ネコのシッポ(後編)
「もう逃げられないにゃ……」
ぼくも白い扉のお部屋に連れて行かれた。
部屋の中に入ると台が置いてあって、ご主人様はぼくを台の上に乗せ、先生と話を始めた。
話を終えると、先生はぼくのシッポを触った。
「にゃっ! 痛いにゃん。もっと優しく触ってにゃ!」
ぼくはそのまま、あお向けに寝かされ、手足を縛りつけられた。
「何するにゃん! 全く動けないにゃ!! 予防接種の注射をするときはいつもこうだけど、怖いにゃん。ご主人様、助けて~」
助けを求めても、ご主人様は黙ったまま動かなかった。
すると、
「カシャカシャ」
写真を撮られたみたいだった。
それが終わると、ぼくを自由にしてくれた。
「えっ? 今日はもうお仕舞?」
ぼくはビックリした。もしかして、写真を撮られただけ?
写真と撮るくらいならもっと早く言ってくれればよかったのに。
ぼくはニコニコしながら映ったのに~。縛りつけるなんて、ひどい!
なになに。先生の話によると、
この写真はレントゲンというもので、
ぼくの骨を撮ることができるらしい。
先生は撮った写真を見て、
「骨は折れていいから大丈夫」とご主人様に言っていた。
「よかったにゃ~。安心したにゃ!」
ご主人様もその話を聞いてホッとしているようだった。
おうちに帰ると、ぼくのことが気になったのか、
今日は、ご主人様がいっしょに寝てくれるみたい。
今日は散々な一日だった。
嫌なこと忘れて、ご主人様といっしょに寝よう。
「スピピ~。スピピ~」
ぼくが気持ちよく眠っていると、
「ぎゅっ!」
「痛いにゃ~!」
ぼくはあまりの痛さに悲鳴をあげた。
ご主人様が寝ぼけてぼくのシッポを握っている!
「離してにゃ!!」
悲鳴をあげてもまったく気づかない……。
ご主人様は寝相が悪い上、一度寝たら、なかなか起きない……。
「今度、神社でぼくのシッポの厄払いをしてもらわないと、
ますます不幸が続きそうにゃ~」
《終わり》