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よん。颯太くん

颯太くん、がんばれ。

 牧野(まきの)颯太(はやた)くんは、陽平くんと蓮くんの幼なじみで友達だった。


 過去形である。なぜなら、蓮くんと縁を切ったからである。


 今までは一応中立だったんだけどね。陽平くんは千晶さんの味方だから、萌さんの天秤が重いだろうと。それでも非は蓮くんにあるとわかっていたからこその中立だったわけなんだけど、この度めでたく萌さんの味方になった。


 ので、颯太くんのクラスにわざわざ来て、自分の弁護をひたすら宣う蓮くんの話なんて右耳から入る前にシャットアウトだったんだが、いい加減ウザイ。


「だからさー、知らなかったんだってー。萌の誕生日だったなんてさー」

「……俺にしてみたら、彼女の誕生日を知らないお前にびっくりだわ。約束を守らなかったことにも失望だけど。しかも連絡もしないで待ちぼうけくわせるなんて何様だよ」

「だって知らなかったんだってー、しょうがないだろー」


 あかん、これなに言っても通じないパターンだわ。しょうがないで済ませるつもりなのか、自分は悪くないと駄々るつもりなのか。頬にシップの意味を考えもしないのか。


 いや、それは千晶さんが殴りすぎたんじゃなかろうか、とか頭をよぎるがすっ飛んだ脳ミソの記憶は返らない。


「あのさ、俺お前と友達やめたんだけど。いい加減ここにくんのやめてくんない?」

「えー。颯太までそんなこと言うのー? 陽平といい、ひどくなーい?」

「なぐさめてほしいなら、女子共のとこに行け」

「えー、だってさー」

「俺はお前を許さない。高山が許したって俺は許さない。もう2度と話したくも顔も見たくない。次俺のとこ来たら顔面偏差値マイナスにしてやるから」


 いやいや、その顔だけで生きてる蓮くんにそれは死活問題でないかい? あ、だからやるんだね、納得。


 ともかく、颯太くんの本気(マジ)っぷりを目の当たりにして、蓮くんは引き下がった。渋々だったので理解はしてないかもしれない。蓮くんの顔面偏差値がマイナスになる日も近いな。



「よくこらえたな、颯太」

「……俺が怒っていいとこじゃないだろ」

「そうだな、まだ」


 陽平くんはオカン属性なので、千晶さんの面倒も颯太くんのメンタルケアもこなす心のイケメンなフツメンなのだ。余計なお世話? ごめんね。


「あたしが許す、やっておしまい!」

「はいはい、落ち着いてね千晶」


 右手がまだ使い物にならない千晶さんは、まだ怒ってる。てか、噴火前の火山みたいな感じ。いつかどっかーん、といくだろう的な? うん、被害甚大だろうけど、犠牲がひとりなら無問題(モーマンタイ)


「颯太も明日は行くだろ?」

「行ってやって。てか、行け」


 ふたりは千晶さんには勝てない。これ自然の(ことわり)である。


「……ああ」


 いい加減腹くくれよ、颯太くん。



ほんともう、颯太くん頑張って。

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