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異世界レンタル放浪記  作者: 黒野犬千代
第一章 異世界入門
13/99

第13話 戦いの後

 後続の敵は馬首を巡らせ逃げていった。


  >>> レベルアップしました。レベルが3になりました。

  >>> レベルアップしました。レベルが4になりました。

  >>> レベルアップしました。レベルが5になりました。

  >>> レベルアップしました。レベルが6になりました。

  >>> レベルアップしました。レベルが7になりました。


  >>>【レンタル レベル1】がレベルアップし【レンタル レベル2】

      になりました。レンタル期限が1日から3日になりました。

      レンタル可能数が3から5に増加しました。


 確認している暇は無い。前方で戦う味方に目を向けると後方の敵には気付いていなかったようだ。盗賊たちは倒れた仲間を見捨てて逃げていく。追って行こうとする御者に護衛が声を張った。


 「よせ、放っておけ。それより負傷者の救護だ」


 馬車の周りには敵味方7人ほどが倒れていた。矢を受けた味方ハンターは気を失っているようだ。魔法使いが横に跪き矢を抜と血が噴き出したが素早くポーションを掛けると血は止まった。更に「ヒール」と呟き治癒魔法をかけるとハンターは楽になったようで呼吸が穏やかになった。その横では御者助手は血まみれの肩を押さえて呻いている。魔法使いは同じようにポーションを掛けてから治癒魔法で手当をした。どちらも致命傷ではなかったようだ。十文字槍の戦士は敵の負傷者たちの間をまわって武器を取り上げていた。


 ブラウンさんが俺に気付き、馬の横で死んでいる男を見て言った。


 「良かった無事だったんだね」


 「はい、なんとか倒せました。もう一人は逃げて行きました」


 「騎馬が2騎も突っ込んで来たら状況は一変していたよ。よくやった」


 話しながら負傷者の方に目をやると、ゴヤルさんが倒れている敵の胸に次々と剣を突き入れて殺している。俺は驚いて声も出ない。


 「残酷だと思うかい」


 「はい、何も殺さなくても」


 「君は【鑑定】を持っているんだったね。あの者たちを【鑑定】してごらん。そのうえで、君が責任者だったらどうするか考えるんだ」


 俺は言われたように【鑑定】する。


  名前:リーグルス 年齢:47 性別:男 種族:人族 職業:盗賊

  罪科:殺人、強姦、強盗

  称号:昂ぶる者


  名前:サルサル 年齢:28 性別:男 種族:人族 職業:盗賊

  罪科:殺人、強姦、誘拐、強盗

  称号:酒乱


  名前:エルガ・ド・サードソン

  年齢:39 性別:男 種族:人族 職業:盗賊

  罪科:殺人、強盗

  称号:酒豪


 俺が倒した騎馬の男はドレイブルという名だった。


  名前:ドレイブル 年齢:32 性別:男 種族:人族 職業:盗賊

  罪科:殺人、強姦、強盗

  称号:弩張剣抜


 他も全員が同じような罪科だった。酷い奴等だった。


 もし俺がゴヤルさんの立場だったらどうしていたか、今の俺には何が正解なのか分からなかった。


 一行は手分けして馬車の積み荷の一部を馬2頭に分散して載せ、空いた場所にハンターと御者助手を寝かせた。敵の武器や所持品も回収して馬車に載せた。


 「君もその男の所持品を回収するんだ。倒した者に権利がある。死者の懐を漁るのは嫌かもしれないが負傷者の治療費に充てればいい。武器は必ず回収するように。また盗賊に使われてはいけないからね」


 サーベルと弓矢と自分の盾を拾って御者台の後ろに入れた。男の所に行って槍を引き抜き、他の人がしているように男の服で血を拭って回収した。腰からサーベルの鞘も外した。吐きそうになるのを我慢した。男の所持品を調べてポケットから硬貨の入った袋を取り出した。中を見る気にはなれない。袋ごとブラウンさんに、負傷された方の為に使ってくださいと言って渡した。


 とても嫌だった。槍で刺した時の手に伝わる感覚、槍を引き抜いた感触、拭った血のどす黒い赤、全てが嫌だった。


 死体は道からどかせて草の上に並べられた。道を塞いでいた倒木も道の脇に移動され、準備が整うとキャラバンは出発した。


 「死体はあのままでいいんですか。燃やしたり埋めたりしないんですか」


 「都市に着いて報告すると兵士が確認しに来るからね。埋めたり燃やしたりしたら確認できないだろ」


 「盗賊たちはどうしてこのキャラバンを襲ってきたのでしょう。農作物ばかりなのに」


 「ゴータは誰かに【鑑定】されたって言ったね。【鑑定】を持つのは商人に多いんだ。冒険者でも持つ者はいるが奇襲前に【鑑定】はしない。敵に悟られてしまうからね。そうするとゴータを【鑑定】したのは商人だ。奴等の中に商人崩れの盗賊がいたんだろう。元商人なら積み荷を換金する伝手があってもおかしくない」


 なるほど。それにしてもブラウンさんは何でも知っている。俺は素直にそう言った。


 「うちの職員は何でもするんだよ。御者もするし営業もするし盗賊とも戦う。そうやって仕事を覚えて支店を任されたり、のれん分けしてもらったりするんだ」


 この人ならすぐに自分の店が持てるんじゃないかなと思った。


 上がったステータスとスキルを確認する。


  ステータス

  名前:宮辺 豪太 年齢:16 性別:男 種族:人族 職業:なし

  レベル:7

  HP:55/55 MP:323/323 SP:7

  体力:D

  魔力:F

  知力:D

  状態:‐

  罪科:‐

  称号:未設定

  スキル:【鑑定 レベル2】【マップ レベル1】【語学】【雷無効】


  シークレットステータス

  魔法:‐

  固有スキル:【レンタル レベル2 レンタル中:素槍(2d22h35min9s)】

  固有アイテム:リュック

  称号:女神の加護、復活者、ラットハンター


 罪科に何もついていなかった。ドレイブルを殺したので殺人になるかと思ったが、そんな事はなかった。


 女神の加護を称号設定するのを忘れている。これで二度目だ。せっかく即死回避の効果があるのにガランジさんに言われて外したままだ。野外では設定しておこう。リュックはまた新しい機能を見せてくれた。ドレイブルの矢が当たったのに傷一つ付いていない。命中した矢尻のほうが潰れてしまった。肌身離さず大切にしよう。


 レベルが一気に5つも上がった。ドレイブルがそれだけ強かったということなのか。問題はこの固有スキルだ。


 【レンタル レベル2 レンタル中:素槍(2d22h35min9s)】


 敵から奪った槍がレンタル中になっている。ゴブリンを斃した時の棍棒は今も収納に入っているがレンタル中にはなっていない。ドレイブルから奪った弓矢もサーベルもレンタル表示されていない。ゴブリンもドレイブルも死んでいるのだから返却できないのだ。相手が生きているか死んでいるかで違うという事だろう。逃げた槍の男は生きているから返さなければならない。(1d22h35min9s)というのが返却期限みたいだ。再表示したら数字が減った。

 今から1日と22時間35分9秒で期限になるという意味のようだ。しかしどうやって返すのか。盗賊に武器を返すというのも変な話だし、期限までに返さないとどうなるのだろう。罪科に横領とでも表示されてしまうのか、延滞金を取られるのか。ちなみに所持金に変動は無かった。取扱説明書かヘルプ機能が欲しい。


 午後4時。キャラバンは都市グラリガに到着した。

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