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ネコと花火


夜、いつものようにリビングでテレビを見ていたらご主人様が突然立ち上がり、

何かを持ってきた。


「んにゃ? どうしたのかにゃ?」


リビングに戻ってくると、ご主人様の手にはロウソクとバケツ。何かが入っている袋を持っていた。


「あの袋の中に入っているものは何かにゃ?」

 

 ぼくは疑問に思った。だって、今まで見たことがなかったから。

その袋の中に入っているものはどれも細長くて何本も袋の中に入っている。

しかも、先端が紙っぽくなっていてふにゃふにゃしている感じ。

 ものによってはキラキラがついていたり、模様がついていたり、キャラクター

が描いてあるものもある。


 「う~ん。何だろう? 」


  謎は深まるばかりだった。


「ご主人様、コレ何?」


 ご主人様に近づいて見つめてみた。

 すると、ご主人様は教えてくれた。


「これは手持ち花火って言って、火をつけると、光るんだよ」


 だって。

 そう言えば、金沢でも花火大会をやっているよね。お空にキレイな花火が打ち上がっていた。あれが身近にできるものなのかもしれない。


 ご主人様はお庭に出たからぼくもお庭に行った。

お庭に水が入ったバケツとロウソクを置き、ロウソクに火を灯すと、まっ暗だったお庭がぼくたちがいるところだけ明るくなった。

 ご主人様は袋を開けて手持ち花火を一本取り出し、ロウソクに近づけた。

すると、火がついて


「ジュージュー」


 と音ととも赤や青のキレイな火花が散った。


「わー。キレイだにゃん!」


 ぼくは思わず見とれてしまった。

しかし、あっという間に消えてしまった。


「あ~。消えちゃったにゃん」


 ご主人様は消えた手持ち花火をバケツに入れ、新しい手持ち花火に火をつけた。

 今度は、白や青、紫色の火花が散った。これもキレイにゃん。

 けれど、あっという間に消えてしまった。ぼくの手では手持ち花火を持つことができないからできないけれど、見ているだけでも面白かった。


 次に取り出したのは、さっきとは違う形の花火を取り出した。


「あれ? この花火はどうやって持つの?」


 さっきまでの手持ち花火だったから細長かったけど、今度は丸っこい。

見た目はさっきのとは違うけど、導火線みたいのかある。


「これも花火なのかにゃ?」


 ご主人様は地面に花火を置き、ロウソクで火をつけると、その場からさっとはなれた。


「地面に置く花火なのかにゃ?」


 ぼくは見ていると、急にくるくる回り始めた。


「にゃ~。危険だにゃん!」


 ぼくは思わず後ずさりして逃げた。光りながら勢いよく周り、しばらく回っていると花火は消えた。


「へ~え~。花火って色々な種類があるんだね。次は何かにゃ?」


 ご主人様はお庭に花火を置いて火をつけるとまたもやさっと離れた。


「何か飛んでくるの?」

 

 すると花火はもくもくとたくさんの煙を出した。


「シューシュー」


 と言いながら煙がずっと出ている


「これも花火なの?」


 辺りは煙だらけになり、モクモクしている。煙たくて近づくことはできなかった。

 しばらく経つと落ち着き煙はなくなった。

まるで、忍者が使う煙幕みたいだった。投げつけると、突然煙が出て、その間に逃げちゃうときに使うやつ。


「へ~え~。こんなのもあるなんて~。花火ってスゴイにゃん」 


 ご主人様はまた違うは花火を地面に花火を置いて、火をつけるとさっと離れた。


「今度は何?」


 ぼくは興味津々に見ていると、


「パーン」


 いきおいよく、花火から光りと煙が空をめがけて火花を散らした。

 そして、しばらく滝のように輝き続けた。


「にゃ~。スゴイにゃん!」


 花火のキレイさとスゴイの連続だった。


花火もだいぶなくなってきて、最後の花火は、とても弱しい手持ち花火を持っていた。

今まで見た中で一番弱そうで細い花火だった。

 火を灯すと、


「パチパチパチ」


 と音がした。

これまでの花火とは違って、火花がとても大きく細かい火花が飛んでいる。

火花自体は地味だけど、とてもキレイ。

しばらく見ていると、火花が飛ばなくなり、花火の先端に小さい火の玉ができていた。


「これってもう終わりかにゃ~」


と思っていたけど、小さい火の玉になったままご主人様は持っている。


「この花火、もう終わりなんじゃないの? ご主人様~」


 ぼくは花火に近づいて見ていると、先端の火の玉が落ちて、


「にゃ~!」


 ぼくの手に当たった。ご主人様は慌てて、使い終わった花火が入っているバケツの中にぼくの手を突っこんだ。


「ジャポン」


「痛いにゃ~」


 強い力でぼくの手はをつかみ、すごく痛かった。あまりの痛さにぼくがいくら鳴いても動いても、ご主人様の力はまったく弱まることはなかった。


しばらくすると、


ゆっくりと手を離し、バケツからぼくの手を出してくれた。

バケツの中に手を入れっぱなしにされたから、ぼくの手がすっかり冷えてしまった。


「ごめんね。痛かったよね? きみがヤケドをしないためにしたんだ」

 

 ご主人様は申し訳なさそうに言った。ぼくは自分の手を見た。

確かに、ぼくはヤケドをしていなかった。


それから、さっきの花火は線香花火と言うもので、パチパチ光って火の玉が最後に落ちるまで、花火は終わりじゃないということを教えてくれた。


「最後まで気を抜いてはいけない花火があるだね。花火は奥が深いにゃん。また花火やろうね。今度は火の玉が落ちるまで待っているから~」



《終わり》


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