第4話 村へ
林を抜けて道に出た俺は南の村へ向けて歩く。草原の中を伸びる道の両側には20mほどの間隔で木が植わっている。間隔が開きすぎているから風除けの並木という事でもないのだろう。赤土の道には轍ができているから馬車でも通るのかもしれない。自動車にしては轍の溝が小さい。そもそも自動車があるのかも分からないのだが。
ふと心配になって後ろを振り返る。追ってくる魔物はいないようだ。調子に乗って大声で叫んだが、考えてみれば危険な行為だった。ゴブリンの仲間が居れば呼び寄せてしまうからだ。あんなのが何匹も寄ってきたら間違いなく終わっていた。
歩きながらステータスを表示する。
ステータス
名前:宮辺 豪太 年齢:16 性別:男 種族:人族 職業:なし
レベル:2
HP:15/15 MP:120/120 SP:1
体力:E
魔力:F
知力:E
状態:‐
罪科:‐
称号:未設定
スキル:【鑑定 レベル2】【マップ レベル1】【語学】【雷無効】
やっとレベルが上がった。魔物を倒すと上がるようだ。
HPは50%も上がったしMPは30%上がった。体力や知力も上がったが魔力は変わらない。これは魔法を使わないと上がらないのかもしれない。
シークレットステータス
魔法:‐
固有スキル:【レンタル レベル1】
固有アイテム:リュック
称号:女神の加護、復活者
シークレットステータスに変化は無かった。魔法を覚えるなんていうことも無かった。
それにしても棍棒が移動したのは一体何だったのだろう。思い当たる事といえば固有スキルの【レンタル】くらいだ。
あの時のことを思い返す。
武器の無かった俺はゴブリンが振り回す棍棒を見て言った。
「俺がぶん殴ってやるから貸してみろ、アホが」
そうしたら棍棒がワープしてきた。つまりゴブリンから棍棒を借りたのだ。レンタルした。
【レンタル】のスキルはそういう事なのだろう。
もしそうなら結構使える能力だと思う。相手の武器を奪うことができるのだ。モンラットやゴブリンなど凶暴な魔物がいるこの世界でもなんとかなるかもしれない。レンタルビデオ屋に行って死んだ俺がレンタルで助かるなんて皮肉なものだ。
収納した新たな獲物も確認してみよう。
美肌草24株
カムイ草97株
ストロー草2本
ストロー10本
モンラットの肉1塊
モンラットの毛皮1枚
モンラットの魔石1個
ゴブリンの死骸1匹
棍棒1本
飲料水
ちゃんと収納されていた。
獲物を【鑑定】してみる。
ゴブリンの死骸: 肉は飼料として利用される。
ゴブリンの肉は飼料にしかならないんだな。たしかにあれは食べたくない。
解体するために肉をイメージして取り出し、現れた肉を再び収納してリスト表示する。
美肌草24株
カムイ草97株
ストロー草2本
ストロー10本
モンラットの肉1塊
モンラットの毛皮1枚
モンラットの魔石1個
ゴブリンの肉1塊
ゴブリンの魔石1個
棍棒1本
飲料水
廃棄物
肉と魔石以外は廃棄物になっていた。腰に布を巻いていたがあれも価値がないという事なのだろう。たしかに、いくら何も持っていないからといってあれは身に着けたくない。並木の根本に穴を掘って廃棄物を埋めた。
しばらく歩くと目指す村が見えてきた。