ネコと子イヌ3【後編】
~ネコと小イヌ3(前編)のあらすじ~
子イヌのえりかとそのご主人様のつとむ君。そして、ぼくらは、お出かけすることになった。
車でお出かけしていたのだけど、渋滞につかまってしまい、全く動かなくなってしまった。
「困ったね」
「このままじゃいつ動くか分からないから、どうする?」
と思っていたところ、
「裏道に入る?」
という提案をした。
ご主人様は、ぼくは大丈夫だけど、えりかのことを心配してつとむ君に聞いた。
すると、
「えりかは、いやがるかもしれないけれど、我慢してもらおう」
と言うことになり、ご主人様はハンドルを左に切って、渋滞の列から抜け出した。
「きみー。いつものように寝ていていいからね。着いたら起こしてあげるから」
と言われて、ぼくはものの数秒で眠ってしまった。
一方、
「えりか、ちょっとだけ我慢してくれるかな」
つとむ君はえりかに言った。
すると、敏感なえりかは、
「えっ? 何だかいやな予感がする」
と察し、嫌な予感がしていた。
しばらくすると、山道に入っていった。
「キュルキュルキュル~」
車は右へ揺れた。
すぐに、
「キュルキュルキュル~」
今度は左へ揺れた。
「えりか、もうちょっとで終わるから、少し揺れるけど、我慢していてね」
その間も、
「キュルキュルキュル~」
車は揺れた。
えりかはあまりの揺れに青ざめていた。
「助けて~」
と怖くてえりかは鳴くこともできないぐらいほどだった。
こんな道がしばらく続いた。らしい……。
「きみー。着いたよ」
「うにゃ~」
ぼくは目を覚ました。ん? ぼくはあることに気づいた。
「えりか、どうしたの?」
えりかはぐったりしていた。
「どうしたのじゃないわよ。あんなに揺れて、どうにかならない方がおかしいわよ!」
えりかは具合が悪そうだった。
どうやら道が混んでいるから、空いている道を走ったのだけど、
その道が山道でずいぶんと揺れたらしい。
ぼくは寝ていたから気づかなかったけど、普通なら、寝ていることなんてできないくらいの
ガタガタ道だったみたい。
ぼくは大抵の所ならどこでも寝れちゃうから、ご主人様はぼくのことを気にしなかったみたい。
一方、えりかは具合が悪そうだし機嫌もよくない。
「えりか、機嫌直して」
つとむ君はおやつをあげた。
「おやつ~♪」
えりかはムシャムシャ食べた。さっきまで具合が悪そうだったはずなのにそれはどこかへ行ってしまったらしく、すごい勢いで食べている。相変わらず、食べることへの執念はぼくよりもすごい。
えりかを見てぼくは呆れてしまった。
車から降りると、目の前には草原が広がっていた。ここはどうやら広い公園らしい。
公園に入ると、
「わー。広い」
早速、えりかは走り回っていた。
ぼくも走り回り、えりかと追いかけっこをした。
「まてまて~」
えりかは、やはり早かった。しばらく遊ぶと、
えりかは疲れたらしく、動くのをやめた。
気が付くと、公園の入り口からずいぶんと遠いところまでやってきてしまった。
「お兄ちゃんが来るまで待っていましょ」
えりかは、そう言うと、身体を丸めて座ってしまった。
十分後、ご主人様つとむ君が近くまでやってくると、えりかは立ち上がり、
「お兄ちゃん、抱っこ」
えりかはつとむ君に向かってピョンピョン飛び始めた。
「分かったよ」
つとむ君はえりかを抱っこした。
ぼくも疲れたにゃん。
ぼくはご主人様を見た。
「ぼくも疲れたから抱っこして」
という視線を送った。
「だめです。その理由はきみが一番よくわかっているよね?」
ぼくは自分の身体を見た。分かっているとは言え、いつも通りお腹にはたっぷりとお肉がついていた。
「今日はいいでしょ。えりかも抱っこしてもらっているんだし!」
ぼくはご主人様の足元に行き、スリスリした。
「きみの言いたいことは分かっています。えりかはえりか。きみはきみ。むしろ、ここから歩いておうちに帰ってきた方がいいくらいです!いい運動になっていいじゃない」
「え~」
「ほら、さっさと歩く!」
ご主人様は、歩いて行ってしまった。
「待って~」
ぼくは追いかけて行った。すぐに追いついたけど、
えりかは疲れているのか、つとむ君の腕の中で眠っているように見えた。
「ずるいにゃ~。ぼくもいつかああなるように痩せるにゃ!」
ぼくは心に誓った。
が、それは長くは続かなかった。
車に戻ると、えりかはつとむ君からおやつをもらっていた。さすがに、ぼくにもあげないといけないかと思ったのか、
「きみー。おやつをあげるよ」
ご主人様は、ささみのおやつをくれた。ぼくはさっきの誓いをすっかり忘れてご主人様にもらったおやつを食べた。
「ダイエットは明日から~」
《終わり》