここで切れてしまった、どうやら重度の貧血で気絶してしまったようだ。
「だからだ、せめて謝って欲しい、やり過ぎたって、言って欲しいんだ。」
床で仰向けになっているクレアは、武瑠の意思に負けたのか。
「……分かった、今日だけよ。」
「それで良い、助かる。」
等と会話をしていると、教室のなかに誰かが入ってきた、高梁先生だ。
「クレアさん、どうしたの、とりあえず保健室連れていくから、武瑠さん、手伝ってください。」
「あ、わかりました。」
高梁先生が持ってきた担架に、ぐったりとしたクレアを乗せ、高梁先生と武瑠は、そのまま保健室へと向かったのだった。
「全く、武瑠さん、星乃ちゃんが元気であっても、出血したら絶対に輸血するって言ったでしょ?」
「家にあると思ったようですが、どうやら無かった用で…」
「星乃ちゃんクオリティーはある意味恐ろしいから気を付けなさいな。」
ベッドで横になるクレアを放置し、高梁先生と武瑠は、2人で仲良く会話をしていた。
「あ、そう言えばクレアさん?」
高梁先生がクレアの寝ているベットの側に行き、クレアの頭を撫でながらこう言った。
「クレアさんも星乃ちゃん家行くみたいだけど、妹には気を付けなさいな。」
「…妹……ですか?」
クレアの質問に「えぇ、妹よ。」と、呟き、話を続けた。
「妹さんは本当に手が負えないわ、星乃ちゃんがいないとだけれどねぇ…星乃ちゃん多分倒れてるかもだから気を付けてね?」
「星乃唯一の妹なのですよね?大したことないのでは?」
「甘い、正直言ってこんな考え方じゃあ5回は三途の川への往復切符をもらうぞ。」
聞いていた武瑠はそう呟く、クレアの耳には、武瑠が怯えている様にも聞こえた。
「脅威と言うことは分かりましたが、証拠…のような物はあるのですか?私見たいに「吸血王」のような二つ名があるのですか?」
二つ名とは、世界でも有数の実力者が天皇直々に授かる、名誉あるものである、ちなみに星乃には二つ名は無いのだが、武瑠には早撃ち少年と言う、名前を授かった。
「えぇ、星乃ちゃんの妹さんの二つ名…それはね『世界の覇者』よ。」
「『世界の覇者』!?あ、あり得ない…ただの人間である星乃唯一の妹が…そんな!」
二つ名にも実のところ、クラス付けがされていたりする、順番として『D.C.B.A.S』と言ったように並んでいる。
クレアの二つ名の場合「吸血王」の場合、戦闘能力と、もう一つの世界の国で、有力な権力を持っていたことでクラスは「A」となる。
武瑠の二つ名の場合、普通の人でありながら、優秀な能力を所有し、どんな状況においても冷静沈着でありつつ、周りの雰囲気や活気を良くしてくれて、早撃ちの性能もピカ一と言うこともあり、こちらもクラスは「A」である。
そして星乃唯一の妹の二つ名である『世界の覇者』元々は『王者』と言う世界で最も強いとされている者のみに送られる二つ名だ、ランクは勿論「S」である。
また、『王者』と言う二つ名を持つが負けた場合、その二つ名は別の者に継がれるが、敵がどんな手を使っても、どんな状況に追い込んでも、誰も傷一つ付けられないと言うことが発生し、戦闘数は現在確認されている中で、三万九四二〇戦し、三万九四二〇勝〇敗を納めたことを敬意し『王者』の上位の『世界の覇者』に昇格したのだ。
「そう言うところだから気を付けてね、さてと、そろそろ放課後ですからね、星乃ちゃん用の輸血パックを渡しておくわ、クレアさんは飲まないことをお勧めします。」
「飲みませんよ!」
「飲んだら赤血球増加症に襲われて最悪死んでしまいますよ、お気をつけて。」
「っ、分かりました。」
絶対飲む気だったなこの人…と思う二人であった。
×××××
「うし、じゃあ行きますか。」
「そう言えば、あなたは星乃唯一の家に行ったことがあるの?」
「ん?あぁ、妹さんに殺されかけてたけど、星乃が止めてくれてなんとかなったよ。」
「じゃあ何処へ行けば良いの?」
武瑠は「んん?」と少し不思議に思ったのか、少し考え、こう言いだした。
「あの大蛇山の麓にあるんだ、すぐわかるよ。」
「そ、じゃあ行くわよ。」
「え?ここからだと5時間はかかるぞ?」
「甘いわね。」
そうクレアが呟いた瞬間、背中から、3メートルはあろう翼が生えたのだ。
「飛べば話は別よ、手を掴みなさい、時速80キロぐらいで飛ばすわよ!」
「はっ!ちょっ!待ってえええええええぇぇぇぇぇ…」
一つ地面の上の空に、その日、空を飛ぶ人形の何かとぶら下がり叫ぶ人が目撃されたと言う。
そしてその数十分後、クレアとあまりの速さに死にかけている武瑠は無事に星乃の家に着くことが出来た。
「ここが…星乃唯一の家?」
その家は、とても広く、塀で家が囲まれており、大きな家の隣には大きな道場らしき物もあった、二人は門をくぐり、玄関へと向かう。
「そ、ここが星乃の家、星乃の家は江戸時代から続く流派の家系なんだよね。」
「だから刀を使っていたの?」
「まぁそれも理由の一つだな。」
「まぁ良いわ、とっとと入って終わらせるわよ。」
そして玄関につきクレアが玄関の入り口に手をかけた時、それは現れた。
「っ!」
「っがっ!?」
武瑠は瞬時に気が付き避けることが出来たが、クレアは少し反応が遅れ、何者かの攻撃を受けてしまった。
「クレアさん!」
「がっ…ごふっ、」
その一撃は余りにも衝撃が強く、攻撃を受けていない武瑠も数メートル吹き飛び、クレアに至っては、塀に直撃した。
ドォオオオオオオオン!
「っ!?な、何事!?」
一方家の中、星乃唯一が急な爆音に目が覚めた、倒れていた所は廊下だったため、顔には赤い跡がついていた。
「もしかして!」
そう言い星乃はスマホ(常に持ってる)を取り出し、日にちを確認した。
「4月26日…帰ってくるんだった!」
そう、帰って来たのだ、星乃唯一の妹もとい、
「『世界の…覇者』」
史上最強の者が。




