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ネコと雪だるま

「ドサッ」


 突然、何かが落ちた音がして思わず、


「にゃー」


 ビックリしたぼくは悲鳴をあげた。

昨日は寒かったからもしかして……。

窓越しに外を見ると、雪が積もっていた。

さっきの音は屋根に積もった雪が落ちた音みたい。


ぼくは部屋を出てリビングから外を見ると、


「ザクッ。ザクッ」


 重いものを動かすような音。地面に硬いものが当たるような音がしている。

庭でご主人様がスコップを持って雪かきをしていた。


金沢は雪が降るから積もってしまうと歩けなくなるし、車も出せない。

除雪車が来てくれるけれど、ぼくのおうちの前までだからね。

家の人が雪かきをすることは珍しいことではない。


雪は好きだけど、それは今みたいな暖かい部屋で降っている雪を見るときだけ。

外に出て見たり、雪と遊んだりはしたくないにゃん。

だって寒いし、しもやけになりそうだよ。


しばらく見ていると、ご主人様がぼくに気づいたみたいで、

外からリビングの窓を開けた。


「雪だるまを作ったから見る?」


 えっ。今? 寒いからいやだなぁ。

それに作るのならリビングから見えるところに作ってよ。


「いやです。って顔しているね。そうだよね。暖かくなったら見においで。溶けないうちにね」


 ご主人様はぼくの気持ちが分かったみたいで窓を閉めて雪かきをしに戻っていった。



それから数日後、雪はかなり溶けてきた。

そして、お天気もよいからお外に出ることにした。


「あっ。雪だるまだにゃん」


 ご主人様が作った雪だるまは思ったよりも小さかった。

幼稚園に通い始めた子どもの大きさくらい。

溶けてきたから小さくなったかもしれないけれど、元から小さいみたい。

これぐらいの大きさなら威圧感もなくていいにゃん。


「外も暖かいことだし~」


 ぼくは雪だるまの隣に寝ころび、


「スピピ~。スピピ~」


 眠った。



そして、事件が起こった。


「ドサッ」


 突然、ぼくに何かが当たって痛くて目が覚めた。


「痛いにゃー」


 ふと見ると、隣には雪玉が落ちていた。もしかして、コレって雪だるまの上の部分?

どうやら雪が溶けて、上の部分が落ちてきたみたい。

雪だるまの近くで眠っていたぼくに当たった。


「フフフ」


 その様子を見ていたご主人様が笑った。タイミングが悪いことにご主人様が帰ってきたみたい。


 雪だるまは動いたりしないし、溶けるだけだと思っていたけど、危険だにゃん。

そもそも、雪って怖いにゃん。突然、落ちてくるし~。

やっぱり、雪はお家で眺めるのが一番だにゃん。

そんなことを思っていたら……


「ドサッ」


 突然、音がした。思わず、


「にゃー」


ぼくは悲鳴をあげた。

屋根から雪が落ちていた。

何度、この音には慣れないにゃん!!



《終わり》

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