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ネコと子イヌ5【後編】

~ネコと小イヌ5(前編)のあらすじ~



 肝臓の数値が高くなってきたため、子イヌのえりかに薬を飲ませたいの

ですがなかなか飲んでくれません。

普段の食事に混ぜて与えたのですが、気づかれてしまい飲んでくれません。


そこで次の作戦に出ます。

薬は錠剤のため、粉々にしておやつに混ぜることにしたのです。

「えりか。おやつだよ」


 するとすぐにえりかはご主人様の元にやってきた。

 えりかの前にお皿をおくとえりかはにおいをかいだ。

 すると、


「プイ」


 としてその場を離れた。どうやらにおいで薬がバレたらしい。


「あ~」


 ご主人様もつとむ君もガッカリ。

つとむ君のことを思うとえりかにはどうにかして飲んで欲しい。

ぼくはえりかと話すことにした。


「えりか、薬飲んでよ」

「いやよ。あんなのおいしくないじゃない!」

「でも、えりかの為なんだよ」

「アレを飲むくらいなら今のままでいい。だって、痛いところがあるわけじゃないのよ」

「今は自覚症状がなくても、身体の具合が悪くなるかもしれない」

「なんともないもん。なったときに考えればいい!」

「それだと困るってつとむ君は思っているの。手術しないと治らないようなことになったら困るでしょ」

「私は大丈夫だもん。悪くなんかならない」

「自分だけは大丈夫って考えはやめた方がいいよ。そんなのただの思い込みだから」


「プイ」


 えりかはソッポを向いてしまった。


「つとむ君の雰囲気もいや。どうにか飲ませようとする考えが。どうして嫌なものを飲ませようとするの」


 えりかが薬を飲まない理由は分かったけど、だからって薬を飲まないのも困る。どうしたらよいのだろう。


「手術は怖いよ~」


 って言ってみる?

 それだと、

 

「私は病気になんかならない!」


 て言われるかも。


「薬はまずくないよ~」


 って言ってみる?


「食べたことあるもん。おいしくなかったもん」


 と言われそうだにゃん。


「この薬は今までのとは違うよ。甘くておいしいよ」


 ってのはどうかにゃ。

それだと、口の中には入れてくれるけど、甘くなかったら吐き出されちゃう。


 よい方法が思いつかない。


「んにゃ?」


 ぼくは気配を感じた。ふりむくとつとむ君がいた。


「肉まん。もう大丈夫だよ。薬を飲んでくれないのは仕方ないから。それからえりか、そんなに嫌なら薬はもういいから。えりかの数値が悪くなったのはぼくの管理不足。それなのに無理やり飲ませようとしてごめんね。別の方法を考えるよ」


 えりかにとても申し訳なさそうに言った。

 すると、えりかは


「ワンワンワンワン」


 えりかはつとむ君に飛びついた。


「ごめんなさい。管理不足なんて言わないで。私のことを思ってくれているのにおいしくな

いからって飲まなくて。私、飲む!」


 その場の雰囲気が変わったことにみんな気がついた。


「はい。今なら飲んでくれそうだよ」


 ご主人様は、つとむ君に丸い薬を渡した。

 つとむ君は、えりかの口元に持ってくるとえりかは口を開けて飲み込んだ。


「やったー。薬飲んだにゃん」


「えりか。がんばったねー。おやつあげるからちょっと待っていてね」


 つとむ君はおやつを取りに行った。


「ところできみも薬を飲むことになったらもちろん飲んでくれるよね?」

「も、もちろんだにゃん。ぼくはご主人様を困らせることなんてしないにゃん」

「明日、検診に行こう。またきみが太ったから心配だよ」


「えっ! 病院に行くってことだよね。ぼくは元気だよ。ちーっとも痛いところなんてないにゃん」

「ぼくは元気だよ。ちーっとも痛いところなんてないって顔をしても無駄です。とにかく明日は行くから」

「そんな~。ぼくは大丈夫だにゃ~」


 と心の中で叫んだ



《終わり》

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