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ネコのお絵かき(前編)

「スピピ~。スピピ~」

 いつものように、ぼくが気持ちよく眠っていると、

「んにゃ? くすぐったいにゃん」

 何かがぼくのお腹を触っている感じがした。

それにしてもくすぐったい。

「やめてにゃ~」

あまりのくすぐったさに耐えきれず、ぼくは身体を動かした。

けど、すぐに別の所を触られ、相変わらずくすぐったい。


「んにゃ?」

ぼくはあることに気がついた。

「何かにおいがするにゃん」

 ろうそくみたいなにおいがした。

 しかも、ぼくのお腹をくすぐっているものは先端が細いものではなくて丸っぽい感じがする。

 おまけに何かを描いているかのようにくすぐっている。

これはもしかして……


 はっと目を覚ますと、子どもたちがぼくの身体にクレヨンを使ってお絵かきをしている!

「にゃ~! やめてにゃ~!!」

 ぼくは慌てて起き上がりもがいた。

そう言えばご主人様が、

子どもたちが来るっぽいことを言っていたっけ……。

こんな調子で子どもたちには毎回ひどい目にあわされている。

「本当に、油断も隙もあったもんじゃないにゃ!」

 ふと、辺りを見渡すと、

子どもたちがお絵かきをしていたと思われる紙が

そこらじゅうに散らかっている。

どうやら描く紙がなくなったらしく、ぼくのお腹にお絵かきを始めたみたい。

「ぼくの毛並みは白いけど、子どもたちがお絵かきするために

白いわけじゃないにゃ!」

「にゃ~!!」

 ぼくは子どもたちを激しく威嚇いかくした。

ぼくが騒いだだせいか、その声を聞いてご主人様がリビングに入ってきた。

お絵かきをされたぼくの身体とリビングの散らかり具合を見て、

今回は子どもたちに非があると判断したみたいで、

「お絵かきは紙に描いてね」

とご主人様は子どもたちに注意した。


その様子を見て、ぼくはニンマリと笑った。

「ベーだにゃ!」

注意をした後、ご主人様はリビングを出て行き、お絵かき帳を持って戻ってきた。

そして、子どもたちに新しいお絵かき帳を手渡した。

子どもたちは楽しそうにお絵かきを始めた。

それを見ていたぼくは、

「羨ましいにゃ~。ぼくもお絵かきしたいにゃ! でも……」

 ぼくは自分の手をしみじみと見つめた。

ぼくの肉球じゃぁクレヨンを握れないよね。

「んにゃ?」

ふと、クレヨンの隣に目をやると、スタンプ台とかわいいハンコが置いてあった。お絵かきもしていたけど、スタンプをペタペタ押して遊んでいたみたい。

「これならぼくにもできるかも!」

スタンプ台に肉球を乗せ、子どもたちが散らかした紙に押してみた。

「ポン」

「やったにゃん。ぼくのかわいい肉球がついたにゃ!」

ぼくは楽しくなって、何度も肉球を紙にペタペタと押した。


「にゃんにゃん。楽しいにゃん♪」

ぼくはすっかり夢中になっていた。

すると、ご主人様がリビングに戻ってきて、ぼくを見るなり怒りだした。


《続く》


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