ネコとカミナリ(後編)
お外が気になり、窓をのぞくと、
「ピカーン」
と光った。
「にゃにゃ? 光ったにゃん」
ぼくは興味津々に見ていたら、
「ゴロゴロ~。ピカーン」
大きな音を立てて、光った。
「にゃー! 怖いにゃん」
ぼくはあわてて窓から離れて、本を読んでいるご主人様の元に行った。
なになに。
「あれはカミナリと言うもので、大きな音を立てて、突然落ちるものだよ」
と教えてくれた。
まぶしい光とともに、大きな音が鳴るらしい。カミナリが落ちた所にものがあると、ものが壊れたり、焼けちゃったりするんだって。
あっ。そういえば、公園にある、大きな木にカミナリが落ちたことがあってそのときは、木がまっ二つに折れて倒れていた。
その日のテレビのニュースで見たときは、車にカミナリが落ちて、車の窓ガラスが割れて壊れていた。
恐怖はさらに大きくなっていった。
ネコに落ちたら感電死だよね。
もし、あのままお外で寝ていてぼくにカミナリが落ちたら、
ぼくは……。
「ブルブルブルブル」
思わず首を振った。寝ていて感電はイヤ!
「カミナリなんてなくなっちゃえばいいのにぃ~」
ぼくは怒った。
すると、
「グシャーン」
とまたカミナリが落ちた。
「にゃー。突然、落ちないで~。大きい音はニガテなんだから~」
ぼくは悲しくなった。
けど、カミナリは容赦しなかった。
「ゴロゴロゴロゴロ」
と音が鳴ると、
「ピカーン」
と光り、
「グシャーン」
とカミナリが落ちる音がしている。
さっきから、この繰り返し。
「ゴロゴロゴロゴロ」
「ピカーン」
「グシャーン」
「ゴロゴロゴロゴロ」
「ピカーン」
「グシャーン」
「ゴロゴロゴロゴロ」
「ピカーン」
「グシャーン」
当分、カミナリは止みそうになかった。
「ガタガタガタガタ」
ぼくは大きな音と光が怖くて震えが止まらなくなってしまった。
「こわいにゃーん」
ご主人様を見ると、ご主人様もちょっと怖がっているように見えた。
そのとき、ぼくは思った。
「ここなら音が聞こえないかも」
コタツの中に逃げ込んだ
すると、コタツの中は、ほとんど音は聞こえなかった。
「ここなら安心にゃん」
ぼくは安心して眠ってしまった。
目が覚めると、恐る恐るコタツから出た。
ぼくは窓に近づいてお外をながめた
すると、お外は雲ひとつないよい天気になっていた。
ぼくは眠っていて気がつかなかったけど、一晩が経っていた。
「カミナリはいなくなったにゃん!」
ぼくはうれしくなってリビングを走り回った。
せっかくだから、行きおいよく走って、外に飛び出した。
すると、
「ピチャン」
ぼくは水たまりがあることに気がつかず、飛びこんでしまった。
「にゃー!」
ぼくはたくさんのドロ水がかかった。
昨日は、雨がたくさん降っていたことをすっかり忘れていた。
「ぼくのせっかくの毛並みが~! ご主人様に拭いてもらうにゃ~」
ぼくはおうちに戻るとご主人様はリビングで本を読んでいた。
「ドロ水で毛並みが汚れていたから、拭いてにゃ~」
すると、ご主人様は、
「きみ、水たまりで遊んでいたでしょ。そんなことしちゃダメ。汚れちゃうでしょ! 」
とガミガミと怒られた。
昨日はぬれて帰って来ても温かく、迎えてくれたのに……。
「こっちのカミナリも嫌いにゃ~!!」
ぼくは、カミナリの恐ろしさをあらためて知った。
《終わり》