12 学校での出来事
学校に着くと、にぎやかな声が聞こえた。
声の方に向かうとそこには、何とかえるたちがいた。
しかも、ドッジボールをしている。
あたしは、唖然とした。
(え、かえるって、ボール遊びするの?フツーに遊んでいるし。)
遊んでいたのは、おおくん、ちゅうくん、夏ちゃん、七音ちゃん、五月ちゃん、薔薇ちゃん、星くん、粉雪ちゃん、霞ちゃんで、ちびくんはいなかった。
(粉雪ちゃん、ここにいたんだ……。でも、ちびくんはどこだろう。ちびくんだけ、見てないな。)
かえるたちを捕まえようと、近づいた。
「ぎゃー!!」
かえるたちは、あたしに気付いて逃げていった。
みんな、学校の校舎の中に入っていく。
あるかえるは給食室へ、また、あるかえるは視聴覚室へ。みんな、ばらばらのところに行く。
(予想どうりだ。みんなばらばらに逃げて行っちゃった。これじゃ、捕まえられないよ…………。よし、奥の手をだそう。)
そしてあたしは、放送室へ向かった。
機械の操作は、やったことは無い。
でも、このまえ、委員会で先生がいじっているところは見た。
(多分……こうして、こうして。)
ボリュームを上げて、放送する場所を全部にした。
(これでよし。あとは……。)
「みんな!あたしよ、姫蘭よ!」
あたしは、かえるたちに放送室で放送することを考えていたのだった。
放送室は、学校にしかない。
それを、上手く使ったのだった。
「みんな、どうなっているのか知らないけど、あたしのもとに帰ってきて!」
力いっぱいの大声で叫んだ。
かえるたちの心を変えるために。
そして、この出来事が、すべてまあるく収まるように――。
「あたしは、あなたたちのことを知らなかっただけ。でも、これから、もっともっと仲良くさせて!」
(みんな……戻ってきて……!)
――数分後。
「カチャ。」
ドアの開く音がした。
ドアの方によってみると、誰もいない。
でも、下の方に、かえるたちがいた。
「みんな……!」
「姫蘭ちゃん。ごめんね。ぼくたちは、姫蘭ちゃんのことは、嫌いじゃ無かったよ。ただ、ただ――。」
そこで、言葉が止まった。「何のこと?」と聞くと、「何も無い。」と答えた。
「そっか。……あ、ちびくんは?」
「ちびくん、いないんだよ。」
「どうして?」
「わかんない。ねえ、帰ろう。」
あたしは、学校を出て行った。




