ネコとおばあちゃん2(後編)
おばあちゃんのおうちに遊びに行った肉まんとご主人様。
前回は、ご主人様が旅行へ行くために、肉まんを預けるために行ったのですが、
今回は、ご主人様もおばあちゃんのおうちに泊まると聞いていたので、
肉まんは、ゆっくりすごせるかと思っていました。
しかし、おうちに着いた早々、
ご主人様はおうちを出て、どこかへ行ってしまいます。
残されたのは、こわ~い声のおばあちゃんと二人(おばあちゃん+ネコ)
です。
さて、このあと、肉まんはどうなるのでしょうか。
ご主人様は、ニワトリ小屋の前にいた。
ご主人様の近くには、持ってきた細長くて赤い箱がある。
「ニワトリ小屋の屋根が壊れちゃったから、修理してもらうように頼んだんだよ」
なーんだ。そうだったのね。
「これでわかったかい? おやつあげるからこっちへおいで」
廊下からおばあちゃんの声が聞こえた。ぼくは急いでおばあちゃんの元へ行った。
「おばあちゃん。大好きにゃん」
おばあちゃんの足元をスリスリした。本当は、分かっていたにゃん。
ぼくのことを食べないってこと。さっきまでおばあちゃんのことを怖がっていたことをすっかり忘れていた。
「本当にこの子って子は」
と言いながら、おばあちゃんはぼくのことを優しくなでてくれた。
その後、おばあちゃんとお昼ごはんを食べて、お昼寝をして、おやつを食べて、またお昼寝をして……。その繰り返しをしていたら、外は暗くなっていた。
「ガラガラガラ」
とドアが開く音がして玄関に行くと、ご主人様がいた。
「ニワトリ小屋の屋根。直ったよ」
と言った。ぼくたちは見に行くと、ニワトリ小屋の屋根は新しいものになっていた。
最初は修理をしようとしていたらしいのだけど、古いからまた壊れるかもしれないと考えたらしく、新しいものにつけかえたらしい。
ぼくたちは夕食をすませ、眠たくなったぼくは部屋に戻ることにした。
廊下を歩き、部屋に入ろうとしたとき、窓ガラスになにかがついていることに気がついた。
近づいてみると
「にゃ~!!」
ぼくはびっくりして声を上げた。い、生き物がペタっと窓ガラスについている。
「どうしたの?」
ご主人様がやってきた。ぼくが見つめている先を見てなにを見てビックリしたのか分かったらしい。
「これはね、ヤモリっていうんだよ。きみのいる側の窓ガラスじゃないから心配しないで。きみのこと、おそってきたり、かみついてきたりしないから」
そうなの? そっと窓ガラスを肉球で触る。そうだ。こっちは窓ガラスの内側にゃん。だから、窓ガラスが開いていない限りこっちにはこられないにゃん。
ぼくは安心した。
そして、ぼくはご主人様といっしょに寝ることになった。
しばらくすると……。
「ケロケロ」
部屋には、カエルの声が響いた。
「ケロケロ。ケロケロ。ケロケロ」
カエルたちはまた鳴いた。
「うぅ……」
ぼくはカエルの声が気になった。
「ケロケロ。ケロケロ。ケロケロ。ケロケロ」
カエルたちは続けて鳴いた。
「うるさいにゃん! カエルたち、鳴きすぎにゃん!!」
ぼくはカエルの鳴き声で目が覚めた。
なにも、夜に鳴かなくたっていいにゃん。睡眠妨害にゃん!!
おばあちゃんのおうちの近くには田んぼがあるせいで、カエルたちが鳴いているのかも。窓を閉めているのに、カエルの声はしっかりと聞こえるから、たくさんのカエルたちが鳴いているっぽい。なにも、こんな暑い日に鳴かなくても。
ふとご主人様を見ると、スヤスヤと眠っている。
子どものころ、このおうちで過ごしていたご主人様ならこの状況に慣れているから気にならないのかもしれない。
「ケロケロ~」
カエルたちは朝方まで大合唱をしていた。
カエルたちの大合唱が終わり、ようやく
「スピピ~」
といつものように眠っていた。
けれど、そう長くは続かなかった。
数時間後……。
「コケコッコー。コケコッコー。コケコッコー」
「うるさいにゃん!」
カエルの大合唱が終わったら、次に、ニワトリが鳴き始めた。
せっかく眠れると思ったのに!!
ぼくは、また眠れなくなってしまった。
当然のごとく、ご主人様はニワトリの声で起きることもなく、眠ったままだった。
どうして、ぼくだけ~!!
「コケコッコー。コケコッコー。コケコッコー」
ニワトリの声が響いた。
この前、おばあちゃんのおうちに来たときはニワトリの声に慣れたはずだったのに、カエルのせいで眠れなかったせいか、今は気になって眠れない。
こうして朝を迎えることになった。
「きみ、眠そうだけど大丈夫?」
ご主人様が目を覚まし、ぼくの姿を見て声をかけてきた。ぼくの目はうつろで、眠そうな目をしているらしい。
もちろん、ご主人様は眠そうな顔などしていない。
ぼくは、鳴く気力もないくらい眠い。
「おばあちゃんに挨拶して、帰ろう」
ぼくは、ヨタヨタしながら廊下を歩き、おばあちゃんがいる部屋まで向かった。
「肉まん、眠そうだけど、なにかあったのかい?」
おばあちゃんでも気がつくくらい眠そうな顔をしていたらしい。
「カエルとニワトリのせいで眠れなかったみたいだよ」
ご主人様は言った。
「そうだったのかい。毎日ここにいればそのうち慣れるよ」
おばあちゃんは言った。
「えっ? 毎日?? そんなのいやにゃん。毎日なんて~!」
ぼくはブルブルと首を振り、目を覚ました。
今度来るときには、カエルがおとなしい日に行こうよ。ご主人様~。
ぼくはご主人様の足元に隠れた。
《終わり》