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ろく。再びの蓮くん

ほんともう、どうしよう、このクズ。

 蓮くんは焦っていた。超絶焦っていた。今更だが焦っていた。自業自得で因果応報である。本人をよそに周りは納得、だよねー。とうなずくタイミングまで一緒。当然の帰結だろう、と。


 誰もがそう思うのに、蓮くんは納得しなかった。阿呆である。


 一応、彼氏()の蓮くんだったから、萌さんの本気がわかった。本気と書いてマジと読むレベルであの発言だったのだと。


 だけど、なぜそうなったのかがわからない。マジで。マジかよ!? と周りがどよめくが、きょとんと首をかしげた。マジらしい。


 蓮くんは、3歩歩いて記憶をけっ飛ばす阿呆だったようだ。ため息しかない周りに同情するわー。しかし、それは自分のせいなわけなので、千晶さんも陽平くんも颯太くんも容赦はしなかった。


 つまり、絶賛絶交無期限延長、絶縁もありえるよ! 存在をなかったものとしたスルーは、華麗に続いている。


「なんでー?」


 納得していないが、萌さんの教室には行けども強固な人間壁が立ちふさがり、話はおろか会うこともままならない。そもそも、萌さんは会いたくないのでクラスメイトには感謝しかない。


 しかも、クラスメイトと、他クラスの有志がタッグを組んで「蓮くんから萌さんを守る会」を結成。萌さん公認で活動中、会員は毎時更新中である。どんだけ嫌われていたのか、蓮くん反省しろや。


「でもー、俺別れてないしー、だからー、まだー、俺萌の彼だもんねー」


 そう思ってるのはお前だけだこのど阿呆が。……失礼。しかし「蓮くんから萌さんを守る会」の総意でもある。


「高山さんの彼氏なのに、デートは別の子なのはなんでなの? 私じゃなくても、それはつき合ってるとは言えないと思うけど?」

「えー? 誘われたからー?」

「高山さんと約束してたのに?」


 頑張れ、名も知らぬ蓮くんのクラスメイトよ! 蓮くんの都合のいいお花畑脳が事を理解するか否かは、君の突っ込みにかかっている!


「萌と約束ー?」

「してたでしょう? あの大寒波の日に」

「あー、あの日は行こうとしたらー、誘われたからー行けなくてー」

「連絡もしなかったそうね?」


 多分、蓮くん以外は事情を全て知ってるし、それに対して怒ってるし、萌さんの対応も当たり前だと理解しているんだよ。蓮くんラブな肉食女子共を除くけど。


「それはー」

「高山さん、ずっと待ってたそうよ? あの寒い中、矢作くんを」

「え?」

「自分の誕生日を祝ってくれるどころか、覚えてすらいない人を待つの、どれだけ辛かったかわからないわ。だけど、だからこそ、許すつもりがないのはとても良くわかる気がするのは、私だけじゃないと思う」

「……え?」


 おそらく、あの日蓮くんを拉致った肉食女子共は、あの日が萌さんの誕生日だと知っていたと思う。知っていてそれでもやめなかったのなら、それは悪意以外の何物でもない。


 そして、なにも知ろうとしなかった蓮くんも同罪だし、それ以上だろうさ。


「3度目の正直ならぬ、仏の顔も3度まで、ね」

「……え?」


 的確に蓮くんを抉っていく君、ぜひ名前を教えてくれないかい? スカウトしたいよ、ゼヒ。


「高山さんとつき合って3度目の誕生日だったそうよ? 彼女の今年に込めた決意はどれだけのものだったのかしらね」

「………………え」


 勝俣女史かっけぇー、とか後ろから聞こえるけど、クールビューティーな勝俣女史(推定17歳)のスルースキルも半端ない。


「貴方が言うのも思うのも自由だけど、高山さんの恋人は貴方じゃないわ」


 その日、クラスメイトのクールビューティー勝俣女史にこてんぱんにされた蓮くんのお花畑脳はパンクしてショートした。


 勝俣女史、一本!



なにやらまたどこかで見たようなお名前が……(笑)

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