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ネコとおとなりさん2(後編)

それから五分後、泣き止んだ田中さんは話し始めた。


なになに。

話によると、田中さんは、失恋したらしい。

思い切って告白したのに、相手の人にキッパリと断られたんだって。

だから元気がなかったみたい。


ご主人様は田中さんに、

「田中さんのことフッた人よりも、もっとステキな人を見つければいい」

「田中さんがもっと自分のことを磨いて、周りの人をあっとビックリさせるくらいステキな人になればいい」

「いつまでもグジグジしていたって何も変わらないからそのことを考えるのは止めよう」


 とアドバイスすると、田中さんはさっきまで泣いていたのが嘘のように明るくなった。


田中さんは、


「そうですね。その通りですね」


 田中さんはニコニコした。

さすがご主人様。

元気になった田中さんは帰って行った。


次の日

ぼくが昨日と同じようにひなたぼっこしていると、


「肉まん」


 ぼくを呼ぶ声がしたから振り向いて見たら、順三がいた。

順三は、昨日とは打って変わって元気になっている。


「ご主人くんが元気になった!」

「よかったね~」


 ぼくのご主人様のおかげだにゃん。


すると、順三の口から思いがけない言葉が出た。


「安心したよ。これからはいつも通り甘える」


 えっ! なんでそうなるの?


「順三~! もう懲りたでしょ? 今まで自分がどのくらい田中さんに頼っていたかが、分かったはずにゃん。これを機会に、少しは自分でできるようにしないとダメにゃ!」

「その必要はない!」


 順三は自信満々で言った。


「何で?」


 ぼくはすかさず聞いた。


「ご主人くんが元気がなかったときだって、しつこく鳴いたら気がついてくれた。何かあっても、しばらく経ったら立ち直るってことがわかったから、それまで待っていればいい!」


 順三は淡々と言った。


「順三~」


 ダメだこりゃ。


「今日は報告に来ただけだから、吾輩はこれで帰るよ。じゃあね。肉まん」


 順三は帰って行った。


もし、順三みたいにぼくがご主人様に甘えたら、

高級キャットフード『ネコセレブ』くれるかなぁ。

それはそれでいいかもしれない。


ぼくはリビングで本を読んでいるご主人様の元へ行って、スリスリ~。


「『ネコセレブ』欲しいにゃ~ん」


 と『ネコセレブ』をねだった。

けど、ご主人様は、


「???」


 何のことだか分らず相手にしてくれなかった。


「世の中そんなに甘くないにゃ~」



《終わり》

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