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ネコと大掃除

「スピピ~。スピピ~」


 と気持ちよくリビングで眠っていると、


「ゴーゴー」


掃除機をかけている音がしている。


「きみー。年末の大掃除をしているのだから、別の部屋に行っていてよ」


 ご主人様はそう言った。


「どうせ、掃除機をかけているだけでしょ。年末の大掃除って言ったって大した掃除しないじゃない。下にあるものを上にあげて終わり」


 そう思ったぼくはご主人様に背を向けてまるまって眠った。


 しばらくすると、掃除機の音は止まった。その代わり、


「ガタガタ」


 ものを動かす音がした。

 うるさいなぁとは思ったものの眠気には勝てず、


「スピピ~。スピピ~」


 ぼくは眠った。


 けれど、


「ガタガタガタガタガタガタ」


 さっきよりも音は大きくなっている。

ぼくのすぐ近くで、ものを動かしているみたい。

チラッと目を開けると、ご主人様は脚立に乗って棚の上にものを触っていた。

おそらくいらないものを上にあげているのだと思う。

どうせそんなところに置いたらますます使わなくなるにゃん。

意味がないと思う。再び目を閉じた。


 しばらくすると音は止まった。

 お掃除は終わったのかもしれない。それかリビングに関しては終わったのかも。


 そう安心していた。

 すると……


「ドサッ」

「痛いにゃん!」


 突然、ぼくの上からなにかが降ってきて当たった。

ぼくは痛みで目が覚めると、周りには缶の箱が落ちている。


「コレは、いつか使えると思って取っておいてあるご主人様の缶の箱だにゃん」


 もの音に気づいたご主人様がやってきた。


「あー。ごめんね。置くところがなくて棚の上に置いたんだ。

まだ上に置けるかなって思って積み重ねたのがいけなかったね」

 

 どうやら、置くところがなくてぼくが寝ているすぐ近くの棚の上に置いたみたい。

落ちた様子から察すると積みすぎてしまったみたい。


「きみ、使わないのなら取っておく必要ないじゃないって顔しているよね」

 

 ご主人様はぼくの顔を見てそう言った。


「だって、そうでしょ。使わないのだから捨てればいいじゃない。そもそも今日は大掃除しているのでしょ? いつか使う時があるときのために取っておこうなんてものは、ほとんど使わないよ。だから積み重なった缶の箱たちがぼくに降ってきたんじゃない!」


 ぼくは耳を前に向けてピンと立てた。


「積み重ねて置いたことは悪いけれど、その下で眠っているきみもそこそこ悪いと思うよ。きみのいたところは掃除できなかったからね」


 ご主人様は負けじと反論。


「ぼくだけが悪いの? 今回はご主人様も悪いにゃん!」


 ぼくは間違った顔はしてないにゃ。目で訴えかけた!


 すると、ご主人様は口を開いた。


「分かった。缶の箱を捨てなかったのは悪かったけれど、きみも掃除機をかけているときは別の部屋にいってね」


 どうやらぼくの思いは伝わったみたい。ご主人様は缶の箱を捨てることにした。


「何も入っていないとは思うけど、開けてから捨てようね」


 缶の一つを取り、ふたを開けた。


「パカッ」

「アッ」


 思わずご主人様から声が漏れた。

 中にはぼくの魚のおもちゃが入っていた。


「コレ、なくしたと思っていたおもちゃだにゃん」


 リアルな魚の形をしているだけじゃなくて動く電動の魚おもちゃ。

お気に入りのおもちゃで毎日遊んでいたのに気がついたらなくなっていたものだった。


「もしかして、ご主人様がしまったものの、どこにしまったのか分からなくなっちゃったんじゃないかにゃ?」


 ご主人様の顔を見た。

 すると、


「こ、ここにあったんだ……」


 という顔をしている。


「ひどいにゃん! ぼくがなくしたと思っていたのに犯人はご主人様だったなんて~」


 あのとき、ぼくのこと怒ったよね。魚のおもちゃどこに置いたのって!


「ごめんね。“ネコセレブ”あげるから許して」

 ※ネコセレブとは高級キャットフード。肉まんには特別なときしかあげない。


 今日ばかりはぼくは絶対に悪くないにゃん!

 それと、”ネコセレブ”くれるなら許してあげてもいいよ。

 ぼくや優しいネコだからね。

 

「ジュルジュル」

 

 ネコセレブのことを考えただけでヨダレが止まらなくなった。



≪終わり≫

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