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ネコとロボット


「ピンポーン」


玄関ブザーの音が鳴った。


「んにゃ~。誰か来たっぽいにゃ~」


 ご主人様が玄関に行き戻ってきたら、ダンボール箱を持ってきた。

どうやら宅急便のお兄さんさん来て、荷物を持ってきたみたい。

嬉しそうな顔をして箱を開けると、穴の開いていないドーナッツみたいにまるいものが出てきた。


「何コレ。フリスビー??」


ぼくは近づいて見た。

けど、フリスビーにしては重そうだから違うっぽい。

あと、全体的に機械っぽいから何かの電化製品みたい。

ふと見たダンボールの箱には、「ズボラなあなたでも安心です」と書いてある。


「コレって何?」

 

 ご主人様はこう言った。


「これはお掃除ロボットだよ」


 だって。

新しいもの好きで、掃除が苦手なご主人様はこれをテレビで見て、欲しくなったに違いない。


「お掃除ロボットってことはお掃除機だよね? お掃除機の進化したものなのかにゃ?」


 ぼくにはお掃除ロボットを理解できないでいた。

 

 早速スイッチを入れると、


「ズズズズー」


 音を立て動き出した。


「あっ。動いたにゃん」


 お掃除ロボットは動いた。あっちへこっちへと動いている。

ぼくは気になって、お掃除ロボットについて行った。

お掃除ロボットはリビングの奥まで行った。


「あっ。ぶつかっちゃうにゃん!」


 ぼくは慌てて、お掃除ロボットを止めに行くと、ぶつかる手前で引き返し、戻っていった。


「えっ!」

 

 ぼくはビックリした。

 その代わり、


「ゴンっ!」


 いきおいよく走っていたから止まりきれず、ぼくがぶつかった。

 その様子を見ていたご主人様は笑っていた。


「笑いごとじゃないにゃん。ぼくは痛かったにゃ!」


 どうやらこのお掃除ロボットはおりこうさんみたい。

 お掃除ロボットは隣のお部屋に行ったので、ぼくもついて行った。

ご主人様も気になって、お部屋に入った。

お掃除ロボットの後をついて行くと、さっきと同じで奥まで行った。

そして引き返してきた。ぼくの方へ戻ってくる。


「んにゃ? こっちへ向かってくる」


 ぼくは追われているような気がして怖くなり、


「こっちへ来るにゃ!」


ぼくは急いで逃げた。

でも、また追いかけてくる。本棚の影に隠れたら、お掃除ロボットはあっちへ行ってしまった。

 どうやら、お掃除ロボットは、家具みたいな障害物をうまくよけるらしい。その姿を見てまたご主人様は笑っている。


「笑いごとじゃないにゃん。ぶつかるかと思ったにゃ!」


 それにしてもこのお掃除ロボットはすごい。

ご主人様はお掃除ロボットを止め、充電し始めた。


 しばらくすると、ご主人様はお出かけするらしく、箱に入っていた取扱い説明書を読みながらお掃除ロボットを触っていた。

 そして、ご主人様はお出かけをした。

ぼくは、おうちを出たのも気づかず、


「スピピ~。スピピ~」


いつものように寝ていた。


 ぼくが気持ちよく眠っていると、


「ズズズズ~」


 音がした気がしたから起きると、お掃除ロボットの電源が入っていた。


「あれ? スイッチを切ったはずだよね。もしかしたら、ご主人様が触って

いたときにしばらくすると動くようにしてしまったのかもしれないにゃ~」


 ぼくは気になって近づいてみた。


「もしかして、あの上に乗ったら面白いかも~」


 ワクワクしながら、


「ジャーンプ」


 ぼくはお掃除ロボットの上に飛び乗った。お掃除ロボットの背は高くないから、重いお腹のぼくでも簡単に飛び乗ることができたにゃん。


「ス~ス~ス~」


 すると、お掃除ロボットは右へ行ったり左へ行ったり動いた。


「わー。面白いにゃん」


 ぼくは今までこうゆう乗り物に乗ったことがなかったから、とても楽しかった。

お掃除ロボットは、ご主人様が散らかした雑誌や置きっぱなしのバックみたいな障害物をうまくよけて動いている。


「楽しいにゃ~ん」


 ぼくはすっかり楽しんでいた。

 しかし、しばらく乗っていたら、ぼくに変化が起こった。


「う、気持ち悪い」

 

 ぼくは酔ってしまった。


「ピョ~ン」

 

 と降りて休んだ。下向いていたせいで酔っちゃったかも。

ぼくはうずくまっていた。


 すると、


「ズズズズー」


 突然、ぼくのシッポが引っ張られた


「にゃん?」


 お掃除ロボットが、ぼくのシッポを吸い取いこんだ。


「やめてにゃ~。吸い込むのはぼくが落とした、毛だけにしてにゃ!」


 ぼくは必死でもがいたけど、シッポは抜けなかった。

 どうしよう……。

このままだと、シッポだけじゃなくてぼく自身もお掃除ロボットに吸い込まれてしまうかもしれない。

 気が動転したぼくは、まともに考えられない状況になった。


 そんなとき、


「ガチャ」


 玄関が開く音がした。どうやらご主人様が帰ってきたっぽい。

お掃除ロボットにシッポを吸い込まれ痛くてなきわめいていたら、ご主人様はあわててリビングに入って来た。

すぐにぼくの緊急事態に気づきシッポを掴んだ。

「ギュ~」

「痛いにゃ! もっと優しくシッポを引っ張ってにゃ!」

ぼくも必死だったけど、ご主人様も必死だった。


「スポンっ」

 

 お掃除ロボットの吸い込み口からぼくのシッポは抜けた。

強い力でご主人様につかまれたのと、お掃除ロボットに吸い込まれたせいで、ぼくのシッポはジンジン痛かった。


「痛かったし、怖かったにゃ~」


 ぼくは痛いシッポを見つめた。シッポはヘチャンとなっていて、元気がなさそうになっていたけど、触ってみたら、感覚はあるから、しばらくしたら元に戻りそう。


「お掃除ロボットは怖いけど、楽しかったからお掃除ロボットの上には乗りたいにゃん。今度は酔わないように気をつけるのと、お掃除ロボットの吸い込み口に気をつければ大丈夫にゃん」


ぼくはひそかに計画を練っていた。

 その様子を見てご主人様は、お掃除ロボットがぼくにとって危険だと考えたみたい。 


「次はどうやって乗ったらいいかにゃ~」


 ぼくはお掃除ロボットのことで頭がいっぱいだった。

ご主人様はお掃除ロボットの電源を切り、お掃除ロボットを隣の部屋に片づけに行った。

次、お掃除ロボットを使うときは、もうないこととも知らずに……。



《終わり》

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