いち。萌さん
お気に入り登録大台突破記念に。ここまでくればさすがにさがらないよね……?(ドキドキ)
高山萌さんの彼(笑)は矢作蓮くんである。
中学生の時につき合い始めて、高校生になった今も続いている。らしい。
らしい、というのは、彼(笑)の(笑)の理由でもある。彼(笑)、もしくは恋人(仮)と萌さんのおつき合いしている人には(かっこ)がつくのだ。
なにせこのふたり、つき合っているのにつき合っていない。そうとしか見えない。一緒にいる所を見たことがないからだ。
原因は蓮くんである。
ふたりがデートの約束をする。蓮くんに別のお誘い(もちろん女子)が入る。ドタキャンする。埋め合わせのデートの約束をする。蓮くんに別のお誘い(やっぱり女子)が入る。ドタキャンする。以下繰り返す。
ふたりのトークアプリはこれしか入ってない。萌さん哀れ。マジふざけんなである。
でも、萌さんは怒らない。しょうがない、と最初から別の予定を立てていたりもする。初めの頃はがっかりもしたし、ちょっと怒ったりもした。けど無駄だった。怒るのには気力と体力が必要、だからやめた。やめることにした。
萌さんは最後の賭けをした。来週の日曜日、久々のデートの日。必ず来て、と念を押した。この日だけでいい、他の約束は入れないで。自分との約束だけを守って欲しい。お願い。
うん、わかった。との返事に、本当に安堵した。久しぶりにほわ、と笑った。どれだけ緊張してたのか、本人にしかわからない。
そして当日。約束の時間は過ぎることは想定済みだから、あったかくして飲み物とかも用意して準備万端で待った。
待った。待った。待った。待って、待って、待って、待った。
寒い日だった。雪が降らないのが不思議なくらいの(実は大寒波が襲来していた)寒さだった。
きっと寝坊したとか、忘れ物とか電車がとか、思いつく限りの理由も出尽くして、それでも動けなかったのは、諦められなかったのは。それは。
涙すら出なかったその日。
萌さんは賭けに負けた。
これ、マジモードで書いたら本気で泣きたくなると思うんですよ、マジで。