表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

7 かえる劇場

(輝石(ダイヤモンド)ちゃんを助ける!絶対!)

 そう思いながら美容院に行っていた。

 すると、ふとあのことを思い出す。

 みんなが逃げ出す前のこと――。


 あたしは、かえるのぬいぐるみを使って、お話を作っていた。

 かえるたちが演じる、舞台。

 その意味で「かえる劇場」と呼んでいた。

 今日はあたらしく、とても大きいおおくんが学校に転校してきた話にした。

 かえるたちの声は、すべてあたしが言った。かえるたちを動かすのも。

 そして、先生役の、七音(ドレミ)ちゃんが言った。

「今日は、あたらしく転校してくる子がいます。」

「わー!」

「誰?だれ?」

「本当に?」

 生徒役の子達がざわめく。

「静かにっ!」

 七音(ドレミ)ちゃんが注意。

「はい!こっちにおいで。」

 そしておおくんが教室に入ってくる。

「わぁ。」

「おっきい。」

 生徒役の子達の声を掻き消すように、おおくんが言った。

「おおくんでーす。よろしくね!」

 自分に「くん」をつけていた。

 それから、授業が進み、休み時間になった。

「ZZZ。ZZZ。」

 おおくんがうたた寝をしていた時だった。

 あのちびくんが自分の何千倍もあるおおくんに乗った。

「わーい!わーい!」

 飛び跳ねて遊んでいる。まるでおおくんがトランポリンになったかのように。

 しかし、おおくんは気付かず、給食の時間になった。

 ここでは、さっき以上の事件が起こった。

 おおくんが、デザートのフルーツゼリーを全て食べてしまったのだ。

 一つ残らず。

 すると、ゼリー大好き(という設定)ちびくんが、大激怒。

 ちびくんは何度も泣き叫んだ。

「ぼくのゼリー、返してっ!」

「ぼくのジェリー、返してっ!」

「ぼきゅのジェリィーかえじでっ……。」

 ちびくんは、だんだん悲しくなってきて、何を言っているのか分からなくなった。

 おおくんは、そんなちびくんを殴った。

 ちびくんは、保健室に連れてかれた。

 その間も、おおくんは暴れて、ほかのクラスメートを殴ろうとしたが、先生達が止めにきた。

 他のクラスメートは、おおくんから遠ざかった。

 しかし、先生の何百倍もあるおおくんを倒せるはずがない。

 そこで、おおくん並みにデカい校長先生と、副校長先生が、教育委員会へ連れて行った。

 おおくんは、ちびくんを殴った罰として牢屋に入れられてしまった。


(残酷な話だけど、あくまでフィクションだし。)

 そう思っていたけれど、よく作った話だな、と自分でも思う。

 そして、あたしは美容院へと駆けて行った。

(あたしには、輝石(ダイヤモンド)ちゃんを救えるんだ!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ