ネコと金箔(後編)
金箔ソフトクリームが気になっていた肉まんは、
食べたくて仕方がありませんでした。
そこで、ご主人様が金箔ソフトクリームの写真を撮っている隙に
狙おうとします。
そのチャンスがおとずれ、金箔ソフトクリーム目掛けて
ジャンプしました。
ところが、金箔ソフトクリームは目の前で消えてしまいました。
「えっ」
ぼくは、ビックリして、着地がうまくできず、足がもたれて地面に激突。
「痛いにゃん。でも、どうして金箔ソフトクリームが消えちゃったのかにゃ?」
ぼくは、後ろにいる気配に気がついた。
「気づかないとでも思ったの?」
ご主人様の声が聞こえた。
「きみが食べたがると思っていたから、きみがジャンプしたときに、
きみが届かない高さにソフトクリームを持ち上げただけだよ」
だから目の前で消えてしまったんだにゃん。その証拠に、ご主人様の右手には金箔ソフトクリームを持っている。
「ちょっとくらいならいいでしょ~」
「ちょっとくらいないいでしょって目をしてもダメ。
あげたらまた食べたくなるでしょ。それに、きみの身体にはあんまりよくないの。最近、また太ったんだし、なおさらあげられません!」
「だから、ちょっとだけでいいにゃん」
ぼくは目をキラキラと輝かせながら見つめた。
すると、ご主人様はなにかひらめいたのか、
「じゃあ”ちょっと”あげるよ」
ご主人様はスプーンで薄く金箔をすくい、ぼくの口につけた。
ソフトクリームの上に金箔が乗っていたから、
のりみたいにくっつき口にうまく金箔は張り付いた。
そして、写真をパシャリ。
「はい。食べていいよ」
ぼくは口をなめた。
すると、ぼくに写真を見せてくれた。そこには、ぼくの口に金箔がついている写真だった。
「かわいいね~」
とご主人様は言った。
「えっ? コレでおしまい??」
ぼくはご主人様を見た。
「金箔にちょっとソフトクリームがついていたでしょ?」
「こんなのちょっとと呼べる量ではないにゃん。
ソフトクリームを食べてないと同じだよ。ただ金箔をぼくの口に張りつけただけ」
「だって、ちょっとでもいいからあげたじゃない」
「そんなちょっとじゃ分からないじゃない。味見にもならないにゃん!!」
ぼくは猛抗議した。
「ちょっとあげました。もっと欲しかったら、ダイエットして下さい!」
そう言うと、ご主人様は
「パクリ」
とおいしそうに金箔ソフトクリームを食べた。
「ぼくも欲しいにゃ~。ちょっとじゃなくて、”もうちょっと”欲しいにゃん!!」
ぼくはご主人様を見つめて鳴いた。
そんなことお構いなしにご主人様は、大きな口を開けて金箔ソフトクリームを食べ続けた。
《終わり》