ネコとかくれんぼ(前編)
「スピピ~。スピピ~」
今日は天気がいいのでぼくはおうちのお庭でうたた寝をしていた。
「おーい。肉まん!」
「んにゃ?」
ハリーの呼ぶ声でぼくは目を覚ました。
「これからかくれんぼをして遊ぼうと思うのだけど、肉まんもやらないか?」
ハリーの隣にはミーコがいた。
ぼくは眠い目をこすりながら、
「んにゃ~。やるにゃ~ん」
まだ寝ていたいのだけど、食べたばかりですぐ寝ると
ウシになるらしいから行くことにした。
ウシになりたくないもん。
「それにしても、かくれんぼするには人数か少なくないかにゃ?
だって、ハリーとミーコとぼくでしょ??」
周りを見渡したけど、ハリーとミーコ以外のネコは見当たらない。
「それなら大丈夫よ。公園でクロキョロが待っているから」
ミーコは言った。
「クロキョロもいるんだね。四匹いればそれなりに楽しめそうにゃ~」
クロキョロは、全身が黒い毛並みで、目が大きくてキョロキョロとまばたきをしている。だから、クロキョロと名前をつけてもらったらしい。
テクテク歩いて公園に到着するとクロキョロがいた。
ぼくらと目が合ったからクロキョロは近づいてきた。
「待っていたにゃんよ」
クロキョロはいつものように目をキョロキョロさせている。
「みんなそろったし、それじゃあ行こうか!」
「にゃーん」
みんな声を合わせて森の方へ向かった。
仲間内の暗黙のルールで「森の奥には行かない」
というものがある。
森の奥に行くと、クマにあってしまう可能性があるので、
行かないようにしている。
ぼくはないけど、森の奥に入った他のネコがクマにあってしまい、
命からがら逃げてきたという話を聞いたことがある。
クマって大きくて怖いらしい。
だから、かくれんぼをやるときは森の奥には行かないようにしている。
「じゃあ誰が鬼をやる?」
ハリーは言った。
「私やるわ!」
ミーコが名乗りを上げた。
「じゃあ、20数え終わったら、探しに来て」
「分かったー! 私はここの木の下で数えているね」
ミーコは木の下に向かった。
「準備はいいか?」
「いいよ~」
「それじゃあ始め!」
「いーち、にーい」
ミーコが数を数え始めると、みんなはバラバラに走りだした。
「今日こそは、一番最初に見つからないようにするにゃ~!
ぼくはいつもすぐに見つけられてしまう。うまく草むらに隠れている
はずなのになぜだろう。不思議でしょうがないにゃん」
今回もこりずに草むらの影に隠れた。
一方、ミーコは数を数えている。
「じゅーはち、じゅーく、にじゅー!」
数え終わったミーコが振り返ったそのときだった!
「にゃー!」
ミーコは悲鳴をあげた。
≪続く≫