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ネコと缶けり(前編)

「眠いにゃん」


ぼくは、眠い目をこすって目を開けた。


「行かなくちゃ、0時の集会に間に合わなくなっちゃう」


今日は、ネコの集会がある。ぼくは、あわてて起きて空き地に行った。

空き地にはすでに、たくさんのネコたちがいた。

ぼくみたいにご主人様がいる飼いネコもいれば、ノラネコも集まってくる。

色々なネコたちに会えるから、集会の内容は別として、集会に行くことは好きだったりする。


 空き地には大きなドカンがあって、その上にはいつも、リーダーネコのハリーが座っている。ハリーは、大きなお屋敷に住んでいるネコで、お金持ちのご主人様に飼われている。ハリーは物知りで賢いから、みんなから頼りにされているリーダーネコ。貧しいノラネコのために、お屋敷から食べ物をくすねてきて分け与えたりもしている。

 しかも、蛇口をひねって水を飲めるネコとして、テレビに出たことがあるエリートネコでもある。


「肉まん!」


ハリーがぼくに声をかけてきた。


「ハリー。久しぶりだにゃん」


 ハリーは、ぼくのおうちの近所に住んでいるのだけど、会うのは久しぶりだった。ネコの集会は最初に、身の回りで起きたできごとや困っていることを言い合って、近況報告をする。そのあと、みんなで楽しめるゲームや遊びみたいなイベントをすることになっている。


「みんなそろったかい?」


 ハリーは周りを見渡した。他のネコたちも周りを見渡し、顔ぶれを確認し合っている。ほとんどのメンバーはそろっているみたいだった。

基本的に、この近所に住んでいるネコたちすべてが集まることになっているのだけど、なかには来られないネコたちもいる。

ご主人様がいる飼いネコはおうちの事情で、おうちから出られないネコもいるから、そういうネコたちは来なくてもいいことになっている。


「あれ? ミーコがいないにゃん」


 ぼくはミーコがいないことに気がついた。


「またミーコが遅刻かぁ。あの子はいつも遅刻だよな。この前なんか、何の連絡もせずに、来なかったしなぁ」


 ハリーはそうつぶやいた。


「ハリー。どうする? もう少し、ミーコのことを待っていた方がいいかにゃ?」


 ミーコはご主人様がいる飼いネコだけど、自由におうちから出られるネコだから、ネコの集会には来ることになっている。

周りにネコたちも、

「また遅刻かぁ」

「もしかして、今日も来ないかもしれない」


 と言う顔をしている。

 ミーコは、ぼくのおうちの三軒となりに住んでいるマイペースなネコ。気が強くて、ご機嫌が悪かったり、怒らせるとものすごく怖い。

ミーコは遅刻の常習犯で、遅れて来ることが多い。遅れていた理由は、


「おめかしをしていた」


とか、


「ご主人様といっしょにテレビを見ていた」


 とかそんな理由。おめかしをしていたと言われても、ぼくにはよく分らなかった。

 どう見ても、いつものミーコと同じにしか見えない。おめかしと言う名の言い訳にしか思えなかった。

この前は、何の連絡もなくネコの集会に来なかった。遅刻をしたり、用事があって来られないこともあるかもしれない。それは仕方がないと思う。

 もし、そうゆうときは、誰かに連絡をするべきだよ。何の連絡もなく来ないのはとても困る。待たされている側にとっては迷惑だもん!

最初はちゃんと来ていたのに、ミーコはだんだんルーズになってきた。今度、会ったらちゃんと言わないとだめだね。


「もしかしたら、また来ないかもしれないにゃん」


 その可能性は高いとぼくは思った。


「ミーコが来るまで待っていたら、いつまでたっても始められないから、そろそろ始めるか!」


 ハリーは大きな声で言った。

ホント、その通りだよ。早く始めよう。


「さぁみんな、集まってくれ。ネコの集会の始まりだ」


 ハリーは言った。


「はーい」


 ネコたちは返事をした。こうしてネコの集会は始まった。



《続く》




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