『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 終
(まっさか、食べ物屋に居付いているとわねぇ・・・)
「華音さん、食いしん坊ですね。」
『社』の裏の階段を上り・・・『桜』。そして『祠』の中へと降りる。
ここから先は、私と桜井さん、クラーケンさん、黒猫の『かのん』の3人と一匹だ。
うっすらと光る壁の明かりを頼りに、階段を降りる。やがて広間へと出る。
「ただいま。華音さん。」
「おかえり。」
「『かのん』は見つかったようだな。」
「はいっ。」
『かのん』は私の手をすり抜けると、華音さんの元に向かう。
「早速儀式の準備をする。」
「その後此処の広間は封印され入る事は出来なくなる。」
「狐。ありがとう、私を守ってくれて。」
「何を言う。儂は姫の為だったら、命だって惜しくないのじゃ。」
「クラーケンも色々と面倒を掛けたな。」
(いえいえ。この程度、華音様から受けたご恩に比べたら・・・)
「香奈。」
「はい。」
「これより儀式は1週間程はかかるだろう。」
「・・・店で、私達が出会った場所でまた会おう。」
「はいっ華音さん。」
「最も・・・この次に会う時は私は猫の姿だがな。」
「どんな姿だろうと、華音さんです。私の大切な友達の・・・」
私達は『祠』を後にした。
これから『桜』さんと封印や魂を移す儀式を行うのだろう。
不安が無い事は無い。でも、私達は約束したんだ。
『霧島華音』でまた会おうと。




