表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/143

ネコと赤ちゃん3

ぼくがごはんを食べていると、ご主人様が電話で話をしていた。

「そうなんだ~。気になるね~。じゃあ今日は、お家においでよ」


 ご主人様は、ぼくをチラリと見た。


「分かった。気をつけて来てね」


そう言うと、ご主人様は電話を切った。

どうやら誰かが来るらしい。

ぼくのことを見たくらいだからぼくに会いたがっている人?

あの様子だと、いつもの子どもたちじゃなさそう。

まぁいいにゃん。いずれにしても今日は来るんだから。

そのときに分かるはずにゃん。


 そう思いつつ。お腹が膨れたぼくは

「スピピ~。スピピ~」


 と眠ってしまった。


 しばらくすると、


「肉まん。肉まん」


 とぼくを呼ぶ声が聞こえた。その声は女の子で、今までに聞いたことがない声だった。

けれど、眠かったぼくは目を開けることなく眠ることにした。


すると、


「肉まん。肉まん!」


 突然、ぼくの身体をユサユサと揺らした。


「痛いにゃん!」


 突然のことで悲鳴を上げた。

どうやら、ぼくをどうしても起こしたいらしい。

手の大きさからして、子どもであることには間違いないけど、

いつもの子どもたちじゃない。もっと小さい子。

しかもあの声からして女の子。


 そんな子どもいたっけ?

いつも来る親戚の子どもはみんな男の子だし、

それ以外に子どもって……。


あっ! もしかして。


「パチッ」


 ぼくは目を開けた。

すると、目の前にいたのは思った通り、カナちゃんだった。

カナちゃんは、ご主人様のお友だちのリカちゃんの子ども。

たまに遊びに来てくれる。


そしてよく、シッポをかじられたり、握られたりされたことがあったから

よーく覚えている。


 目を覚ましたぼくを見て、

「肉まん。肉まん」


 ニコニコしながらぼくの名前を呼んだ。


「もしかして、カナちゃんがぼくの名前を呼んだの?

カナちゃんがしゃべってる!!」


 これまでのカナちゃんは言葉を話すことができないくらいの

赤ちゃんだった。


 驚くことはまだあった。

ふと、カナちゃんの足元を見たときにソレに気がついた。


「カナちゃんが立っている!」


 今まで立ったことなんて一度もなかった。


「きみも驚いた?」


 ご主人様がぼくを見て言った。

「リカちゃんから電話があって、カナちゃんが”肉まん”って言うようになったってね。

それで、きみに会いたくなったんじゃないかって思って来てくれたんだよ」

 

「最近は、お話もするようになったし、一人で立つこともできるようになったの」


 リカちゃんは嬉しそうに言った。


 へ~え~。そう言われたら、カナちゃんは前よりも大きくなっていた。


「カナちゃん。コッチヘおいで。ゼリーを食べよう」


 リカちゃんがカナちゃんにおいでおいでと手招きすと、

嬉しそうにカナちゃんの方へ歩いて行った。

どうやら、カナちゃんは言葉が分かるようになったらしい。


 イスに座ると、リカちゃんはカナちゃんにスプーンを持たせた。

スプーンでゼリーをすくって食べている。

以前は、スプーンがうまく使えなくて、手づかみで食べていたにゃん。

エライにゃん。一人で食べられるようになったにゃん。

どうやら、着実に成長しているらしい。


 ゼリーを食べ終わると、

「肉まんー」


 ぼくの名前を呼んだ。そして、カナちゃんはぼくのところに来て、

ニコニコしながら、


「バシバシッ」


 と叩いた。


「痛いにゃん」


 悪気はないのだろうけど、愛情表現はもっと優しくして欲しい。


「カナちゃん。叩いちゃダメだよ。優しく触るんだよ。こうやってそーっと」


 リカちゃんはぼくの背中をソッとなでた。

リカちゃんのなでかたはゆっくりとで気持ちよかった。


 するとカナちゃんは、

「バシバシっ」


 と叩いてきた。


「痛いにゃん」


 ぼくは鳴いた。


「カナちゃんにはまだ難しかったかなぁ」


 リカちゃんはカナちゃんの手を優しく握り、カナちゃんの手でぼくの背中をそーっとなでた。


「ソレにゃん。力加減は。カナちゃん。分かった分かったかにゃ?」


 リカちゃんがカナちゃんの手を離すと、


「バシバシっ」


 また叩いてきた。


「痛いにゃん」


 まだ加減が分からないみたいだにゃん。

けれど、カナちゃんはご機嫌がよいのかニコニコしている。


 悪気がないのは分かるけど、痛いのはニガテだにゃん。


これがいつもの子どもたちなら起こるけど、カナちゃんなら仕方ない。

まだ赤ちゃんだし。叩いているんじゃなくて、

力の加減ができないだけなのだろうから。


「まだ、カナちゃんには難しいのかもしれないね。加減の仕方が」


 ご主人様は言った。


カナちゃんは疲れたのか、しばらくすると眠ってしまった。

カナちゃんは暖かくて、隣にいるだけでぼくもつられて


「スピピ~。スピピ~」


 と眠ってしまった。



 しばらくすると、


「ガブッ」


 ぼくはシッポに違和感を感じ、ハッと目が覚めた。

シッポを誰かにかじられたっぽい。


「ギュ~」


 今度は、シッポを握りしめられた。


「痛いにゃん」


 シッポを握っているのはニコニコしているカナちゃんだった。

やっぱりまだカナちゃんは赤ちゃんだにゃん。


まだ成長の途中。

ぼくのシッポをかじるのも握りしめるのも、

いつになったらやめてくれるかにゃ~。


「ギュ~」


「痛いにゃんっ」



《終わり》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ