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僕の私のヒーロー  作者: 日向 ゆい
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__元々、勘違いから生まれた関係なんだよby立花 茉菜

__私の所属部活の先輩の中に、ときどき部活に来ない先輩がいる。来るって言って来なかったり、平然と遅れてくるし…もうちょっと先輩としての自覚を持ってもらいたかったのは正直思ってた。

…いつからだっただろう。その先輩を部活に来させる為にはどうしたらいいのかな、と考えたのは。色んなアイデアが浮かんでは消えたけど…1個だけこれは名案だと思ったことがあった。『惚れさせる』これが1番確実なんじゃないかと思っていた。

その為に、RIGHTと言うSNSアプリを使って先輩と連絡を取っておこうと思った。最初はすごくあっさりしていて、送っても短い文章が早く返ってきた。

「__…先輩、今日は来るのかな」

そんなことを呟きながら学校に行って授業を受ける毎日を過ごしていた。……生徒会長で彼氏でもある結城先輩に言ってもよかったけど…自分が決めたことだし、何よりそんなに好きじゃないから…あんまり話したくなかったのかな…なんて今になると思っちゃうよ。

「__大宮先輩。」

少しでも話していれば私に気を向けてくれるのかな、って思って声をかけてみた。

「…どうした、山菜。」

夏の時期から、先輩は私のことを山菜って呼ぶようになった。少しだけ特別扱いされてる気がして特に気にしてなかった。

「今日の練習って…何時間曲の練習をとるんですか?」

「…あの人に聞かないと分かんないけど…多分45分だと思うよ。」

そんな話をしながら、練習場所に向かっていった。

あの人…ってのは金管の先輩である千花先輩のことだろう。気のせいだと思ってるけど、この先輩は千花先輩に気があるんじゃないか…って予感がしてた。

「…茉菜。」

そんな時に大宮先輩から突然名前で呼ばれてビックリしてしまった。

「ど、どうしたんですか?」

「…いや、山菜って呼ぶのもどうかと思って試しに呼んでみた。」

……この時からじゃないかな。優しく微笑んで、私のことを下の名前で呼んだ先輩にドキッとし始めたのは。

「…これからもそう呼ぶんですか?」

「どうだろ…多分そう呼ぶと思うけど…」

「ふぅん…そうなんですか…」

…素っ気なく返したけど心臓はバクバク鳴ってるし頬は緩みかけてるし…焦ってるのがバレてないといいけど…と思いながら練習を始める準備をしていた。

「…とりあえず…今日の目標__」

…私は少しモヤモヤしてた。私はこの先輩に部活に来てもらいたい。その為に惚れさせる…それだけだったのに、少しずつ…この先輩と居るのが、話してるのが楽しいって思ってる自分がいた。私には彼氏がいる…でも、元々結城先輩の勘違いから生まれた一方的な恋愛で、別れを告げたくないからまだ関係を保ってるだけ…っていうそんな感じがしていた。

「__な。お…ま…」

……ホントの自分はどう思ってるんだろう。私はこの先輩が好きなのかな。でも、そうしたら結城先輩と別れなきゃいけないけど…好きでもない先輩と居ても辛いだけだしな……

「__まな!おい、茉菜!?」

「__ひっ!?」

突然大宮先輩に大きな声を出されて思わず声が出てしまった。先輩近いです、凄く近いです、でももっと近くても……って何を考えてるんだろ私は…と思ったけどすぐに冷静になる。

「…大丈夫か?」

「大丈夫です…ちょっと考え事してて…」

「ならいいけど__」

…私は大宮先輩のことが好きなのかもしれない。けど、多分あの先輩は千花先輩の事が好きなんだと思う。私の勘はすごく当たる…だから、少しだけ諦めを持ちながら過ごしていくのかな、なんて今からすると笑い話になるような事を考えながら、今日も先輩との時間が過ぎていく__

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