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ネコとお正月8

「んにゃ~」


 ぼくは目を覚ました。時計を見るともうちょっとで12時。お昼になっていた。

うっかり、寝すごしてしまったみたいだにゃん。

 テレビを見ると、お正月番組を放送していて、おいしそうな

おせちを食べている。

 今日はお正月なんだね。ん? あれ? ぼくは異変に気がついた。

お正月なのに子どもたちがいない!

だから、ぼくは寝すごしてしまったんだにゃん。

毎年お正月はうちに来て、おせちを食べてお年玉をもらって、ぼくにイタズラして帰る。


「ねえ、子どもたちは?」


 ぼくはリビングに入ってきたご主人様を見た。


「子どもたちがいないのに気がついた? 年末から子どもたちがみんな風邪をひいちゃって

来られないんだって。きみも寂しいよね」


 子どもたちにはいつもイタズラばかりされていやな目にあっているけど、

会えないと言われると寂しいにゃ。複雑な感じ。子どもたちのことは

きらいじゃないってことかもしれないにゃん。


 ふと、ご主人様の手を見ると、ハガキの束を持っている。

パッと見た感じ100枚くらいはありそう。

けど、普通のハガキとは違う気がする。

切手を貼るところが朱色の切手風の印刷がされていて、全体的の印刷も朱色。

しかも、その下には”年賀”って書いてある。


「ご主人様~。それなに?」


 ぼくはご主人様を見た。


「年賀状だよ」


どうやら普通のハガキとは違うらしい。


「日ごろからお世話になっている人、親しい人に贈るものなの。新しい年をお祝いする言葉で挨拶して、昨年お世話になったこと対するお礼と”今年もよろしくお願いします。”って書いた挨拶状のことだよ」

 

 へ~え~。あたらめて見ると、思い出した。確かに毎年、お正月に届いていた気がする。

 ぼくが年賀状を興味津々に見ていると


「きみも見たい?」

「にゃ~」

 

 ぼく思わず鳴いた。どうやら見せてもらえるみたい。


「メールやLINEで新年の挨拶をメールで済ませるという人が多いけれど、

やっぱりもらえるのは嬉しいね。遠く離れてなかなか会えない人とも

年賀状のやりとりがあれば、どんな様子でいるのか分かるから。例えばコレ」


 ご主人様は一番上の年賀状を見せてくれた。そこには、赤ちゃんの写真が写っていた。


「子どもが生まれたんだって。かわいいね」


 年賀状にはニコニコと笑っている赤ちゃんの写真が印刷されていた。


 次をめくると、ウエディングドレス姿の女性とタキシードを着た男性が写っていた。


「結婚したんだ~。おめでとう~。」


 とても幸せそうな顔をした二人の姿が写っていた。


「次は誰かな~」


 そう言いながら次をめくると、白髪のおじさんの写真が写っていた。

 

「とおるおじさん、退院したんだ。よかった~」


 そこには、おじさんが元気そうにテニスをしている姿が写っていた。


”無事に退院しました。”


 と書かれている。ご主人様は安心した表情を浮かべていた。


 そんな感じでご主人様は一枚一枚、楽しそうに見ていた。



 全部見終わったところで、


「でね、忘れちゃいけないのは、コレ」


 ご主人様は、年賀状の表面の左下をぼくに見せてくれた。

そこには、アルファベットと数字と漢字が書いてある。


「B29290組」


なにコレ。不思議な組み合わせが書かれてある。


右下には


「292929」


 コッチは数字だけが書かれてある。


「お年玉当選くじがついているの。毎年、お年玉切手しか当たらないのだけど、

1等を当てたいなぁ。今年の景品は世界一周旅行だって~」


 ご主人様は行く気満々の顔をしている。けど、どうせ当たらないって。

そうゆうのはいつも当たらないじゃない。

すると、ご主人様はぼくを見た。


「どうせ当たらないって顔をしたでしょ」

「ギクリ」


 バレていた。


「新年早々、そんな悲観的なことを考えているなんてひどい。

当たっても、きみはおうちでお留守番だかね!」


 ご主人様は、プイっとした。機嫌を損ねてしまったらしい。


「そう簡単に当たらない!」


 とは思いけど、本当に当たったらどうなるのだろう……。ぼくはお留守番? それは寂しい。


「いやにゃん。ぼくも連れて行って!」


 ぼくはご主人様の足元にすがりついた。


「冗談だよ。きみもいっしょだよ」


 ぼくの頭をやさしくなでた。

頭をなでられたぼくはすっかりごきげんになった。

今年は楽しい一年になりそうだにゃん。



《終わり》

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