13 ちびくんなんて知らないもんっ!
「ねえ、何でちびくんはいないの?」
みんなに聞いても、答えてはくれない。
「ねえ、聞いているんだけど。」
そういうと、何秒かしたあと、七音ちゃんが、口を開く。
「言わなきゃダメ――?」
「なるべく言ってほしいけど……。」
そう答えると、七音ちゃんは「驚かないで。」と言った。
(もしかして、良くないことが起こったんじゃ……。)
「う、うん。」と答えると、七音ちゃんは、話してくれた。
「ちびくんは、ちびくんの意思で動いているから、もしかしたら、もう二度と戻ってこないのかも……。」
「え!?」
「ちびくんは、心の中で、そう決めたんだよ。あたしたちじゃ、どうにもできない。」
(どうにもできないって……。)
「もう、ほっとくしかないのよ。」
「はぁ……。」
そうため息をついたけれど、もうどうせこうなるんだったら、どうでもいいや。
もう、探す気は、無い。
そうしている間に、家についていた。
夕食を食べながら、遊びながら、ちびくんのことが頭から離れない。
あの時の話しかけ方、いつもの様子、そして、可愛い顔――。
(何よ。もうちびくんのことなんて、思い出したくないんだから。早く忘れたいの。)
ちびくんの記憶を引っ張り出してくる脳に、怒りを感じた。
もう、無かったことにしよう。
ちびくんは、無くしたってことにして――。
自分の部屋に入って、かえるたちを見つめる。
かえる劇場をやりたいところ。
どのお話にしようか、迷っている。
(あのお話にしようかな……これにしようかな……これはダメか。)
考えてみても、思いつかない。
前にやったお話を繰り返そうとしたけれど、出来ない。
あたしは、あることに気付いた。
かえる一人でも欠けていると、何も出来ないってことに――。




