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すき。のかたち  作者: 桜月


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9/11

きゅう。再びの颯太くん

ヘタレ颯太くんもやっぱり男の子でした。

 

 颯太くんは、実は萌さんが昔から好きだった。

 蓮くんが萌さんに告白する前から好きだった。


 てか、蓮くんはそれを知ってて萌さんに告ったよね、絶対。


 颯太くんは潔く、告白を諦めた。好きでいるのを諦めたわけじゃない、告白を諦めただけ。蓮くんはそれをどう思ったのか、勝ち誇った顔でいたけど。


 だから、蓮くんは萌さんを好きだけど好きじゃない。萌さんがそのことに気づいたのはいつだろう。蓮くんすら気づかない、無意識の優越感。


 それから、萌さんの蓮くんへの愛情はぐんぐん減っていった。ただ、終わりを告げる機会を待っていただけ。


 颯太くんは、それをずっと見ていた。萌さんが傷つかないように、寂しくないように。

 ならとっとと告れよこのヘタレ! と思わなくもないけど、颯太くんは略奪愛ではなく、萌さん自身に颯太くんを選んでほしかった。ピュアっ子である。


 萌さんが蓮くんと別れるのを待っていた。虎視眈々と。他の奴に譲る気はさらさらない。あれ、肉食くん?


 萌さんの誕生日、大寒波の中蓮くんを待ち続けて倒れた彼女を見つけたのは颯太くんだった。この日ばかりはいくら蓮くんでも約束は守っただろう、いやしかし、まさか、と思いながら何となく向かった駅。電車は軒並み運休だったから、人なんていなかったのに、そこに倒れた萌さんを見つけた時、颯太くんは蓮くんに殺意が沸いた。


 救急車を呼んで、千晶さんに家族に連絡してもらってつきそって。震える萌さんの手をずっと握りしめてたのは颯太くんだった。


 萌さんは意識朦朧だったけど、間違わなかった。ちゃんと颯太くんの名前を呼んだ。颯太くんが決意したのはこの時だった。守りたいなんて大それたことは言わない。隣にいたい。ひとりきりになんてしたくない。


 ただ、笑っていてほしい。


 颯太くんの願いは、お見舞いに行った日、叶った。


 萌さんからの告白。泣きそうになった。ちゃんと自分からも告白した。両想いになれた日、決意を新たにした。


 今隣で、つないだ手を見てはあわあわしては頬を赤く染めてにこにこ笑う萌さんが、とても愛しい。

 手放すつもりはない。もう、2度と。なので。


 ちゅ。


「っ、っっ!?」


 思わず萌さんにちゅーした。一瞬で沸騰する萌さんもかわいい。


 デレながらも冷静な部分で、ちゃんと萌さんを見ていた。嫌がられてないか、あのクズを思い出してないか。


 萌さんは、真っ赤になってあわあわして涙目で、それでも颯太くんを真っ直ぐ見た。だから止まらなかった。キスしまくった。幸せで死にそう。死なないけど。


「……は、やっ、はや、たく」

「あ、ごめん。つい」


 抑えられなかったんだね、うん、男の子だもんね。うん、それ以上はまだ許しませんよ!



幸せになるがよいよ!

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